第9章 ネットワーク環境の決定と設定
11.1 サーバ仮想化ソフトウェアの決定
の「ゲストOSカスタマイズ」を参照してください。
作成したL-Serverに対しては、通常のサーバと同じように、起動、停止、削除といった基本的な操作を行えます。操作の際には、L-Serverを構成するリソースの詳細を意識する必要はありません。
また、以下のような操作が行えます。
・ L-Serverの構成変更
L-Serverに割り当てるリソースの構成を変更できます。
詳細は、「操作ガイドインフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「17.2 変更」を参照してください。
・ サーバ間の移動(マイグレーション)(仮想L-Serverの場合)
仮想L-Serverを停止せずに、別のVMホストに移動する機能です。
詳細は、「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「17.7 VMホスト間の移動(マイグレーション)」を参照してください。
・ スナップショット(仮想L-Serverの場合)
仮想L-Serverのシステムディスクとデータディスクのある時点のデータを保存する機能です。
詳細は、「操作ガイドインフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「17.6.1 スナップショット」を参照してください。
・ バックアップ(物理L-Serverの場合)
物理L-Serverのシステムディスクを保存する機能です。
詳細は、「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「17.6.2 バックアップ・リストア」を参照してください。
図2.2 L-Serverの作成イメージ
L-Server配備先の選択
L-Serverを配備するリソースプールとサーバ(仮想の場合は、VMプールとVMホスト、物理の場合はサーバプールと物理サーバ)は、
以下のどれかの方法で指定します。
なお、L-Platformを作成する場合、リソースプールだけ指定できます。
・ リソースプール自動選択
リソースプールやサーバを指定せず、本製品が自動的に選択する方式です。リソースプールには、L-Serverを作成する際に選択 する優先順位を設定できます。
アクセスできるプールが複数存在する場合、優先順位の高い(数値が小さいほど優先)リソースプールから本製品が配備先を決定 します。同じ優先順位のプールが複数存在した場合、ランダムに選択されます。
リソースプールを決定した後、リソースプールの中からサーバを自動選択します。
なお、オーバーコミットを使用するL-Serverにおいては、以下のように配備先を決定します。
- ユーザーがアクセスできるオーバーコミットのVMプールから、配備先のVMホストが選択されます。
- ユーザーがアクセスできる範囲にオーバーコミットのVMプールが複数存在した場合、リソースプールの優先順位に関係なく、
それらのリソースプールに含まれるすべてのVMホストから、配備先のVMホストが選択されます。
・ リソースプール指定
指定されたリソースプールの中からサーバを自動選択します。
なお、仮想L-Serverの場合、オーバーコミットの設定に応じたリソースプールを指定する必要があります。
・ サーバ指定
指定されたサーバにL-Serverを配備します。
なお、仮想L-Serverの場合、オーバーコミットの設定に応じたリソースプール配下のVMホストを指定する必要があります。
配備先のサーバは、以下のすべての条件を満たす必要があります。
・ 電源がON
・ 状態が"normal"
・ 保守モードが設定されていない
保守モードの詳細は、「操作ガイドインフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「付録C 保守モード」を参照してください。
・ サーバ仮想化ソフトウェアのメンテナンスモードが設定されていない(仮想L-Serverの場合)
・ L-Server作成時に指定した条件に合っている
仮想L-Serverの作成で、VMプール内で配備先のVMホストを自動選択する場合、上記の条件に加えて、以下のようにVMホストを選 択します。
・ L-Serverテンプレートを使用する場合
同じL-Serverテンプレートで作成されたL-Serverが配備されているVMホストを検索してL-Serverを作成します。
検索したVMホストに空き容量が不足している場合、空き容量の多いVMホストを検索してL-Serverを作成します。
これにより、VMホストの空き容量がVMホスト間で断片化し、無駄が発生することを防ぎます。
なお、オーバーコミットを有効にしたL-Serverテンプレートでは、検索したVMホストすべての空き容量が不足している場合、任意の VMホストを選択しL-Serverを作成します。
・ L-Serverテンプレートを使用しない場合
空き容量の多いVMホストを検索してL-Serverを作成します。
・ L-Serverの排他運用が設定されている場合
他のL-Serverが使用していないVMホスト上にL-Serverを作成します。
L-Platform内のL-Serverは、L-Platform内の他のすべてのL-Serverに対して排他運用が設定されています。
このため、L-Platform内のL-Serverに対して排他運用を設定する必要はありません。
ただし、以下のすべての条件を満たす場合は、同一L-platform内のL-serverが配備されたVMホスト上に、L-Serverを作成すること があります。
- L-Platform内のL-Serverが配備されていないVMホストが存在しない場合
- L-Platform内のL-Serverが配備されていないVMホストのリソース空き容量が足りない場合
