OPERATIONS
J- REIT インデックス
TOPIX 東証大型 東証中型 東証小型 東証2部 野村BPI 総合 日経 グロース 日経 バリュー
0.001 -0.003 -0.003 -0.001 0.000
0.017 0.029 0.029 0.026 0.025 平均
全期間 01年9月〜02年6月 02年7月〜03年3月 標準偏差
-0.002 -0.004 -0.002 0.0005
0.019 0.032 0.030 0.0018
-0.001 -0.001 -0.001 0.000 0.000
0.020 0.029 0.030 0.025 0.024 平均 標準偏差
0.000 -0.005 0.001 0.0003
0.018 0.032 0.031 0.0014
0.003 -0.005 -0.006 -0.003 -0.001
0.014 0.028 0.028 0.027 0.027 平均 標準偏差
-0.004 -0.004 -0.006 0.0007
0.020 0.034 0.028 0.0021
図表4 J-REITインデックスとの相関(リターン)
TOPIX 東証大型 東証中型 東証小型
0.169 0.168 0.171 0.168 全期間
0.327 0.199 0.143 0.171 全期間 東証2部 野村BPI 総合 日経 グロース 日経 バリュー 0.276
0.272 0.289 0.300 01年9月
〜02年6月 02年7月
〜03年3月
01年9月
〜02年6月 02年7月
〜03年3月 0.601 0.304 0.248 0.217 0.034
0.034 0.036 0.008
0.003 0.059 0.016 0.123
図表2 J-REITと東証大型・中型・小型の関係
1,300 1,200 1,100 1,000 900
700
01年10月 02年01月 02年04月 02年07月 02年10月 03年01月 800
J-REIT×10 TOPIX
MIDDLE TOPIXBIG TOPIX SMALL
特別講演 ファイナンス手法を用いたREIT商品特性分析
のように評価してきたかを見てみましょう。
このために、ファイナンスの基本である投 資の平均分散分析(リスクとリターンのト レードオフによって投資を決定する手法)
を利用します。
ポートフォリオを組む際には、他資産と の相関が低い資産は、分散投資の効果が大 きく望ましいとされます。そこで、J-REIT に分散投資の効果が実際どれくらいあった のか見てみます。そのために東証33業種の 配当調整済みの週次リターンを計算し、そ れに基づくポートフォリオフロンティアと キャピタルマーケットラインを書いてみま した(図表 5 )。
青い実線がポートフォリオフロンティア で、黒い線がこれに対応するキャピタルマ ーケットラインです。キャピタルマーケッ トラインは、無リスク資産が存在する場合 の投資機会を表しています。この線が左に 行くほど、投資機会は投資家にとって望ま しいものとなります。通常、キャピタルマ ーケットラインは、ポートフォリオフロン ティアに接するものであるといわれていま すが、この場合は離れています。これは、
この時期が、あまりに株価のリターンが低 い異常な時期だったからです。
一方、東証33業種にJ-REITを加えた場合 のポートフォリオフロンティアが青の点線 になります。このグラフは東証33業種だけ から求めたポートフォリオフロンティアよ り左上方にあり、これから「J-REITの導入 は投資機会を向上させた」といえます。
さて東証33業種だけから求めたキャピタ ルマーケットラインはポートフォリオフロ ンティアラインから離れていましたが、そ こでの最適投資は株式を全部カラ売りして、
それで得たお金を無リスク資産に投資する ものになります。しかし実際はこのような 投資はほぼ不可能です。そこで、大規模な 空売りができない場合として効果的フロン ティアを達成するためのJ-REIT投資を考え ると、それは基本的に買いということにな ります。
そういう意味で、ほかの資産を合わせて J-REITは魅力あるリスクリターンの関係を 生み出していたといえます。
おおむねフェアなリスクリターンを生み 出しているように見えたJ-REITですが、実 際リスクに見合ったリターンを上げている のか疑問になります。それを調べる基本的 図表5 ポートフォリオフロンティア
(東証33業種週次、東証33業種+QUICK-J-REITインデックス)
期 待 収 益 率
標準偏差 全期間(01年9月〜03年3月)
0.12
0.08 0.06 0.04 0.02 0
0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0.12 0.14 0.16 0.18 -0.02
0.1
期 待 収 益 率
標準偏差 前半(01年9月〜02年6月)
0.12
