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実海域実験

ドキュメント内 電気通信大学 (ページ 77-80)

第 5 章 20kHz 帯を用いた通信実験

5.2. FSKによる通信実験

5.2.3. 実海域実験

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ム番号を指定して,そのフレームの「再送」だけを要求する。このように,実行することにより,そのス ループットを向上させるようにしている。Fig.5-4で示されたHDLCプロトコルに基づくフレーム形式に 従って,各コマンドとデータ項目は構成されている。

本システムは電源にリチウム一次電池を用いる。バッテリパックは,±12V DCの電圧で,2.3 kWh の容量がある。パックの構成は,4直列14並列とし,計56本のDセルのリチウム電池からなる。またこ のバッテリパックは並列接続が可能な構成としており,係留期間,伝送データ量,データ伝送間隔等 に合わせて,電池容量を設定することを可能としている。さらに,電力消費を抑えるために,接続状 況により自動的に,音響送波出力を自動的に増減させる。この出力の1回の増減の量はワット数を 0.5 W単位で指定することができる。

最大送波出力(20 W)においても誤りが発生した。さらに,「再送」が頻繁に実行された。しかしなが ら,「再送」を実行することによって,最終的にすべてのデータを受信することができた。Fig.5-7はこ の実験におけるデータ伝送の結果を示している。横軸はSNR,縦軸は誤り率である。

本実験においては,全部で53回の通信を行った。1回あたりの伝送データ量は,250 ~ 15,000 バイトであった。16.2 dBのSNRが確保された場合には,誤りは発生しなかった。また,SNRが 14 dB 以下であった時には,誤りが発生し,「再送」要求を実行した。

R/V KAIYO PC

500m

Depth : 3,500m 1,700m

Master station

2nd station 3rd station

500m

Fig.5-5. Layout of the sea experiment.

-1000 0 1000 2000

-3000 -2000 -1000 0 1000 2000

X [m]

Y [m]

26th 15:40 26th 18:39

26th 06:46

26th 14:54 27th 11:44

26th 11:08

26th 12:14 27th 08:29

:Installed position of the 2nd station.

:The wake of R/V KAIYO. (master station)

Fig.5-6. Wake of the ship as the position of the master station.

(X-Y origin: Moored position of the 2nd station.)

- 68 - 10-4

10-3 10-2 10-1 100

6 8 10 12 14 16 18 20

Frame Error Rate Bit Error Rate

SNR [dB]

Fig.5-7. Error rate – SNR characteristics.

中継伝送の第1従局と第2従局の間のスラントレンジは,約3,240 mであった。この間の通信は,14

~16 Wの音響出力でSNRが 16 dB以上確保され,ほとんどエラーはなかった。ただし,第1従局と 主局間でSNRが下がり,第1従局と主局の間で再送を繰り返す時があった。

また,この実験機には,SNR計測ユニットがインストールされており,この装置の通信帯域における SNRを測定した。20 kHzの正弦波を送波してこれを受信した部分を信号レベルとし,その後の無音 部分の受信レベルを雑音レベルとした。Fig.5-8に,Fig.5-5における主局と第1従局間でのSNR測定 の結果を示す。グラフは音響出力を 20 Wに換算してプロットしたものである。海域実験の間,主局 と第1従局の両方において,雑音レベルは安定していた。Fig.5-7とFig.5-8から,この装置を用いた音 響通信が,鉛直から40°,スラントレンジで 4,000 mの範囲で可能であることが分かる。

主局の吊下深度を約 30 mとした時,SNRはおよそ 10 dBと非常に低くなり,誤りが増加した。これ は,船体放射雑音及び海面雑音の影響であると考えられる。この装置の場合では,主局は下向きの コーン型のビームパターンを持っているにもかかわらず,船舶から 100 m以上離して吊り降ろさなけ ればならないことが分かった。しかしながら,主局と船上局との間は電流ループを用いることにより

ディジタル通信が行えるので,簡単なウィンチとロープを使用して音響通信を行うことが可能である。

以上,FSK変調方式により,HDLC半二重パケット伝送プロトコルを用いた音響通信装置を開発し た。この装置を用いた実海域実験を実施し,約 4,000 m(垂直から約40度の範囲)のスラントレンジ において,20 Wの音響出力で,1,250 bpsの通信を行うことができることを確認した。また,中継伝送 についても海域でデータを転送できることを確認した。中継伝送機能を持たせた音響通信装置は,

この時点で他には存在しなかった。

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