• 検索結果がありません。

AUV用音響データ伝送システム

ドキュメント内 電気通信大学 (ページ 127-134)

第7章 実用化システムの概要

7.3. AUV用音響データ伝送システム

- 116 -

ける等,AUVの内部の制御で航行を続けることが可能となっている。本モードでの運用時には,

必要に応じてアップリンクの送信を行わせておくことが可能となっているので,母船がAUVの直 上付近を併走する場合には,母船上でAUVの状況をモニタしながら航行させることが可能であ る。

4) 電波による遠隔制御モード(揚収時)

VHF (Very high frequency)の無線による遠隔制御モードである。電波は海中では使用できな

いため,主に揚収時等,AUVが海面に浮上した後,母船が AUVを捕まえるまでの間の制御を 行うためのモードである。

音響データ伝送システムは,2)の音響遠隔制御モードにおける制御,および3)の自律モードにおけ るモニタリングに使用する目的で開発された。更に,自律モードで航走中に,シナリオを入れ替える等 のオーバーライドも可能としている。この音響データ伝送システムの主要目を Table7-3に示す。本シス テムの周波数はFig.7-5のように割り当てられている。図中の音響航法(Acoustic navigation)は,「うらし ま」の音響ホーミングソーナー及び母船「よこすか」の音響航法装置で使用する周波数帯域である。ま た,Sea Beam は,母船「よこすか」に装備されているマルチナロービーム音響測深装置が使用する周 波数帯域である。その他の,「うらしま」搭載音響機器は,使用周波数が高いので,本図からは省略し ている。通信距離を考慮し,また,他の音響機器と干渉しないように本システムの使用周波数帯域を定 めた。

- 117 -

究で検証したPSK及びQAM方式の変復調アルゴリズムを適用した。

7.3.1. 送受波器

本システム用に,送波器・受波器を製作した。ダウンリンク用の受波器の外観写真(AUV 側に装備)

をFig.7-6に示す。ダウンリンク用の送波器は,Fig.7-6の受波器と同じものを母船の船底に取り付けた。

これらは4つのランジュバン型素子から構成される。Fig.7-7は送波電圧感度を,Fig.7-8は指向性パタ ーンを示す。Fig.7-9 は,アップリンク用の送波器の外観写真である。Fig.7-10 は送波電圧感度を,

Fig.7-11は指向性パターンを示す。アップリンク用送波器は4つのランジュバン型素子と音響整合層か

ら構成される。20 kHzを中心とした ±4 kHzの帯域で良好な特性を実現している。アップリンクの受波 器は,母船の船底に装備されている音響航法装置の受波器アレイを兼用することとした。受波器アレイ は,16 素子の平面アレイを構成しており,アップリンクの周波数帯域ではほぼフラットな周波数特性を 有している。また単素子の指向性は,ほぼ半球状であり,背面の感度は十分に抑圧されている。したが って,船底から或いは海面からの反射は考慮する必要がない。この内の 1 素子の出力を分岐して取り 出し,アップリンクの受信信号として受信機に取り込む。

AUV "URASHIMA"

Up-link

projector Down-link hydrophone

Up-llink Sea Beam

Down-link Acoustic navigation

5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 kHz

Fig.7-5. Frequency layout of AUV “URASHIMA” and R/V “YOKOSUKA” system. (ANS, Multi narrow beam echo sounder, Acoustic data transmission system)

- 118 -

Fig.7-6. Photo of the hydrophone for down-link. Fig.7-9. Photo of the transducer for up-link.

130 135 140 145 150 155 160 165 170

7.5 8 8.5 9 9.5 10 10.5 11 11.5

TVR [dB re mPa/V at 1m]

Frequency [kHz]

130 135 140 145 150 155 160 165 170

10 15 20 25 30

TVR [dB re mPa/V at 1m]

Frequency [kHz]

Fig.7-7. TVR of the transducer for down-link. Fig.7-10. TVR of the transducer for up-link.