0.08 0.06 0.04 0.02 0
0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0.12
0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06 -0.02
0.1
期 待 収 益 率
後半(02年7月〜03年3月)
0.12
0.08 0.06 0.04 0.02 0 -0.02 0 0.1
な方法に、ジェンセンのαと呼ばれる方法 があります。基本的な資産価額決定式であ るCAPMに基づく方法です(図表 6 )。
この数式を回帰分析した時に、J-REITが リスクに見合う以上のリターンをあげるな らばαの値は正に、見合う以下のリターン しかあげられないなら負になります。リス クに見合うだけのリターンを上げていれば αの値がゼロとなります。
見方としては、おおむねt値が1.7以上、P 値が 0.1以下であれば係数の符号は有意とな ります。回帰したところ、J-REITは全期間 を通じての有意にならず、αの値はゼロと 区別できません。したがって、J-REITはち ょうどリスクに見合うリターンを生んでい たということになります。
前半と後半を比較すると、前半はαが負、
後半は正になっていますが、統計的にはゼ ロと区分できません。したがって、ここで も前半のαはゼロ、後半もαはゼロという ことになります。つまり「J-REITは今のと ころリスクに見合うリターンを上げている ようだ」申し分のない投資先であるといえ
ます。
さて、去年の10月 8 日に配当減税があり ました。その後、J-REITの価格は上がって いますが、価格の上昇に配当減税の効果が どの程度あったか見てみたいと思います
(図表 7 )。そのために先ほどの式にダミー 変数を付け加えます。02年の10月から12月 まで 3 カ月の間だけ 1 を取るという変数で す。変数の係数Cがもしも正だったら、こ の期間、リターンが通常に較べてより多く のリターンを生んでいたということで、減 税の効果があったことになります。
全期間を通じてCの値が正であり、そのt 値は1.7より大きく、Pの値は 0.1よりずっと 小さくなっています。統計的に見れば、配 当減税のアナウンスメントによる効果はあ ったということになります。後半だけの回 帰を見ても、同様に正の効果があったこと がわかります。
ところが、これを 3 月まで伸ばすと、こ の効果が消えてしまい優位ではなくなりま す。ダミーを02年の10月から03年 3 月まで の 6 カ月とすると、リスク以上のリターン はそれほどはなかったことになります。こ の結果から、昨年10月以降のTOPIXを超過 するJ-REITリターンは少なくとも一時的な ものにとどまったといえます。
図表6 Jensenのalpha(CAPMベースの評価法)
>0⇒ リスクに見合う以上のリターン
= 0⇒ リスクに見合うリターン
< 0⇒ リスクに見合う以下のリターン
a+b ( r
r JREIT − r f = M − r f ) + ε
無リスクレートに対する J-REITの超過リターン
無リスクレートに対する TOPIXの超過リターン
a
全期間
前 半
後 半
係数 0.001 0.102 0.029 a
決定係数
b
標準偏差 0.002 0.067
t値 P値 0.646 1.524
0.521 0.131 係数
-0.001 0.185 0.075 a1
決定係数
b1
標準偏差 0.003 0.102
t値 P値 -0.269 1.812
0.788 0.077 係数
0.003 0.017 0.001 a2
決定係数
b2
標準偏差 0.002 0.083
t値 P値 1.301 0.206
0.201 0.837
図表7 J-REITリターンのTOPIXリターンへ の回帰と残差
Residual Actual Fitted .06
.04 .02 -.02 -.04 -.06 .00
.06 .04 .02 -.02 -.04 .00
01年10月 02年01月 02年04月 02年07月 02年10月 03年01月
特別講演 ファイナンス手法を用いたREIT商品特性分析
以上をまとめれば、投資機会全体として 見たJ-REITは、他の資産との間の相関が低 く、そのためJ-REITの導入による投資機会 の改善があった。かつ、ちょうどリスクに 見合うリターンを上げており、今のところ 申し分のない投資先であったといえます。
次に、もう少しマイクロな視点からJ-REITのリターンを見てみます。そのために、
まずJ-REITは株式と債券のどちらに似てい るかという問題を考えます。アメリカの先 行研究でもこのような問題が調べられてい ます。
結果からいえば、J-REITと他の資産のイ ンデックスのリターンとの相関は低く、株 式とは正の相関があり、債券とも正の相関 があるということになります。一方、債券 と他の株式との相関と較べるとおしなべて 負ですから、J-REITは株式の形態を取りつ つも、債券との関係では通常の株式とは異 なる動きをすることがわかります。
