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研究背景

ドキュメント内 2016 2016 目次 (ページ 131-134)

NARANJO BEJARANO CARLOS

1. 研究背景

1.1. 概念と定義

松井(2015)は Electronic sports(esports)を,「さまざ まなデジタルゲームを「競争」としてとらえ,一定の ゲームルールのもとにプレイヤーが競い合うこと」と 定義している.一方,中国体育総局の定義は「ハイテ ク設備を運動用具として使って,スポーツルールがあ る人と人の知力競争スポーツ」である(李(2008)).

本研究は松井の定義に従う.

1.2. 中国esports発展史

中国では1998年にネットバーが急増した.同時に利用 料金が大きく下がったことでesportsが始まった.esports プレイヤーが誕生したと同時に,Warcraft,StarCraftな どのesportsゲームが中国に導入された. StarCraftプレ イヤーたちは,中国の初期競技団体を作った(BBKinG

(2013)).

芝浦工業大学〒337-8570 埼玉県さいたま市見沼区深作307

AbstractElectronic sports have become one of the most a popular industry in China. The booming of esports in China brings millions of youths to take part in this industry. We conducted the questionnaire survey, using a sample of 219 Chinese youths, and this survey included some questions: the situation of game charging, the game incurs monthly charges, the self-evaluation and characteristics. The consequences of this survey are: 1) The cross-analysis of

“self-evaluation of your hobbies” and monthly charges showed that the more money they charge, the more they tend to agree “My interest is not what my family or the society wants”. 2) Factor analyses yielded four factors: full of confidence, violence, isolated and interests and friends. 3) The factors of ”full of confidence” and “hobbies and friends”

showed that the more money they charge,the scores of those factors have a descending trend.

Keywords esports, China, mentality, self-confidence

esportsの最初の段階である2002年6月,北京藍 极速ネ

ットバーで火災が発生した.40 人以上の死傷者を出し たこの事件をきっかけに,北京全域のネットバーはす べて閉鎖された.2003 年初頭にようやくネットバーが 再開されたが,SARS(重症急性呼吸器症候群)の追い 討ちを受けた結果,ネットバーの本格的な活動再開で きたのは2003年夏だった.当時,ネットバーは宣伝活

動としてesportsのさまざまな活動を行っていた.1年

間のネットバーの閉鎖はesportsの発展を妨げた.

一方で,中国のesportsプレイヤー数は順調に増えてい った.中国政府は2003年にesportsを正式スポーツ種目 と認め,2004年「第一回中国esports運動大会」を行っ た.(李(2005))esports は一般的なゲームプレイヤー に普及した.

その後,中国では一般家庭でのインターネット接続が 急速に普及した.2008年12月の中国のインターネット ユーザー数は2.98億人,その中の59.3%がオンライン ゲームのプレイヤーだった .インターネットの発展と 共に,数多くのesportsのイベントとインターネット番 組も登場した .

2016年末の中国esports市場の価値は45億ドルと予想 されている .市場が拡大することで資金力がある新ク ラブが生まれ,選手は専門的な訓練を受けている.そ れらのクラブの中から,国際大会の優勝 チームも生ま れている.

1.3. 中国でのesportsイメージの変遷

中国のネットバーの経営者は宣伝活動として,esports の活動と対戦大会を行っていた.そのため,中国で最

初のesportsプレイヤーはネットバーのゲームプレイヤ

ーである.

その後,esports プレイヤーが増加すると共に,世界 的な有名なesportsイベントが知られるようになった.

esportsイベントに参加するために多くのesports選手が

登場したが,当時の「esports選手」「esportsプレイヤー」

に対する認識は,「ネットバーのゲームプレイヤーとな ったお金持ちの子供」に過ぎなかった.

2003年には,中国政府はesportsを正式体育種類とし て規則を制定し,esports 選手とイベントを管理するよ うになった.テレビ局はesports番組を放送していた.

親世代は長時間ゲームをプレイしている青少年を「イ ンターネット中毒」と見なし,青少年たちはインター ネ ッ ト 中 毒 治 療 キ ャ ン プ に 送 ら れ た (Zhen and Hornby(2009)).

マスコミはesportsに関するネガティブな記事を書い ていた.人々のesports選手に対する評価は低かった.

esportsへの反対の声が続いていることも有り,2004年

に中国広電総局は esports を含む全てのゲーム関連の TV番組を禁止した.

現在では状況が変化しているが,esports への評価は 賛否両論である.人民日報の2015 年2 月の記事では,

「esports は賭博中毒と同じとして見られるべきではな い」,「esports はサッカーと同じ,青少年には良い」と 主張されている(2015年2月 人民日報「电子竞技不应 等同于沉迷游戏」).学業を無視して長時間ゲームをプ レイしている子供や青少年に対して人々が納得できな いは当然だが,彼らがesports選手を目指してスキル・

技術・ゲーム戦略の練習することは,現在では社会的 に許容されている.

2016年にDOTA2の世界大会であるTI6で中国のチー

ムwingsが優勝し,賞金913.6万ドルを獲得した.その

結果は新華社,中国日報,および CCTVなどの主要な マスコミで報道された.実は,中国チームは2012年と 2014 年にも優勝したが,当時はほとんど報道されなか った.

2.研究目的

現在の中国ではesportsとesportsプレイヤーに注目が 集まっている.本研究では中国の若者のesportsイメー

ジとプレイヤーの特徴を調査する.ここまで述べたよ うに,esports は年長世代で評判が良くないため,本調 査では「回答者が「自分が(主に年長者から)どう思 われている」と思っているか」に注目する.

