インタラクティブ発表
渡邉甲人 ⅰ 遠藤雅伸 ⅱ
4. 評価
指を使った単純な操作でチーム協調型対戦ゲームを実 現し, 子ども達が協調性や社会性を学ぶことを提案し ている. これらの研究では, 2~3人での協調性, 一体感 を実現しており, HMI(Human Machine Interface)を用い ることでゲーム性を高めている. 一方で, 多人数での 協調性の学習, また, 大がかりな HMI を用いなければ ならないという問題点があり, 機材を揃えるのが難し い.
また, 協力的運動プログラムとしての大縄跳びの効 果[4]では, 体育授業に大縄跳びを導入することで, 生徒に統制感を感じさせ, 仲間と協力することで体育 授業参加に対するストレスを軽減することができるか を確かめている. 授業のウォーミングアップとして大 縄跳びを行い, ストレスに関するアンケートを行った 結果,予想していた「ストレスを軽減する」という結果 には至らなかった. この理由として大縄跳びを導入し た結果, 失敗した生徒へ批判が更にストレスを感じる 結果となってしまったと考えられる. クラス全員で行 える運動であることから大縄跳びを実施する学校が多 いが, 大縄跳びでは跳んだ回数を競い合うため, 大縄 跳びに苦手意識のある子どもは, 縄に引っかかってし まった際に周りに責められる事であったり, 縄が足に 当たる痛みなどを恐れて大縄跳びを楽しめずに肩身が 狭くなってしまうことがある.
3. 「とびとび」のシステム概要
2 章で述べた問題点を解決するための大縄跳び訓練 シリアスゲーム「とびとび」を開発した. とびとびでは, モーションキャプチャを利用して実際にプレイヤーは ジャンプをして大縄跳びを行う. システムは Unity と Kinect for Windows v2(Kinect)[5]を 用 い て 実 装 し た.
Kinect により人間の骨格を認識することで, ディスプ
レイ上にプレイヤーの骨格情報をリアルタイムで表示 させることができる. ディスプレイ内では3Dキャラク タ(NPC)が大縄跳びを回す. 参加者はKinectの正面に立 ち, 自身の分身となる3Dキャラを使用し次々と縄の中 に入る. 同時プレイ人数は 2〜4 人を想定する. 回して いる縄にタイミングが合うよう実際にジャンプをし,
跳べた時間・回数や人数等で得点を稼ぐ. 縄が身体に触 れてしまったら, 画面右上に表示している現在の回数 が0になる. (図1) そして, 制限時間がゼロになったら ゲームが終了し, 最高連続回数が画面上に表示され, ゲームは終了する.
図1. プレイ画像の例
本体験会では 3 グループに別れて行い, 簡単な説明 の後に体験を行った. 体験会の流れを以下に示す.
(1) 本ゲームについての説明を行う.
(2) 3〜4名で1チームを組んでもらい, 1チーム毎に 体験を行う. 参加が終わったらアンケートを記入 してもらう.
(3) 全員参加するまで(3)を繰り返す.
(4) グループ交代
図2 体験会の様子
4.2 初期評価の結果
図3 に初期評価でのチーム毎のジャンプ結果を示す.
ここでは, 各チーム名をAからTとした. 結果, チーム 毎の平均は0.9回で, 難易度の高い結果になった. これ は,ゲームの動作のタイミングに 1 度のみのプレイで は慣れなかったためと考えられる.
図4にジャンプ回数別のアンケート結果を示す. 「こ のゲームは楽しかったですか?」の項目では非常にそ う思うの回答が多く, 参加者は楽しく大縄跳びをする ことが実現出来たことがわかる. さらに, 回数別に見 てみると, 1回も跳ぶことが出来なかったチームの人で も楽しかったと高い評価を付けている. 実際の大縄跳 びでは, 跳ぶことが出来ないと, 縄に当たった際の痛 みや, 進行が止まり回数がゼロになるプレッシャーな どの障壁があるが, 本システムでは, ミスをするプレ ッシャーを感じることなくプレイすることが出来て, お互いにコミュニケーションを取りながらジャンプを する空間を創出した. よって, 跳ぶことが出来なかっ た参加者も楽しむことが出来たと考えられる.
