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鉛直方向通信実験

ドキュメント内 電気通信大学 (ページ 80-85)

第 5 章 20kHz 帯を用いた通信実験

5.3. PSK,QAMによる通信実験

5.3.1. 鉛直方向通信実験

ディジタル通信が行えるので,簡単なウィンチとロープを使用して音響通信を行うことが可能である。

以上,FSK変調方式により,HDLC半二重パケット伝送プロトコルを用いた音響通信装置を開発し た。この装置を用いた実海域実験を実施し,約 4,000 m(垂直から約40度の範囲)のスラントレンジ において,20 Wの音響出力で,1,250 bpsの通信を行うことができることを確認した。また,中継伝送 についても海域でデータを転送できることを確認した。中継伝送機能を持たせた音響通信装置は,

この時点で他には存在しなかった。

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し,有人潜水船「しんかい6500」に搭載していたが,「うらしま」を建造するにあたり,音響による遠隔 制御及び自律航走中の「うらしま」の状況をモニタするために,画像伝送装置を搭載することになっ た。開発にあたり,より高速の画像の伝送レートが求められ,QAM変調方式を適用することを検討す ることとした。そして,その変復調方式を確立する目的で,本実験を実施した。伝送距離約 900 mに

おいて,16QAM方式による通信実験を行い,良好な結果が得られ,本実験結果を用いて「うらしま」

用の画像伝送装置は開発された。また,併せて4-DPSK変調方式についても試験を行った。

実験時のパラメータをTable5-2に示す。また,装置の配置をFig.5-9に示す。中心周波数は 20 kHz,

変調方式は4-DPSK及び16-QAM,帯域は 4 kHz及び 8 kHzとした。駿河湾の水深約 1,000 mの 海域において,海洋調査船「かいよう」から鎧層付同軸ケーブル(アーマードケーブル)を用いて送

信機を約 900 m吊下し,上向きに送波した。この音波を「かいよう」の船底に装備した音響航法装置

(ANS: Acoustic navigation system)用のハイドロフォンで受波して,その出力を記録した。実験装置 のブロック図をFig.5-10に示す。ノートPC,DAC,パワーアンプをバッテリとともに耐圧容器に納め,

送波器と組み合わせて送信機としてフレームに取付けて吊下した。送波器は,節4.2.2で示した,整

合層付のTonpilz型コニカルビーム送波器を用いた。受信機は,ANSハイドロフォンの出力をアンプ

及びハイパスフィルタを通してADCによりサンプリングしてハードディスクに記録した。ANSハイドロ フォンの受波周波数特性は 50 kHz以下でほぼフラットである。また,フィルタは,カットオフ周波数 6 kHzのハイパスフィルタを用いた。これは,受波器として船底に装備されたハイドロフォンを使用し たため,船体雑音(主にプロペラとエンジンの音)の影響でADCへの入力が飽和することを防ぐため

Table5-2. Parameters at experiment.

Ship R/V “KAIYO”

Date of experiment 2000/12/

Water depth 1,000 m (Suruga-Bay)

Transmission range 900 m

Carrier frequency 20 kHz

Modulation method 4-DPSK 16-QAM

Band width ±4 kHz ±2 kHz ±4 kHz

Transmission rate 16 kbps 16 kbps 32 kbps Data amount for each packet 8 ksymbols 4 ksymbols

に挿入した。復調は,伝搬実験終了後,ソフトウェアで行った。ADC,DAC共にサンプリング周波数 は,キャリヤ周波数の 10 倍の 200 kHzとした。復調方式は,シングルチャンネルトランスバース型 アダプティブフィルタを適用している(節3.4.1参照)。

送信データパケットの構成をFig.5-11に示す。各パケットの先頭には,復調器の初期化用に中心 周波数 20 kHzのピュアトーンを 200 シンボル分送信している。これを用いて自動ゲイン制御

(AGC: Automatic gain control)及びローパスフィルタの初期化を行う。これに引き続き,トレーニング 系列の先頭を検出するためのスタートコードを送信している。4-DPSKでは,13 シンボルのバーカー

Rec eiv er

(AN S hydrophon )

T ran sm itter

S ea b otto m

S ea s urfac e

1,000m

900m

R/V KAIYO

Fig.5-9. Arrangement of the experiment at sea.

