NARANJO BEJARANO CARLOS
3. LBG、HRG 研究
3.1 「BotFighters」(LBG)
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マウラ教授らは、位置情報ゲーム(LBG)研究をか なり早くから始めた。2001 年にはスウェーデンの会社
(It’s Alive)が制作しフィンランドでもリリースされた
「BotFighters」1
1 プレイヤーが戦闘ロボットになり、現実世界で近接する他 プレイヤー(ロボット)と戦闘するゲーム。プレイヤーの位 置の測定のため、GSM(2G)ネットワーク上の基地局IDを 利用した[2]。
というLBGを使った実験を行った。こ のゲームでは、プレイヤーはSMSテクストメッセージ をゲームプレイの手段として使い、メッセージを通し てコマンドをサーバに送り、別のテクストメッセージ が返ってくる。1990年代後半から2000年代前半の携帯 電話は非常に単純で、カラーディスプレイはなかった。
しかし、「BotFighters」は、電話センターのマストにあ るセル・トライアンギュレーションを使用し、基地局ID
(Cell ID)に基づいて大まかにプレイヤーを都市の中 に位置づけていた。
3.2 「The Songs of North」(LBG)
「BotFighters」を使った実験の次に、ゲーム研究ラボ は自ら「The Songs of North」2というLBGの試作品を制 作した3
2 プレイヤーが精霊世界と交流できる魔術師になって、物理 的世界を移動しながら、アイテム等を集めたり、他のプレイ ヤーと争ったりするゲーム。プレイヤーは携帯端末を通して、
普通の人には見えない精霊の声を聴き、精霊を見て、様々な 魔法を唱える。ゲーム世界(精霊世界)で起きていることを 聴くだけで遊ぶことができるようにデザインされている[3]。
3 「The Songs of North」は、フィンランド技術庁(Tekes)や
ノキア、テリアソネラなどから30万ユーロの提供を受け、ゲ ーム研究ラボが2003~2004年に実施した研究プロジェクト
「Mogame: The Wireless Gaming Solutions of the Future Project」
の一環として制作された。なお、「Mogame」の目的は、モバ イル端末向けの永続的に続く(persistent)多人数参加型ゲー ムの試作品の制作であった。
。このゲームは、フィンランドの国民神話であ る「カレワラ(Kalevala)」に基づいている。カレワラ は、ギリシャの「イリヤ」や「オデッセイ」のように、
100以上、1,000年以上に及ぶ歴史に関する叙事詩であ る。ゲーム研究ラボは、現代のモバイルゲームをカレ ワラ神話に基づいて制作した。
試作品では、プレイヤーは都市(タンペレ)を携帯 電話を持って歩く。ゲーム研究ラボはLBGの多様なデ ザインを研究し、デザインのガイドラインを作るため に実験を行い、将来のLBGへの助言を作成した。その 成果の一つが、「事故に巻き込まれる恐れがあるので、
歩行中にプレイヤーが端末を見ないようにゲームをデ ザインしてください」といったガイドラインである。
試作品では、プレイヤーに端末をポケットに入れる ことを求め、歩いている時に端末から音が出るように した。現実世界のある場所に来ると、幽霊や精霊がさ さやいている音が端末から聞こえる。そこでプレイヤ ーが立ち止まって、端末を取り出し、ゲームをプレイ するために端末にタップするようにした。
3.3 LARP(Pervasive Games)
その後、ゲーム研究ラボは「Pervasive Games」という 巨大研究プロジェクトを実施した4
マウラ教授らにとって、「ポケモン GO」は興味深い 現象である。なぜなら、このようなことが起こること を15年前から待っていたからである。人びとが外で遊 ぶことが人気になり、現実の至る所で遊ぶゲームプレ イスタイルで、物理世界とデジタル世界を結びつける ことが人気になるかもしれない。もちろん「ポケモン
。モバイルゲーム、
LBG、Live Action Role Play Game(LARP)のような非 常に多くのゲームを研究した。LARPは、コミュニティ によって作られた、非商業的で、芸術的なゲームであ る。若い人たちが、SFやファンタジー、中世史、政治
(国際危機や難民など)に関するLARPを作っていた。
プレイヤーは、戦争や民族対立のために他国から来た 難民や、兵士などの役割を演じる。これらの役割を通 して、故郷を離れた人びとの苦難や、他者が使ってい る言語がわからない時の状況、国境管理、警察の対応 などを学ぶことができる。LARPは新しい芸術の形式で、
北欧では特に重要になっている。LARPでは、ゲームは 数日間か数週間、あるいはそれ以上続き、プレイヤー は濃い体験をする。そこで、人びとは自分のコスチュ ームを着て、技術の特殊な効果を使い、特殊な体験を 得るために多くのお金を自分や友人のために費やす。
LARPは、協力に基づく芸術形式である。「Pervasive Games」プロジェクトは、LARPや他の新しい芸術形式 のための技術の利用について研究している。こうした 技術の利用は、人びとの想像力と政治、社会を組み合 わせることで実現できる。Pervasive GameやLARPに関 する研究は続いており、いくつかの本や博士論文が成 果として蓄積されている。
3.4 「ポケモンGO」とルディフィケーション
4正式名称は、「IPerG: Integrated Project on Pervasive Gaming」