・ VM製品のHA機能や自動再配置機能(例:VMware HAやVMware DRS)を有効にしている場合 VM製品の機能でVMホストが選択されます。
【KVM】【Solarisゾーン】【OVM for SPARC】
仮想L-Server作成時に指定したディスク容量で、未使用のディスクリソースが存在するVMホストを検索してL-Serverを作成します。
クローニングによる導入の簡易化
クローニングは、1台のサーバのシステムディスクの内容から作成したクローニングイメージを、ほかの物理L-Serverに配付する機能で す。
インフラ管理者用L-Server
インフラ管理者用L-Serverとは、テナント管理者やテナント利用者からは利用できず、インフラ管理者だけが利用できるL-Serverです。
通常のL-Serverは、テナント管理者やテナント利用者だけが利用できます。
以下の目的で作成します。
・ クローニングイメージをインフラ管理者が採取する場合
インフラ管理者がクローニングイメージを作成し、テナント管理者やテナント利用者に公開するために利用します。
インフラ管理者用L-Serverの作成は、「導入ガイド CE」の「1.2.2 リソースの設定」の「インフラ管理者用L-Server」を参照してくださ い。
クローニングイメージ採取については、「操作ガイドインフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「17.5 クローニングイメージの操作」を 参照してください。
・ 物理L-ServerにVMホストを導入する場合
VMホストの構築時に、物理L-Serverの機能を利用することで、ネットワークやストレージの設定を簡易化できます。また、高可用性 運用やDisaster Recovery運用を行えます。
導入方法は、以下を参照してください。
- 物理L-Serverに対するVMホストの導入
「導入ガイド CE」の「付録A 物理L-Serverに対するVMホストの導入」を参照してください。
- ブレードシャーシの高可用性
「運用ガイド CE」の「18.1.2 ブレードシャーシの高可用性」を参照してください。
- Disaster Recovery
「DRオプション 説明書」を参照してください。
・ L-Server上にVM管理製品などのインフラ管理の目的で利用するソフトウェアをインストールする場合
VM管理製品の構築の簡易化や、高可用性運用やDisaster Recovery運用を行えます。
物理サーバの用途変更
物理サーバの用途変更は、物理サーバの台数以上のL-Serverを用意し、起動するL-Serverを切り替えて使用する機能です。本機能 により、時間帯や状況に応じて物理サーバの用途を変更できるため、サーバの資源を有効活用できます。
L-Serverの起動ディスクとIPアドレスは、物理サーバをほかのL-Serverが利用している間も保持されます。
本機能はL-Serverの実体が物理サーバの場合に使用できます。仮想マシンの場合、特に設定をしなくても1台のVMホストに複数の
L-Serverが配置できるため、起動するL-Serverを選択することで、物理サーバの用途変更と同じ効果が得られます。
本機能は、以下の2種類の使い方があります。
・ 1台の物理サーバに対し、複数のL-Serverを切り替えて利用
L-Serverを起動する物理サーバは、常に同じものになります。
・ サーバプール内の未使用の物理サーバに対し、複数のL-Serverを切り替えて利用 サーバプールの空き状況に応じて、L-Serverに割り当てられる物理サーバが異なります。
詳細は、「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「17.9 物理サーバの用途変更」を参照してください。
VM
ゲストの配置変更
(マイグレーション
)VM管理製品(VMware vCenter Serverなど)またはVMホスト(KVMのVMホスト)と連携することで、VMゲストを物理サーバ間で移動す
る操作(マイグレーション)を本製品から行えます。
負荷に応じてVMゲストを一部のサーバに集めることで、不要なサーバやシャーシを停止して消費電力を削減できます。
保守中のサーバからVMゲストを移動させ、保守中も業務を継続できます。
2.2.4 L-Platform
ここでは、L-Platformについて説明します。
L-Platformとは、たとえば複数階層システム(Web/AP/DB)のように複数のサーバをネットワークで接続したシステム(プラットフォーム)
全体をまとめて管理するための論理的なリソースです。
L-Platformを用いることで、複数のサーバ、ストレージ、ネットワークの設定と運用を簡単な操作で行うことができます。
本製品では、L-Platformの配備と運用をまとめてできます。
L-Platformは、以下のリソースの組合せを定義します。
・ L-Server
物理サーバと仮想サーバ(VM)を共通で管理する論理的なサーバです。
L-Serverについては、「2.2.3 L-Server」を参照してください。
・ ネットワークリソース
L-Serverの間を接続するネットワークを表現するリソースです。ネットワークリソースを利用することで、スイッチや仮想スイッチの設 定を自動的に行い、L-Serverをネットワークに接続できます。
詳細は、「2.2.7 ネットワークの簡易化」を参照してください。
・ ファイアーウォールリソース
複数階層システムの階層を分離し、セキュリティを保つためのリソースです。
・ サーバロードバランサーリソース
サーバへのアクセスを分散し、予期しないサーバ障害によるアクセス不可やアクセスの集中によるサーバのレスポンス遅延を回避 するためのリソースです。
L-Platformの構成は、以下のとおりです。