このことを表で確かめてみます(図表 8 )。 超過リターンは無リスク資産に対する超過 リターンです。J-REITと株式との相関は正、
債券との相関も正、しかし債券と株式の相 関を見ればマイナスです。
前半、後半と分けても全く定性的な性質 は変わらず、債券と何らかの関係があるこ とが示唆されます。02年 6 月までと、02年 7 月からの相関を比較しても、J-REITと株式 との相関は非常に下がったが、債券との相 関は株式の下がり方に比べて穏やかです。
この意味で、J-REITと債券との関係が安定
的であることが確かめられます。
さらには東証 2 部との相関です。02年 6 月までは0.6ですが、02年 7 月からは0.003と 急激に減っています。小型株との関係が時 期によって異なることがわかります。
ではJ-REITリターンが、株式や債券のリ ターンでどれだけ説明できるのか、アメリ カでもサンダーズが似た研究をしておりま すが、これをチェックしてみます(図表 9 )。
ここでは、TOPIX、東証2部、債券の 3 図表8 超過リターンの相関
全期間(01年9月〜03年3月)
野村BPI 総合
TOPIX 0.169 1.000 0.999 0.925 0.836 0.703 0.892 0.937 -0.083
東証大型 0.168 0.999 1.000 0.909 0.815 0.686 0.886 0.942 -0.075
東証中型 0.171 0.925 0.909 1.000 0.964 0.811 0.878 0.807 -0.159
東証小型 0.168 0.836 0.815 0.964 1.000 0.807 0.799 0.719 -0.168
東証2部 0.327 0.703 0.686 0.811 0.807 1.000 0.694 0.579 -0.139
日経 バリュー 0.199 0.892 0.886 0.878 0.799 0.694 1.000 0.728 -0.074
日経 グロース 0.143 0.937 0.942 0.807 0.719 0.579 0.728 1.000 -0.036
野村BPI 総合 0.171 -0.083 -0.075 -0.159 -0.168 -0.139 -0.074 -0.036 1.000 J-REIT
インデックス 1.000 0.169 0.168 0.171 0.168 0.327 0.199 0.143 0.171 J-REIT インデックス
TOPIX 東証大型 東証中型 東証小型 東証2部 日経 バリュー
日経 グロース
(01年9月〜02年6月)
野村BPI 総合
TOPIX 0.276 1.000 0.999 0.931 0.833 0.667 0.888 0.942 -0.024
東証大型 0.272 0.999 1.000 0.917 0.813 0.653 0.887 0.945 -0.015
東証中型 0.289 0.931 0.917 1.000 0.961 0.757 0.836 0.837 -0.111
東証小型 0.300 0.833 0.813 0.961 1.000 0.764 0.723 0.742 -0.173
東証2部 0.601 0.667 0.653 0.757 0.764 1.000 0.617 0.553 -0.050
日経 バリュー 0.304 0.888 0.887 0.836 0.723 0.617 1.000 0.742 0.061
日経 グロース 0.248 0.942 0.945 0.837 0.742 0.553 0.742 1.000 -0.052
野村BPI 総合 0.217 -0.024 -0.015 -0.111 -0.173 -0.050 0.061 -0.052 1.000 J-REIT
インデックス 1.000 0.276 0.272 0.289 0.300 0.601 0.304 0.248 0.217 J-REIT インデックス
TOPIX 東証大型 東証中型 東証小型 東証2部 日経 バリュー
日経 グロース
(02年7月〜03年3月)
野村BPI 総合
TOPIX 0.034 1.000 0.999 0.922 0.850 0.740 0.905 0.931 -0.117
東証大型 0.034 0.999 1.000 0.905 0.828 0.720 0.895 0.939 -0.109
東証中型 0.036 0.922 0.905 1.000 0.968 0.862 0.920 0.782 -0.188
東証小型 0.008 0.850 0.828 0.968 1.000 0.852 0.868 0.711 -0.167
