第７章 相手国実施機関の実施能力
２. PT. PLN
本プロジェクトの発電部門の実施主体は、インドネシア国営電力会社 PT. PLN であ る。PT. PLN は、インドネシア国において電力供給の責任を有する国有企業である。
PT. PLN は 1950 年に設立され、1994 年の政令により国営公社から国有会社に転換さ れ、従来の発送配電の固有業務のほかに子会社の設立なども可能になった。PT. PLN の組織図を図７-２に示す。
PT. PLN の事業概要を表７-１に示す。2006 年の発電設備容量は 24,936MW、発電量 は 112,609GWh、売上は 105 兆 IDR、従業員数 47,155 人である。
PT.PLN は、Kamojang、Salak、Lahendong 等の地熱発電所建設、運転の実績が示す ように、地熱発電所建設には十分な経験・能力を有するものと判断される。
図 ７-２ PT. PLN 組織図
（出典： PT. PLN 資料）
Head of Internal Audit Unit
Paiman
Corporate Secretary
I.B.G. Mardawa P.
Head of Corporate Delivery Unit
Harry Hartoyo
Head of Corporate Legal Services Unit
Budi Kristanto Head of Coal
Division
Head of Organisation Development Division
Head of Corporate Strategic Planning
Division
Head of Procurement Planning Division
Head of Java-Bali Power Generation
Division
Head of West Indonesia Power
Generation Division
Head of East Indonesia Power
Generation Division
Head of Commerce Division
Head of Corporate Finance Division
Misbachul Munir Iwan Bachtiar Made Ro Sakya Doday Hertanto Paingot M Nasser Iskandar Sapto Triono W. Benny Marbun Yusuf Hamdani Head of Gas and
Oil Fuel Division
Head of HR Development System Division
Head of System Planning Division
Head of Strategic Procurement
Division
Head of Java-Bali Transmission
Division
Head of West Indonesia Transmission
Division
Head of East Indonesia Transmission
Division
Head of Business and Electricity
Transaction Division
Head of Budget Monitoring Planning Division
Prawoko Dadang Daryono Joko Prasetio Tonny Tondajoyo Ramli Hutasuhut Yanuar Hakim Susanto Wibowo Binarto B M. Hudiono
Head of Management Information System
Division Rully Fasri Head of HR and
Skill Development Division
Head of Engineering and
Technology Division
Head of IPP Procurement Division
Head of Java-Bali Distribution and Customer Services
Division
Head of West Indonesia Distribution and Customer Services
Division
Head of East Indonesia Distribution and Customer Services
Division
Head of Risk Management Division
Head of Accounting Tax and Insurance
Division
Roikhan Bowo Setiadji Monstar Panjaitan Haryanto WS Karel Sampe
Pajung Syarifuddin Ibrahim Amir Rosyidin Beni Hermawan Head of General
Affairs and Management for
Head Office Division
Head of New and Renewable Energy Division
Head of Java-Bali Construction and IPP Division
Head of West Indonesia Construction and
IPP Division
Head of East Indonesia Construction and
IPP Division
Head of Treasury Division
Eddy Sukmoro Moch. Sofyan Henky H
Basudewo Eko A Sudartanto Widodo Mulyono Tjutju Kumia S.
GM of PLN Power Generation Business Unit
GM of Transmission and
Center for Load Dispatching Business Unit
GM of PLN Region Business Unit
GM of PLN Distribution Business Unit
GM of PLN Main Project Business
Unit
GM of Supporting Services Business
Unit
GM of PLN Education and Training Center
GM of Electricity Research and Development
Director of Subsidiary
Director of Joint Ventures Director of Primary
Energy
Director of HR and General Affairs
Director of Planning and
Technology
Director of Strategic Procurement
Director of Java-Bali Operations
Director of West Indonesia Operations
Director of East Indonesia Operations
Director of Business and Risk
Management
Director of Finance
Nur Pamuji Eddy D.
