NARANJO BEJARANO CARLOS
鳥海不二夫 ⅰ 篠田孝祐 ii 大澤博隆 iii 三宅陽一郎 iv
4. 時代区分の再整理と現状認識:
共進化から競争へ
拙著ではPC・アーケード・家庭用の各市場で黎明期・
2D期・3D期と主にグラフィクスの手法(=技術史的観 点)で時代を区分していた(15ページ)。時代を区分す ること自体は産業論を行う際に見通しをよくするため に重要だが、後発のオンラインゲームやモバイルゲー ムでは時代区分をどうするのかについての議論は不十 分である。ゲーム産業史を包括して議論する際には、
市場別ではない形で時代区分を行う方が望ましい。
そこで、発表者は表1にあるような黎明期・3市場 期・5市場期・現代の4時代区分を提唱する。黎明期は これまでと同じく、「産業の根幹が固まるまで」である。
3市場期の3市場はPC・アーケード・家庭用の各市場
を、5市場期の5市場は3市場に加えてオンライン・携 帯電話の市場を指す。3市場期と5市場期は拙著で2D 期・3D期としていた時代区分を多様な要因を議論可能 にするために言い換えたものである。現代は市場区分 としては 5 市場期と変化がないが、市場間の力関係や ビジネスパラダイムが大きく変化したため、次の時代 区分とした。
5市場期に始まった技術面の大きな変化に「各市場で 出ているハード間の性能差の縮小」がある。5市場期に は家庭用ゲーム機が据置機・携帯機ともにPCやアーケ ード、携帯電話(当時はフィーチャーフォン)を凌駕 していた。現代はPCと携帯電話(スマートフォン)が 性能面で家庭用ゲーム機の現世代機を凌駕しているだ けでなく、PC と家庭用(据置機)、スマートフォンと 家庭用(携帯機)の 2 つの市場に向けて同じタイトル がリリースされるケースが数多く存在している。
3市場期のゲーム産業では各市場は「市場成立時の性 能差に帰する(と考えられる)プラットフォームカル
チャー」とでもいうべき個性を持っており、明確に(5 市場期でも一部のPCと家庭用(据置機)を除いて)棲 み分けていた。各市場間での影響関係はあったが、そ れは他の市場で話題となっている要素を相互に取り込 みあう、という牧歌的な関係だった。共進化関係とい っていいだろう。
現代になって各市場でのプラットフォーム性能差が 縮小した結果、相互にユーザーを取り合う市場間競争 関係へとシフトした。
表1 ゲーム産業史の時代区分
時代区分 主たる内容 全体をけん引する市場
黎明期
~1980年代前半まで
コンピュータゲームの誕生から、
基本的な表現技術・ビジネスモデ ルが確定するまで。
アーケード PC
3市場期(2D期)
~1990年代前半まで
ゲームビジネスの基本が確定し、
市場が拡大する時期。技術的に,
2D グラフィクス全盛期と重なる。
途中でアーキテクチャに 8 ビット
→16 ビットの移行が発生。
アーケード PC
5市場期(3D期)
~2000年代前半まで
新市場の誕生やビジネス巨大化な ど、産業構造が激変。日本ゲーム 産業の絶頂期&没落の開始。技術 的には,3D グラフィクスの普及・
定着と重なる。
家庭用
現代 モバイル(スマホ)の台頭による 競争環境の変化
市場の中心:家庭用→スマホへ 市場の関係:共進化から競争へ
携帯電話(スマートフォン)
文 献
小山友介(2016). 日本デジタルゲーム産業史. 人文書
院
新宅純二郎,田中辰雄,柳川範之(2003).ゲーム産業 の経済分析. 東洋経済新報社
日経BP社ゲーム産業取材班(2016).日本ゲーム産業 史 ゲームソフトの巨人たち.日経BP社.
[1] 中川大地(2016).現代ゲーム全史 文明の遊戯史 観から. 早川書房
ゲーム (1) 『Pong』, Atari, Atari, 1973.