-40 -30 -20 -10 0

0

30

60

90

120

150 180

210 240 [dB] 330

-40 -30 -20 -10 0

0

30

60

90

120

150 180

210 240 [dB] 330

Fig.7-8. Beam pattern of the transducer for. Fig.7-11. Beam pattern of the transducer for

down-link. (9.5kHz) up-link. (20kHz)

- 119 -

picture data navigation

data initializing

block

Fig.7-12. Constitution of a transmitted data packet.

7.3.2. アップリンクのデータフォーマット

アップリンクにおいては,送信間隔は 1秒を基準にしている。各データパケットは,Fig.7-12に示され るようなデータ系列で構成される。初期化ブロックは,530 のシンボル系列から成る。そのうちの最初の 120 シンボルはパケットの先頭の検出,およびAGCの初期化,ドップラ検出に使用される。また,次の 410 シンボルは適応フィルタのトレーニングのために使用される。航法データブロックは,位置,深度,

スラスタの回転数,トリム角度,船速,船首方位などのデータから成る。航法データブロックの大きさは

2,176 ビット以内とする。その後,次節に示す画像データが伝送される。

7.3.3. 画像データ

アップリンクの伝送データは,AUV の船首に装備された水中テレビカメラのカラー画像データ,或い はサイドスキャンソーナーで取得した海底のイメージ図を伝送する。画像データの量は非常に大きいも のである。したがって,画像データは,何らかの圧縮を施さなければ実用的な時間内で伝送することは 不可能である。例えば,640×224画素(pixel)のカラー画像を非圧縮で伝送しようとすると,3.4 Mbitも のデータを伝送することになり,16-QAM(伝送速度 32 kbps)を用いたとしても,約 107.5 秒かかるこ とになる。本システムでは,JPEG圧縮を適用した。可変長符号化方式がJPEG の最終ステップで適用 されるので,圧縮率は各画像の特性に依存する。このシステムでは,Table7-4 のように,4 種類の解像 度が選択可能である。オペレーターがダウンリンクのコマンドにより,この解像度を選択する。これらの モードは低解像度モード(160×112 pixel),ミディアム低解像度モード(320×112 pixel),ミディアム高 解像度モード(320×224 pixel)および高解像度モード(640×224 pixel)と呼ぶこととする。本システム では,160×112 pixelを画像伝送の基本単位として定義する。各パケットに含まれる画像データは基本 単位の量である。高解像度モードの場合には,送信側で,1つの画像を 8つの部分に分解し,各パケ ットに番号をつけて送信する。受信機側では,8 つのパケットのデータを保持し,データが揃ったら,1 枚の画像として表示する。送信モードを 16-QAMで低解像度モードに設定した場合,母船上の AUV

- 120 -

操作卓のディスプレイの画像は毎秒更新される。また,モードが 16-QAM で高解像度モードに設定し た場合,画像は8秒ごとに更新される。8-DPSK方式の画像の更新間隔が幅を持った値が記述されて いるが,JPEG圧縮の変動により,例えば160×112 pixelのモードでは,1秒乃至2秒になるという意 味である。Fig.7-13 に示すように,本システムではパケット間の無音部分の時間を固定にしているので はなく,送信開始のタイミングを秒の単位に固定しているので,パケットの長さが 1 秒を少しでも超える と次のパケットの先頭は,一つ前のパケットの先頭の2秒後になる。

7.3.4. システム構成

本システムのブロック図を Fig.7-14 に示す。本システムは全二重通信システムである。ダウンリンクで Table7-4. Relation between resolution of each modulation method and update rate of image.

Modulation Resolution Image update

rate Transmission rate 4-DPSK

160x112 pixel 2 sec

16 kbps 320x112 pixel 4 sec

320x224 pixel 8 sec 640x224 pixel 16 sec 8-DPSK

160x112 pixel 1 - 2 sec

24 kbps 320x112 pixel 2 - 4 sec

320x224 pixel 4 - 8 sec 640x224 pixel 8 - 16 sec 16-QAM

160x112 pixel 1 sec

32 kbps 320x112 pixel 2 sec

320x224 pixel 4 sec 640x224 pixel 8 sec

0s 1s 2s 3s

Packet length is longer than 1 s.

Packet length is shorter than 1 s.