東証2部 0.003 0.740 0.720 0.862 0.852 1.000 0.776 0.602 -0.182
日経 バリュー 0.059 0.905 0.895 0.920 0.868 0.776 1.000 0.728 -0.171
日経 グロース 0.016 0.931 0.939 0.782 0.711 0.602 0.728 1.000 -0.001
野村BPI 総合 0.123 -0.117 -0.109 -0.188 -0.167 -0.182 -0.171 -0.001 1.000 J-REIT
インデックス 1.000 0.034 0.034 0.036 0.008 0.003 0.059 0.016 0.123 J-REIT インデックス
TOPIX
東証大型 東証中型 東証小型 東証2部 日経 バリュー
日経 グロース
投資対象としてのJ-REITのまとめ
つの動きによってどれだけJ-REITのリター ンを説明できるか調べます。アミカケの部 分が優位な値が出た部分です。cは小型株特 有の影響を表し、dは債券に特有の影響を表 します。これからは、東証2部の小型株およ び債券にもJ-REITの動きは類似するところ があるといえます。
ただし全体の決定係数は小さく、0.16と なります。よって、株式市場、小型株、債 権の動きで説明できるJ-REITリターンは 16%しかなく、確かに影響を与えているの だが、関係は限定的であるといえます。J-REITにはJ-REIT独自の動きがあるというこ とです。
またそれらの関係は02年 6 月を境に大き く異なります。それ以前は、小型、債券の 動きに加え株式市場の影響まで有意であり、
決定係数も非常に大きいものでした。02年 6 月以前は図からもわかるように、株式市 場の動きにつられてJ-REITの動きも決まっ ています。しかし、それ以降は、他に優位
な説明力を持つ変数がなくなってきます。
つまり独自の動きを開始していることにな ります。
以上から、J-REITのリターンは債券と比 較的安定的な関係を持っているが、時期に よっては小型株とも強い動きを持ち、その なかで独自の動きを強めつつあるといえま す。この背景には投資家行動の変化、投資 家層が変化したということがあるようです。
昨年 3 月と 5 月に、J-REIT先行2社の決算 発表がありました。それ以後、投資家の評 価は変わったそうです。その理由は、最初 はJ-REITがどのようなものかよくわからな かった。本当にミドルリスク・ミドルリタ ーンであるのか疑義の念が大きかった。し かし決算を迎え投資家の納得を得ることが でき、かつ、他の資産との違いを認識して もらったということです。
また長期金利が下落し、株価も下落して いる環境下で、利回り狙いやインカム狙い の地銀、年金等の購入が増加してきた。そ ういう意味で購買者の中身が変わってきた。
それがJ-REITの独自の動きを増加させてき た理由かと思われます。
では、株式ではJ-REITは何に似ているで しょうか。J-REITは不動産株と似ているか ら不動産株の動きと似ているのかと思う人 もいるかもしれませんが、実際は全く違い ます。高配当利回り・安定性がJ-REITの特 徴ですが、これと同じ特徴を持つ株式で典 型的なものが電力・ガス関係です。J-REIT のリターンとの相関が高いという株式を探
J-REITは株式では何に似ているのか?
図表9 株式・債券でJ-REITリターンが どれだけ説明できるか?
:東証2部をTOPIXに回帰した残差。
東証2部株式(小型・低流動性)特有の変動を捉える。
a+b(r
r
JREIT−r
f TOPIX−r
f TOPIX 2r
r
TOPIX− f=
) +cRes +dRes
BPI+ ε
:東証1部株式全体の変動を捉える。
:野村BPI(総合)をTOPIXとResTopix2に回帰した残差。
株式の変動を排した、債券に特有の変動を捉える。
前 半
後 半
係数 0.001 0.102
0.372 0.133 2.803 0.006 a
b
標準偏差 0.002 0.023
t値 P値 0.686 1.621
0.495 0.109 2.175
0.16 c
決定係数
d 1.029 2.112 0.038 係数
0 0.213
0.77 0.173 4.443 0 a1
b1
標準偏差 0.002 0.081
t値 P値 -0.401 2.625
0.69 0.012 3.494
0.45 c1
決定係数
d1
1.678 2.082 0.044
0.178 -0.158 0.876 0.002
0.085 1.201 0.247
0.238 0.806 1.162 0.741 0.464 係数
0.003 0.021 -0.028 a2
b2
標準偏差 t値 P値
0.861 0.017 c2
決定係数
d2
全期間
(01年9月
〜03年3月)
TOPIX 2
Res
Res
BPI特別講演 ファイナンス手法を用いたREIT商品特性分析