Emingpraja Nasri Sebayang Bagiyo Riawan I.G.A. Ngurah Adnyana
M. Harry Jaya
Pahlawan Vickner Sinaga Murtaqi
Syamsuddin
Setio Anggoro Dewo President Director
Dahlan Iskan
第７章 相手国実施機関の実施能力
表 ７-１ PT. PLN 事業概要
（２） 相手国におけるプロジェクト実施のための組織体 制
１. PT. PGE
PT. PGE は、本プロジェクトでは蒸気開発（坑井掘削）及び配管工事を担当する。
本件の円借款による支援が実現すれば、PT. PGE にとっては、カモンジャン地熱発 電所建設 ES、ルムットバライ 1・2 号機建設事業に続き、本件は３件目の事業となる。
しかし、本格的な坑井掘削工事が事業に含まれるのは初めてであるため、どのような 体制で本事業に取り組むかは今後の課題と思われる。他地点の事業の事例や本事業内 容等から見れば、本プロジェクトでは、図７－３に示すプロジェクト実施体制を構築 すると思われる。PT. PGE が、事業のためのコンサルタントを雇用し、蒸気開発のた めの掘削工事や配管工事を実施する体制となっている。コンサルタントは、資源量や 資源分布に対応した蒸気開発計画を立案し、掘削や配管工事のために、各入札書類の 準備助勢、入札評価、契約、設計のレビュー、建設工事監理や試運転等をインドネシ ア政府や PT. PGE、JICA のガイドラインに従って実施する。PT. PGE は、諸手続、用 地取得、計画・設計、プロジェクト調達、資機材購入、据付、試運転、環境管理等を 実施する。
PT. PGE は、中央政府（及び地方政府）の開発計画と整合性のあるプロジェクトを 達成する必要がある。このために、PT. PGE 本社は国家開発企画庁（BAPPENAS）やエ ネルギー鉱物資源省（MEMR）等の中央政府と、PT. PGE のプロジェクト事務所は地方 自治体と、それぞれ意思疎通、協議、調整を徹底しプロジェクトを管理・実行する必 要がある。従来の事業の状況を見れば、これらの対応のために連絡体制や管理体制が 構築されており、本件でも実施段階では適切な対応がされるはずである。
第７章 相手国実施機関の実施能力
図 ７-３ PT. PGE のプロジェクト実施体制
（出典:SNC 調査団作成）
２. PT. PLN
PT. PLN は、本プロジェクトでは地熱発電設備、送変電設備及び配電設備の建設、
運転、管理を実施する。このために、プロジェクト実施機関である PT. PLN は図７－
４に示すプロジェクト実施体制を構築すると思われる。PT. PLN は、既に同様の地熱 発電所建設事業をラヘンドン地熱、ウルブル地熱で経験しており、このような体制を 組めば、円滑な事業実施が可能である。また、PT. PLN は、従来の事業では、必ずコ ンサルタントを雇用し、発電所建設を実施しており、今回も同様に信頼できるコンサ ルタントを雇用する意向である。この体制の下、コンサルタントは、蒸気供給条件を 確認し、各入札書類の準備助勢、入札評価、契約、設計のレビュー、建設工事監理や 試運転等をインドネシア政府や PT. PLN、JICA のガイドラインに従って実施する。PT.
PLN は、諸手続、用地取得、計画・設計、プロジェクト調達、資機材購入、据付、試 運転、環境管理等を実施する。
Loan Agreement Borrower:
Government of Indonesia
MOF
Financial Agency:
JICA
Consultant
Pipeline (FCRS) Construction
Contractor
Environmental Impact Study and
Monitoring Well Drilling
Contractor
PT. Pertamina (Persero) /PT.PGE (Project Executing Agency)
Sub-Loan Agreement
報告し、また、地方自治体には PT. PLN のプロジェクト事務所及び支店・支所等から 報告する体制を構築する予定である。
図 ７-４ PT. PLN のプロジェクト実施体制
（出典:SNC 調査団作成）
（３） 相手国実施機関の能力評価と（不十分な場合は）対 応策
１. PT. PGE
現在掘削中の調査井により地熱資源に関する情報が得られれば、地熱資源開発の ための ES 借款事業には多額の費用は必要ない。調査井掘削及びテスト後、FS とし て必要な調査の主なものは、貯留層シミュレーションによる資源量評価と地熱資源
Loan Agreement Borrower:
Government of Indonesia
MOF
Financial Agency:
JICA
Consultant
Transmission/
Distribution Line &
Substation Contractor
Environmental Impact Study and
Monitoring Power Plant
Contractor
Project Executing Agency: PT. PLN (Persero)
Sub-Loan Agreement
第７章 相手国実施機関の実施能力
これらの作業は自己資金でも実施可能と思われる。しかし、JICA appraisal (2011 年 12 月以前と想定)のために、資源量評価を行い、開発計画を立案し、さらに円借 款手続き等を考慮した開発工程等を作成することは、PT.PGE にとっては難しいと思 われる。技術力があり、ODA 等による地熱発電開発の条件（スケジュール、手続き、
事業条件等）を把握した海外等の地熱発電開発コンサルタントを雇用し、適切な準 備を行う必要がある。
２. PT. PLN
従来からの PT.PLN の円借款事業対応同様に、PT. PLN は専門のコンサルタントを 雇用する意向である。PT.PLN は、今年度 JICA appraisal のために早期にコンサル タントを選定しフルライス地熱発電事業の FS に関する書類をコンサルタントの協力 を得て準備する予定である。
PT.PLN の従来の円借款事業の進め方を見れば、コンサルタントへの依存度が大き きことから、この事業の円滑な実施のためには地熱開発技術及び円借款 スキームに ついてよく理解しているコンサルタントを雇用する意向である。さらに、PT. PLN の目指す 2014 年末までの発電所建設を実現するには、工期的にかなり厳しい状況に あることから、コンサルタントの雇用について、ES 借款事業 及び地熱資源開発のた めの円借款事業の両方について同一のコンサルタントが実施するようにすれば、地 熱発電所建設期間の大幅な短縮が可能となる。