AWGN OFDM
2.5 適応ピークキャンセラ適用時の理論 BER 特性の導出
2.5.5 MRC プリコーディングを用いる多素子 MIMO-OFDM システムにおける 理論 BER 特性の導出理論BER特性の導出
本節では, MRCプリコーディングを用いる多素子MIMO-OFDMシステムにピークキャンセ
ラを適用した場合のBER特性を与える手法を示す. 簡単化のため,受信アンテナ数はNr =1とす る. lサブキャリアにおける送信信号ベクトルをxl ∈CNt×1,ピークキャンセラによるPAPR低減
2.5. 適応ピークキャンセラ適用時の理論BER特性の導出 38 後の信号ベクトルを ˜xl ∈CNt×1とすると,ピークキャンセラにより生じた歪みベクトル e∈CNt×1
は
el = ˜xl−xl= ˜xl− 1 Pt
Wsl, (2.63)
で与えられる.
MIMO伝搬路Hlを通過後の受信信号yl =[y1,y2, ...,yM]T は以下で与えられる. yl =Hl˜xl+nl =Hl 1
Pt
Wlsl+el
!
+nl, (2.64)
ここで,m番目のユーザの受信信号ymは以下で与えられる. ym= 1
Pt
hlm(wlmslm)
| {z }
所望信号
+ nlm
|{z}
雑音
+ 1 Pt
XM m′,m
hlm′wlm′slm′
| {z }
ユーザ間干渉信号
+ hlmeTl
ピーク電力抑圧による歪み信号|{z}
. (2.65)
上式において,第一項目は所望信号,第二項目が白色ガウス雑音,第三項目が干渉信号,第四項目 がピーク電力抑圧による歪み信号をそれぞれ表す.
次に,GmI,GPCm の導出について述べる. 本検討では,最小のMIMOシステム(Nt=2,M=2)にお けるGIm,GPCm はシミュレーションにより取得する.それを用いて,任意のアンテナ数,ユーザ数の 場合の分散を求める. まず ユーザ数がM=2の場合について述べる. 式(2.65)の第3項目と第4 項目を独立なガウス分布に従う確率変数GIm,GPCm でそれぞれ近似すると,
ylm = 1 Pt
hlm(wlmslm)+nlm+GIm+GPCm
= 1 Pt
hlm(wlmslm)+nlm+Gm, (2.66) となる.ここで,Gm=GIm+GmPCとする.GImの平均値をµI,分散をσ2I とし,GPCm の平均値をµPC, 分散をσ2PC とすると,Gm もまた平均値がµg =µI+µPC,分散がσ2g(N,2)=σ2I(N,2)+σ2PC(N,2) で与えられるガウス分布に従う. 前章で示したように,ピークキャンセラ適用時のAWGN環境下 でのBERは,ピークキャンセラにより生じる歪み信号をガウス分布に従う確率密度関数で近似 することで理論的に与えることができる.ユーザ間干渉とピーク電力抑圧による歪み電力を考慮 したAWGN環境下でのQPSK-MIMO-OFDMシステムの平均BERは,シングルアンテナ時と
2.5. 適応ピークキャンセラ適用時の理論BER特性の導出 39 同様にして,以下で与えられる.
Pe
A2 σ2n, µg, σ2g
!
= Z ∞
0
1 q
2π(σ2n+σ2g) exp
−(x−(µg+A))2 2(σ2n+σ2g)
dx, (2.67)
ここで,AはQPSK信号の同相または直交相の信号点電圧である. σ2nは白色ガウス雑音 Nmの分 散であり,µg,σ2gはそれぞれガウス乱数Gmの平均,分散を表す.
式(2.65)において,m番目のユーザにおける受信信号のSNRは以下で与えられる.
γm=
1
PtE[|slm|2]
E[|nlm|2] |hlmwlm|2
=γ¯
Nt
X
n=1
|Hmnl |2 PNt
n=1|Hmnl |2
=γ¯
Nt
X
n=1
|Hlmn|2=γ¯
Nt
X
n=1
|(almn)2+(blmn)2|, (2.68) ここで, ¯γ =PE[|slm|2]/E[|nlm|2は平均SNRを表す.almn,blmnはそれぞれHmnl の実部および虚部を 表す. Hlmnは互いに独立なレイリー分布に従う確率変数と仮定する. また,almn およびblmn は独 立なガウス変数となる. 式(2.68) は自由度2nのカイ二乗分布に従う確率変数となることから, MRCプリコーディング適用時の瞬時SNRの確率密度関数は以下で与えられる[74].
f(γ,γ)¯ = 1 (N−1)!
γN−1
¯
γN exp(−γ
¯
γ), (2.69)
ただしここで,各ユーザの瞬時SNRが同一の確率密度関数に従うと仮定し,γ=γ1 =· · ·=γMと した.したがって, MRCプリコーディングを用いるQPSK-MIMO-OFDMシステムにピークキャ ンセラを適用した際の,レイリーフェージング下での平均BERは以下で与えられる.
P¯b( ¯γ)= Z ∞
0
f(γ,γ)P¯ e(γ)dγ
= 1
(N−1)! ¯γN Z ∞
0
γN−1exp(−γ
¯
γ)Pe(γ, µg, σ2g)dγ. (2.70) 次に基地局アンテナ数をN,ユーザ数をMとする.このとき,Gmの分散は以下で与えられる.
σ2g(N,M)=
(M−1)σ2g(N,2) M≥2
σ2PC M=1, (2.71)
ここで,σg(N,2)は送信アンテナ数がN,受信ユーザ数M=2の場合のGmの分散を表す. 各アン テナの送信電力を一定とし,伝搬路として無相関な独立レイリーフェージングを仮定すると,干渉
2.6. ピークキャンセラ適用時の多値QAM信号の受信信号判定閾値 40 電力は所望電力に対して 1/Nとなる. 送信アンテナ数が Nの場合のGmの分散は以下で与えら れる.
σ2g(N,2)= σ2g(2,2)
N/2 = 2σ2g(2,2)
N , (2.72)
ここで,σ2g(2,2)は,送信アンテナ数2,ユーザ数2の場合のGmの分散を表す. 式(2.71), (2.72)よ り,任意のユーザ数,送信アンテナ数に対するGmの分散σ2g(N,M)は,以下で与えられる.
σ2g(N,M)=
2(M−1)
N σ2g(2,2) M≥2
σ2PC M=1, (2.73)
ここで,σ2g(2,2)はN= 2,M=2の場合の分散を表す. 以上より, QPSK-MIMO-OFDMシステム のAWGN環境下でのBER特性は
Pe
A2
σ2n, µg, σ2g(N,M)
!
= Z ∞
0
1 q
2π(σ2n+σ2g(N,M))
·exp
− (x−(µg+A))2 2(σ2n+σ2g(N,M))
dx, (2.74)
で与えられる. 伝搬路にレイリーフェージングを仮定すると,レイリーフェージング環境下での BER特性は以下で与えられる.
P¯b( ¯γ)= Z ∞
0
f(γ,γ)P¯ e(γ)dγ
= 1
(N−1)! ¯γN · Z ∞
0
γN−1exp −γ
¯ γ
!
Pe(γ, µg, σ2g(N,M))dγ. (2.75)