である。このプロジェクトは、2004~2008年に、欧州委員会 などから約45万ユーロの提供を受けて実施された。このプロ ジェクトの研究成果がMarkus Montola(タンペレ大学、ノキ ア研究センター(当時))らが2009年に著した『Pervasive Games』である[4]。
GO」は特別な体験である。なぜなら「ポケモン」は有 名ブランドだからである。「ポケモン GO」はシンプル なゲームで、簡単に遊べ、子どもや老人などあらゆる 人に開かれており、一緒に歩いたりポケモンチームを 作ったりするなど、社会的な協力を奨励する。これは 完全に家族向けのゲームであり、それが人気と成功に とって重要な要因である、とマウラ教授は説明する。
マ ウ ラ 教 授 ら は 、「 ル デ ィ フ ィ ケ ー シ ョ ン Ludification)」に注目した研究プロジェクトを進めてい る。「ルディフィケーション」は「ゲーミフィケーショ ン」ではない。なぜなら、ゲーミフィケーションは単 にゲームの要素を取り出し、役に立つ目的のために(社 会に)適用するだけのものだからである。これに対し て、ルディフィケーションは、社会や文化をより楽し いものに変えることを議論する。
ゲーム研究ラボは、「ポケモンGO」やその他のゲーム の人気を、私たちの文化が楽しさ(Playfulness)や公共 的な遊びに寛容であることを示す根拠であると見てい る。フィンランドでは、2010年に「Shadow Cities」5と いう「ポケモンGO」に良く似たゲームが作られたが、
人気にならなかった。理由の一つは、複雑すぎたこと である。「ポケモンGO」はシンプルで、とても親しまれ ているポケモンが出るゲームで、熱狂的になりやすか った。もう一つの理由としてマウラ教授らが考えてい るのは、2010 年にはこの種の現象に対して文化が成熟 していなかった、ということである。現在、人びとが 職場や学校でゲームをプレイすることは日常的になっ ている。街を携帯端末上の「ポケモンGO」と歩いても、
それが認められるようになった。というのは、文化が 変化して、人びとが、たとえ社会人であっても、ゲー ムプレイヤーであることを示すことを、規範が許すよ うになったからである。これがルディフィケーション、
つまり「文化や社会の変化」であり、ゲーム研究ラボ の最新の研究テーマである6
5 フィンランドのGrey Area社によって制作・配信されたiOS 用LBG。物理的世界を移動しながら、黒色を基調としたゲー ム画面上で、2つの陣営が争う。2013年に配信が停止された。
「Ingress」(Niantic)に影響を与えたと指摘されている。
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6 「Ludification of Culture and Society」は、2014年から2018 年にかけて実施予定の研究プロジェクトで、アカデミー・オ
また、プレイフルデザイン、つまり、職場環境への 遊びの導入や仕事をより創造的にする方法についても 研究している。というのは、ロボットやオートメーシ ョンが退屈な仕事を行うようになっており、人間の仕 事が生き残るためには、それが創造的でなければなら なくなったからである。多くの職場では、いかに人び とを創造的にするかに取り組んでいる。遊んでいる時、
心はよりリラックスし、多様な思考方法を思いつく。
また、楽しさは情報交換を促進し、人びとをより互い にオープンにする。遊びには社会的利点があり、人び とを幸福にしリラックスさせ、アイデアに心を開かせ る。楽しい会社の文化は、民主的でヒエラルキーがな く、上司も遊び、誰でもチームのメンバーとしてイニ シアチブを取ることができる。このことは新製品やイ ノベーションを作ることに貢献し、人びとを支援する。
自分の会社を作っている若い世代は、異なる文化を 創っている。ゲーム会社のSupercellはその良い例である。
この会社は若い人びとによって設立され、スタッフは 靴を履かないで過ごす。同社は「細胞(cell)」、あるい は小さなチームで構成されており、企業文化はきわめ て民主的で、誰もがリーダーである。ゲーム研究ラボ も「OASIS」7
マウラ教授や、トゥルク大学のヤッコ・スオミネン
(Jaakko Suominen)教授のグループは、物理的製品と デジタル製品を組み合わせた社会的遊び(Hybrid Social Play)に関する研究
という特別な遊び部屋を作っている。そ こで、学生やスタッフは、数千のカラフルなボールが 入ったバスタブに入ったり、そこでミーティングした りすることができる。
8に加えて、フィンランドの「ポケ モンGO」プレイヤーの研究を開始し、約 2,500の回答 に対するサーベイ調査のデータの分析を開始している9 ブ・フィンランドから総額35万ユーロの提供を受けている。
7 マウラ教授の研究室と同じ建物の同じフロアにある
OASISには、学生やスタッフがリラックスしたり議論できる
椅子、机、ボールが入ったバスタブの他、ゲームやコミック、
おもちゃなどが用意されている[6]。
8 「Hybrid Social Play」は、2016~2018年に実施予定の研究 プロジェクトで、フィンランド技術庁や企業から約19万ユー ロの提供を受けている。
9 研究成果の一部が、2017年1月に「Mobile Media &
Communication」誌に掲載されている[7]。
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