(2) 『Space Invaders』,Taito,Taito, 1979. (Arcade)
Perspectives in history of video game industry in Japan
- from co-evolution to competition -
Yuhsuke KOYAMA
ⅰⅰ
307 Fukasaku, Minuma-ku, Saitama, Saitama 337-8570 Japan E-mail:
Faculty of Systems Engineering and Systems Science, Shibaura Institute of Technology
ⅰ
AbstractIn discussing the game industry, it is necessary to organize about "what happened in the past to the game industry" (industrial history). In addition, to draw out the history of the game industry, "What phenomena that occurred in the past are important from the criteria for extracting existence "(industry theory) is important. As a first step in building the gaming industry theory, we will extract phenomena (= elements characteristic of competition in the game industry) that emerge beyond the market or the era from the history of the game industry.
KeywordsGame industry, co-evolution, competition between markets, industrial history, industry theory
日本デジタルゲーム学会 2016年 年次大会 予稿集 Digital Games Research Association JAPAN Proceedings of 2016 Annual Conference
中部ゲーム産学協議会の活動 産学協同の事例として
山田 愼
名古屋工学院専門学校 〒456-0031 愛知県名古屋市熱田区神宮 4-7-21 E-mail: [email protected]
概要 中部地方で独自の活動を続ける「GAIRA」こと中部ゲーム産学協議会について、創設から
5年間に及ぶ活動の実際を採り上げ、ゲーム分野における地方での産学協同の事例として報告する。
キーワード GAIRA,DiGRA-C,中部ゲーム産学協議会,ゲーム団体, 産学協同
1. はじめに
70年代の終わりに登場して以来、ゲーム産業は約40 年もの歴史を刻んだ[1]。黎明期においては規模は小さく、
いわばムラ社会的なコミュニティだったといえる。し かし、何度かのブームを迎え、急速に規模が拡大し、
産業としても本格化する。そして、社会がゲマインシ ャフト中心からゲゼルシャフト中心へと移行するよう に、この分野でもさまざまな団体が設立されていった。
まず、主に企業が集まって作られる、いわゆる業界 団体がある。アーケードゲーム分野の「JAMMA」(1981 年)や、コンシューマゲームを中心とする「CESA」(1996 年)などである[2]
これら全国規模の団体がある一方で、地域的セグメ ントに根ざした団体も存在するようになってきた。
2004 年には、福岡のゲーム会社3社が中心になって
「GFF」(GAME FACTORY'S FRIENDSHIP)が設立さ れた。さらに2010年には、関西で「GIPWest」(Game Innovators Portal West)が設立されている。
「GAIRA」こと中部ゲーム産学協議会も、そうした 団体の一つである。実質的に活動を開始してから5年、
着実に実績を積んでいる。そのあり方には、むろん中 部地方という地域性ゆえに成立している側面はあるも のの、首都圏でも京阪神でもない第三極の事例として、
全国の関係者にとって参考になる点も多いであろう。
このたび当地方で日本デジタルゲーム学会の年次大会 が開催されるのを機に、GAIRAの活動を紹介していき たい。
2. GAIRA とは
。一方、個人を構成員とする団体とし ては、主にゲーム開発者を対象にする「IGDA日本」
(2002 年)が挙げられる。学術分野でも、日本デジタ ルゲーム学会をはじめ、複数の団体が存在している。
中部ゲーム産学協議会は、2013 年に名古屋市におい て 発 足 し た 任 意 団 体 で あ る 。 英 語 名 称 は 「Game Academics & Industries Relationship Association」で、その 頭文字をとった「GAIRA」(がいら)を、会の通称とし ている(以下、本稿においてもGAIRAと称する)。
GAIRAの目的は、その名称に現れている。中部地方
を基盤にゲームなどの分野に取り組む産業・学術の団 体や個人が連携、○情報やノウハウの共有、○社会への 啓蒙、○人材育成に貢献する活動、を行うというもので ある。
実質的な発足時では、法人として參加したのは、ゲ ーム会社 4 社と専門学校2校であった。その後参加が 増え、現在では、5社/5校(他、加盟手続き中2社)
となっている。
Fig,1 GAIRAロゴおよび法人会員