中国社会は伝統的な家族形態が残っており,家庭内 での親の権力が大きい.中国の若者は親の影響が強く,

「親からどう思われるか」を特に重要視していると仮 定して調査を行う.質問内容は回答者の属性に加えて

「esports の消費状況」,「esportsとの関わり方」,「本人 の交友関係」,「本人の自己評価・性格」の 4 つの部分 から構成されている.

3.インターネット調査

3.1調査概要

上記の目的でインターネット調査を行った.概要は以 下のとおりである.

1)調査対象:北京,上海の若者

2)調査日: 2016年10月3日~10月21日 3)有効回答数:219(男性:103,女性:116)

3.2課金額

課金について質問したところ,esports を知っている

人の 50%以上が課金していた.「自分の趣味への評価」

についての質問では,課金値が多いほど,「自分の趣味 は社会・家庭に望まれているような趣味では無いと思 う」にそう思うと回答する割合が増加した.この傾向 は,月額1000人民元(日本円で約2万円)以上の高額 課金者で強く見られた(図1).

図1 課金額と趣味への評価

「esportsゲームに趣味を持っている人の社会評価が低いと 思う」という質問に対して,無課金な人より,課金していた 人の方が「当てはまる」と「すこし当てはまる」と答えた割

4 7 0

4

16 14 4

3

24 23 9

7

9 9 2 1

3 2 0 1

0% 20% 40% 60% 80% 100%

0 少額課金(400まで)

高額課金(400以上1000未満)

超高額(1000以上)

当てはまる 少し当てはまる どちらともいえない あまり当てはまらない 当てはまらない

合が多かった.

「esports選手の社会地位が高いと思う」質問に,課金して いた人の方が「当てはまる」と「すこし当てはまる」を答え た割合が多い,40%近くの課金していた人はそう思うと答え た一方,課金なしの人の割合は20%未満だった.

「esportsゲームに趣味を持つので、日常生活・仕事・勉強 に悪い影響があると思う」質問に対して,課金していた人の 中,40%近くは「当てはまる」と「すくし当てはまる」と答 えた.課金なしの人はこの質問に「当てはまる」と「すくし 当てはまる」と答えた割合は20%であった.課金していた人 は課金なしの人より,esportsゲームをプレイする時間が多い と考えて,日常生活・仕事・勉強に悪い影響も多い.

以上の質問の集計結果を見ると,esports に趣味を持って

いるとesports選手に対して,esportsを知っている若者たちが

賛否両論であり,評価が低いと感じている.

3.3プレイヤーの性格に関する因子分析

「本人の交友関係」,「本人の自己評価・性格」に関 連する質問群に対して因子分析を行ない,4因子を抽出 した.各因子をその内容からそれぞれ「自信満々」,「暴 力」,「孤立」,「趣味と友人」と名付けた.課金額と各 因子得点の間の関係を示したのが図 2 である.「自信 満々」「趣味と友人」の項目で,課金額が増えるにつれ て因子得点が低下する傾向がある.

図2 課金額と因子得点

4.今後の課題

今回の調査はまだパイロット版であり,サンプル数 が少なかったこともあってまだ結果が安定していると は言えない.今後はアンケート内容を改良したうえで,

より多くのサンプル数で調査・分析を進める.

文 献

[1] 松井(2015),「Electronic sports:デジタルゲーム競 技」,徳岡正肇(編著)『ゲームの今』,ソフトバンク パブリッシング

[2]BBkinG(2015),『中国电竞幕后史』,长江文艺出版 社

[3] 李宗浩,李柏,王建(2005),『电子竞技运动概论」,

人民体育出版社

[4]中村(2005),『中国ゲームビジネス徹底研究 2005』,

エンターブイレイン

[5]李涛(2008),「我国 电子竞技产业的发展研究」,广西

师范大学修士論文,体育人文社会学

[6] 新 華 網 ( 2012 ),「 网吧 的 生 存 困 境 」 , http://www.cq.xinhuanet.com/2012-02/22/content_24756 785.htm

[7] CNNIC(2009年1月),「第 23次中国互联网络发展 状 况 统 计 报 告 」 , http://www.cnnic.net.cn/hlwfzyj/hlwxzbg/hlwtjbg/20120 6/t20120612_26714.htm

[8] iResearch(2011)「 中 国电子竞技 行业研 究报告

( 2010-2011 ) 」 ,

http://chanye.uuu9.com/pdf/dzjjdcbg.pdf

[9] Liu Zhen and Lucy Hornby(2009), China bans electro-shock therapy for Internet addicts, http://www.reuters.com/article/us-china-electroshock-life -idUSTRE56D1P320090714

[10]『Warcraft』, Blizzard Entertainment, 1994(PC) [11]『StarCraft』, Blizzard Entertainment, 1998(PC) [12]『DOTA2』, Valve Corporation, 2009(free-to-play) and

2013(released)(PC)

日本デジタルゲーム学会 2016年次大会 予稿集 Digital Games Research Association JAPAN Proceedings of 2016 Annual Conference

ゲームプレイにおけるフロー体験と覚醒感の相関関係(2)

木村 知宏

東京大学大学院 学際情報学府 〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1 E-mail: [email protected]

概要 本研究では、ゲームプレイによって生じるフロー体験と覚醒感との関連について検討する。フロー体験チ ェック・リストと感情・覚醒チェックリストを用いた実験を行ったところ、フロー体験とエネルギー覚醒 (活力感) との間において正の相関が認められた。フロー体験と緊張覚醒 (緊張感) との間に有意な相関は認められなかった。

キーワード ゲームプレイ,フロー体験,覚醒,感情

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