Personal computer Personal computer

A/D converter fs=200kHz D/A converter

fs=200kHz Power amp.

Transducer ANS Hydrophone

Transmitter Receiver

Pre-amp. (20 dB) High pass filter (6 kHz)

Fig.5-10. Block diagram of the experimental equipment.

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コードを用い,16-QAMでは,42 シンボルの2値の系列を用いている。トレーニング系列は,511 ディジットのM-系列符号を用いている。トレーニング終了後,データ本体の先頭を検出するための 13 シンボルのバーカーコードを再び送信し,これに引き続いてデータ本体を送信する。

Fig.5-12に復調結果の例を示す。変調方式は16QAM,伝送速度は 32 kbpsである。a)はFig.3-5に 示したブロック図の Adaptive equalizer の入力,b)は Adaptive equalizer の出力,c)は Decision の入力における信号の,信号平面上でのプロット(スキャッタプロット)である。a)の等化前の信号で は,各信号点の識別が全くできない状態であるが,b)の等化後の信号では,3つのリング状の塊に集 まっている。さらに,c)の位相補償を行った後の出力では,16個の信号点に収束している。すなわち,

適応等化器において振幅方向の補正がなされ,適応等化器で補償しきれなかった位相回転分が

Carrier tracking 部において十分に補償され,エラーのない復調が行われていることを示している。

d)には,MSE(Mean square error)が表示されている。横軸はシンボル単位の時間を表しており,1 symbol = 1/fd =1/8000 = 0.125 ms である。713 symbols に相当する点線は,トレーニングモードを 終了し,データブロックが始まるタイミングを示している。この時点までにMSEが十分に小さくなって おり,これは,適応等化フィルタが十分に収束しており,受信信号のみから復調すべき信号点を判 定可能であることを示している。

Fig.5-13は,入力SNRに対するシンボルエラーレートのプロットである。実線は16QAM,点線は4 DPSKのそれぞれ雑音が白色ガウス雑音(AWGN: Additive white Gaussian noise)の場合の計算値 である。△及び▲は,16QAMの帯域がそれぞれ 8 kHz,4 kHzの場合の復調結果である。×は 4-DPSKの帯域が 8 kHzの場合である。ほぼ,AWGN時の特性に対して 3 dBの劣化が見られる。

エラーフリーの通信を行うためには16QAMで 22 dBのSNRが必要であった。「うらしま」の画像伝送

200 42 700 13 4000

100 13 500 13 8000

Initialization Data Data block

start code Training block

Training start code

16-QAM

4-DPSK

Fig.5-11. Format of a data packet.

-5 0 5 -5

0 5

a) Before equalise

-5 0 5

-5 0 5

b) After equalise

-5 0 5

-5 0 5

c) After carrier tracking

0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500

0 0.5 1 1.5

2 d) Mean square error

Fig.5-12. Example of demodulation results.

(Modulation method: 16-QAM, Transmission rate: 32 kbps)

10-4 10-3 10-2 10-1 100

12 14 16 18 20 22 24

16-QAM (Calculated) 16QAM (BW=8kHz) 16-QAM (BW=4kHz) 4-DPSK (Calculated) 4-DPSK (BW=4kHz)

Symbol error rate

SINR per symbol [dB]

Fig.5-13. Performance of 16-QAM and 4-DPSK with a single channel adaptive equalizer.

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装置に適用するアルゴリズムの検証が得られた。DPSKについては,SNRの低いデータを取ることが できなかったので,エラーのない結果のみを得た。

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