図3 チーム毎のジャンプ回数
図4 ジャンプ回数別アンケート結果
5. 「とびとび」の改良
初期評価の結果から, 1度のみの体験でも「楽しくチ ームで協調し合い, 跳べたという実感を得られる」も のに改良する必要がある. そこで, さらに機能を改良 したβ版を開発した. β版の流れを図5に示す.
β版では引っかかってしまう判定になると跳ぶ前の タイミングで縄が止まり, ミスをしたことを表す画像 が表示される. (図5-④) この際に, チームで同じタイミ ングで跳ぶことが出来たら, 縄が回りゲームが続行す る. よって, タイミングを合わせて跳ぶ段階がユーザ ーのペースで行うことが可能になる. また, この際に 掛け声を掛けるなどの協調作業がより期待できる.
加えて, 大縄跳びが苦手な人を対象に, ミスをして も認識されずにゲームが継続する機能(ハンディキャッ プ)を付けた. (図 5-②) ゲームが開始する前にハンディ キャップ選択画面へと遷移し, 0 から 3 のハンディレ ベルを選択する. この選択したレベルの回数分ミスを してもゲーム上ではエフェクトが表示され, 回数はリ セットされない. これは, 大縄跳びが苦手なプレイヤ
ーでもミスへの恐れを軽減し, プレイを楽しむことが できるようにしたためである.
図5 β版の流れ
6. おわりに
本研究では, モーションキャプチャを利用して, タ イミングが合うように複数人でジャンプをする大縄 跳びシリアスゲーム「とびとび」α版を開発し, 初期 評価を実施した. その結果に基づき, さらにチーム での協調要素を加え, 「とびとび」β版を開発した.
初期評価では, 1 チームの参加が終わる毎に, こちら から参加を呼びかけてからチームを作成し, 体験を 行った. 一緒にプレイをするチーム全員が仲の良い
友達という訳では無い状況で, 実際に参加者は跳び ながら「せーの」という掛け声を掛けたり, 「もう少 し早く」とアドバイスをし合う様子が見られた. よっ て, 本システムによって,お互いが適切なコミュニケ ーションを行い, 協調し合う様子が確認出来た.
今後の課題として, β版の評価により拡張機能の効 果を確認し, さらにそこで得られた知見について改良 を施す予定である.α版β版共に, システム拡張によ り機能を増やすことも含めて, モチベーションの維持 に繋がるような演出面での工夫や, 当たり判定の調整 を進めていきたい.
文 献
[1] 横窪杏奈, 佐藤彩夏, 椎尾一郎: “大縄オーケスト ラ: 身体動作と音楽を融合したインタラクティブ システムの提案”, エンターテインメントコンピュ ーティング(2010)
[2] 武田智裕, 古市昌一: “チーム対戦テーブルトップ 型シリアスゲーム Line Ho!ckey の開発”, 情報処 理学会インタラクション pp. 717-722
[3] Dietz, P., et al. “DiamondTouch : A Multi-User Touch Technology”, ACM UIST 2001 Symposium on User Interface and Software Technology, pp. 219-226, 2001.
[4] 平井元気: ”中学生の体育授業参加に対するスト レスについて: 協調性運動プログラムとしての大 縄 跳び の効 果”, 日 本体 育学 会予 稿集(61), 120, 2010-09-08
[5] Microsoft Kinect for
Window
A Development of Group Jump Rope Training Serious Game to Improve Cooperation Skill of Children
ⅰ
Koyo ARAI
ⅰYushi KIJIMA
ⅰHisanaga KURODA
ⅱMegumi AIBARA
ⅱMasakazu FURUICHI
ⅰ
Nihon University, College of Industrial Technology
ⅱE-mail: [email protected]
Nihon University, Graduate School of Industrial Technology 1-2-1 Izumicho, Narashinoshi, Chiba, Japan
Abstract In Japan, group jump rope is being implemented in schools as a part of cooperation and communication education. However, for children who are not good at exercising, there was a problem that criticism of failure and fear of pain of rope made it difficult to achieve educational objectives. Therefore, we developed a serious game which makes a group jump rope in virtual by using motion capture, solved these problems and realized improvement of cooperativeness.