1st packet 2nd packet 3rd packet 4th packet

1st packet 2nd packet 3rd packet

t Fig.7-13. Transmission timing of data packet.

- 121 -

は,船上システムの制御部がAUV操作卓からコマンドを受け取る。その後,コマンド系列はDSP上で

MSK変調(Minimum shift keying)される。変調された信号は,DACでアナログ信号に変換され,帯域

制限されて,増幅される。増幅された信号が,母船の船底に装備された送波器により音響信号として海 中へ送出される。AUV側では,データは受波器で受波され,プリアンプ,帯域通過フィルタを通して波 形整形され,ADCによってディジタル化される。このサンプリングされた信号を DSPで復調処理する。

復調されたデータは,制御部において,コマンドに構成し直される。その後,コマンドはAUV本体の制 御装置に転送され,解釈,実行される。

アップリンクでは,AUV搭載システムの変換部がテレビカメラからNTSCビデオ信号を受け取る。その 時に指定されている解像度モードによって,画像は,基本単位のサイズを持ついくつかのブロックに分 割される。その後に,各ブロックは圧縮処理のために画像圧縮用の DSPに送られる。変復調用の別の DSP において,圧縮した画像データと,制御部で符号化された航法データを結合し,選択された変調 方式によって変調される。その後,変調されたデータはアナログ信号に変換され,帯域制限されて増 幅される。増幅された信号は,AUV の後部上側に装備された送波器から音響信号として海中に送波 される。送波器の音響送波レベルは約 195 dBである。母船側では,アップリンクの音響信号は,船底 に装備されている音響航法装置の受波器アレイ 16 素子の中から 1 素子を用いて受波される。この 受波信号は,船上システムに取り込まれ,増幅し,ディジタル信号に変換される。その後,信号は復調 処理用のDSPに入力され,復調が行われる。ADCのサンプリング周波数は 120 kHzであり,6 倍の

command construction) Projector

Hydrophone array

Projector Hydrophone

Pre.

Amplifier ADC

DAC DSP

(compression) Control unit (data display, command construction)

Power BPF Amplifier

BPF DSP

(demodulation) (modulation)

Navigation data (RS-232C)

Color image / Navigation data

Command

Mother ship side system

AUV side system

AUV control unit Command

Navigation data (RS-232C)

TV camera NTSC video signal Transform from NTSC

Fig.7-14. Block diagram of acoustic data transmission system.

- 122 -

オーバーサンプリングを行っている。DSPはさらにサンプリングタイミングを制御する。Fig.7-15は,アッ プリンク用の復調ユニットのブロック図である。サンプリングされたパスバンドデータは,このユニットに入 力される。信号はベースバンドに変換され,適応等化器によってフィルタリングされる。適応等化器はト ランスバーサル形のフィルタとして構成されている。本システムでは,フィルタのタップ数は,31としてい る。また,各タップは複素数のタップ係数を持つ。アダプティブアルゴリズムにはLMSアルゴリズムを適 用した。適応等化器の次のステージは,キャリヤトラッキングユニットによる位相補償である。水槽試験

時の16-QAMおよび8-DPSKの信号点分布を,Fig.7-16に示す。

7.3.5. 試験結果

「うらしま」は,2000年から2002年にかけて,基本性能の試験を実施した。本章では,海域試験にお けるいくつかの実験の結果について述べる。Fig.7-17 は2000年11月に行われた海域試験時の結果 である。この海域試験では,性能を確認するために,リアルタイムで画像を取り込むのではなく,1 枚の

Adaptive

Equalizer (31 taps

LMS)

Rotate(-θ)

Rotate(θ) Carrier Tracking

Decision θ(k)

θ(k) LPF

LPF r(t) cos(2πfct)

sin(2πfct)

d(k)

Pass-band signal

Down-sampling to 8 kHz

Demodulated sequence

Fig.7-15. Block diagram of demodulation part of the up-link receiver.

Fig.7-16. Constellation maps in which each signal converge on the position according to their amplitude and phase for 16-QAM (left) and 8-DPSK (right) in the water tank experiment.

ドキュメント内 電気通信大学 (ページ 127-134)