Keywords Jump Rope Traning, Cooperation Skill Support, Sports, Serious Game, Kinect
日本デジタルゲーム学会 2016年 年次大会 予稿集 Digital Games Research Association JAPAN Proceedings of 2016 Annual Conference
視線追跡装置を用いたプレイヤーの視線を 使用するシューティングゲームの試作と検証
池上 友貴
ⅰ岸本 好弘
ⅱ三上 浩司
ⅱⅰ東京工科大学メディア学部 〒194-0982 東京都八王子市片倉町 1404-1 E-mail: ⅰ[email protected], Ⅱ{ kishimotoy, mikami } @stf.teu.ac.jp
概要 次世代のシューティングゲームの提案として,視線追跡装置という新規デバイスを用いたシューティング ゲームを試作した.これはプレイヤーの視線で狙った敵機に弾を発射する「視線先誘導弾」を実装したものである.
自機に最も近い敵機に向けて弾を誘導する従来のシステムと比較して,本システムの優位性を検証するため,同一 ステージでプレイを行い,スコアと自機の被弾数,および事後アンケートの「敵を気持ちよく倒せた」という回答 から本システムの優位性が確認できたので報告する.
キーワード 視線追跡,シューティングゲーム,Tobii eyeX,誘導弾
1. はじめに
1.1 研究背景
日本のシューティングゲーム(以後STG)は1978年 にタイトーから販売された固定画面の『スペースイン ベーダー』(1)に始まる.このゲームは「敵の弾を避けな がら敵を倒す」「敵を倒すとスコアが伸びる」というSTG の基礎ルールを確立したゲームである.
1983 年にナムコから販売された『ゼビウス』(2)では ステージが縦にスクロールし,ストーリー性のある世 界観が生まれた.自機が 8 方向に動き,敵機も移動し ながら攻撃をし,ステージの最後にはボスが出現する という,現在まで続くSTGの原型となったゲームである.
1985年にコナミから販売された『グラディウス』(3)は ステージが横にスクロールし,STGジャンルを広げた.
しかし,近年はSTGの人気は振るわない.この打開策 のためにメーカーは,プラットフォームを変えてSTG というジャンルを開発している.2015 年にソーシャル ゲームとしてケイブから『ゴシックは魔法乙女』(4)
STG におけるプレイヤーを補助する方法として自機 のショットを強化する方法がある.弾の威力を上げた り,弾の数を増やしたり,敵機に向かって誘導する弾
等がそれに当たる.
本研究では,多くのSTGに用いられている「誘導弾」
に着目した.
1.2 問題点
『バトルガレッガ』
を配 信し,スマートフォン向けにSTGを開発.他にはPCプ ラットフォームであるSteamで過去のSTG作品の販売や 新規独立系企業のインディーズゲームがSTGの販売を 行っている.
(5)や『東方紅魔郷』(6)等で用いら れたシステムである「誘導弾」は,基本的に自機から 最も近い敵機に向けて誘導されるため,プレイヤーに とって望まない動きとなる場合がある.
1.3 研究目的
前節の問題点を改善するために,従来のジョイステ ィックとボタンに操作に代わる新しいデバイスを用い たシステムが有効なのではないかと考えた.
プレイヤーが狙った敵を攻撃でき,気持ちよくプレ イできる方法として視線追跡装置[1] [2]を用いた「プレイ ヤーの視線先の敵機を狙う誘導弾」(以後視線先誘導 弾)を実装したシステムを提案する.
まず,事前実験で 2 名のプレイヤーに視線追跡装置 を用いて既存のSTGをプレイしてもらい,視線を計測 した.その結果,多くの時間は敵機に視線を向けた状 態で攻撃や移動をしていることがわかった.
本研究では,視線追跡装置を用いた新システム「視 線先誘導弾」を実装したシューティングゲームを試作 し,その有用性を確かめることを研究目的とする.