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海底付近水平方向通信実験

ドキュメント内 電気通信大学 (ページ 85-94)

第 5 章 20kHz 帯を用いた通信実験

5.3. PSK,QAMによる通信実験

5.3.2. 海底付近水平方向通信実験

- 74 -

装置に適用するアルゴリズムの検証が得られた。DPSKについては,SNRの低いデータを取ることが できなかったので,エラーのない結果のみを得た。

Band-pass filter)を通した後に,ADCでサンプリングして,各チャンネルの信号を記録した。ADCは,

送信機側と係留前に同期させたタイマによって起動する。サンプリング周波数はADC,DAC共に

160 kHzとした。復調処理は,係留系の回収後,ソフトウェアにより行った。Fig.5-18は,受信機の耐

Table.5-3. Parameters for the experiments at sea.

Carrier frequency 20 kHz Sampling frequency 160 kHz

Band width 8 kHz

Transmission rate 32 kbps (8 kbaud)

Data amount of 1 packet 10,000 symbols (40,000 bits) Hydrophone 5: omni-directional

Transducer 1: toroidal beam

Receiver Sea surface

Transmitter

Sea bottom (water depth: approx. 1,200m) Horizontal distance

1,500m

Receiver

35m Transmitter

Timer Battery

PC DAC Power amp.

Projector

Pre Amp. & BPF Hydrophone

PC ADC Timer

Battery

Fig.5-14. Equipment arrangement for experiments.

Fig.5-15. Moored transmitter.

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-35 -30 -25 -20 -15 -10 -5 0

0 30 60 90

120

210 330

[dB re 1mPa/V @1m]

Upper side

140 145 150 155

16 18 20 22 24

TVR [dB re 1mPa/V @1m]

Frequency [kHz]

(a) (b)

Fig.5-16. (a) Directivity pattern at 20 kHz. (b) Frequency response of TVR at 0°.

(a) Frame with 5 omni-directional hydrophones. (b) Omni-directional hydrophone with a gum-tube for reducing vibration of a frame.

(c)Frame with a pressure vessel, which includes electronics and battery unit.

Fig.5-17. Moored receiver.

Fig.5-18. Inside of the pressure vessel of the receiver.

圧容器の内部である。上側の写真のように,PCは市販のノートパソコンを改造して使用した。下側の 写真の中央に見える銀色のケース内部がADCであり,ADCの下にプリアンプおよびBPFの基板が5 チャンネル分配置されている。一番奥に見えるのがリチウム電池パックである。

各パケットのデータ長は10,000シンボルである。各々の送信パケットは,Fig.5-19に示す ように,幾つかの部分から構成される。まず,16 kHzから 24 kHzまでスイープするパルス

幅 10 msのチャープパルスをチャンネルプローブとして送出する。2番目に,42 シンボルの

符号を復調のスタートポイントを認識させるために送信する。3 番目のブロックは,200 シ

ンボルの2値[1,13]のランダム符号とこれに引き続いて 2,500 シンボルの16値ランダム符号

からなる。これらは,アダプティブフィルタのトレーニング信号とする。そして,最後に本 来伝送したいデータ系列を伝送する。本実験においては,データ系列は,511 ディジットの M系列の繰り返しからなる,16値のランダム系列とした。なお,16-QAMの信号点配置とシ ンボルとの対応は,Fig.3-3に示したものを使用した。

Fig.5-20に本海域実験で得られた通信路特性の例を示す。X軸は[ms]単位の時間を,Y軸は

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送信したチャープパルスとの相関値を示している。上からチャンネル1,2というように,一 番下がチャンネル5の相関値である。本図より,通信路特性は各チャンネルで大きく異なっ ていることが分かる。最も大きな場合には,マルチパスのレベルは,直接波のレベルの70%

Channel probe: Chirp pulse (sweep range: 24 - 16 kHz, pulse width: 20 ms) Start code: [1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,13,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1, 1,1,1,1,1,13,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1]

Training sequence:

200 symbols of [1,13] random sequence, 512 symbols of 16-number random sequence Data: 10,000 symbols of 16-number random sequence Channel

probe

Start code

Training

sequence Data

Fig.5-19. Composition of a transmitted data packet.

6 7 8 9 10 11 12

0 10

20 3ms

Ch1

6 7 8 9 10 11 12

0 10 20

Directpath

Ch2

6 7 8 9 10 11 12

0 10 20

Multipath

Ch3

6 7 8 9 10 11 12

0 10 20

Ch4

6 7 8 9 10 11 12

0 10 20

Ch5

Time [ms] (relative)

Fig.5-20. Examples of five channel responses.

(Channel 1 to 5: upper to lower, separated at a interval of 0.75 m.)

-4 -2 0 2 4 -4

-2 0 2

4Constellation in training mode

-4 -2 0 2 4

-4 -2 0 2

Constellation in decision-oriented mode4

0 2000 4000 6000 8000 10000 12000

-30 -20 -10 0

Time [symbols]

MSE [dB]

-4 -2 0 2 4

-4 -2 0 2 4

Constellation in training mode

-4 -2 0 2 4

-4 -2 0 2 4

Constellation in decision-oriented mode

0 2000 4000 6000 8000 10000 12000

-30 -20 -10 0

Time [symbols]

MSE [dB]

(a) (b)

-4 -2 0 2 4

-4 -2 0 2

4Constellation in training mode

-4 -2 0 2 4

-4 -2 0 2

Constellation in decision-oriented mode4

0 2000 4000 6000 8000 10000 12000

-30 -20 -10 0

Time [symbols]

MSE [dB]

-4 -2 0 2 4

-4 -2 0 2

4Constellation in training mode

-4 -2 0 2 4

-4 -2 0 2

Constellation in decision-oriented mode4

0 2000 4000 6000 8000 10000 12000

-30 -20 -10 0

Time [symbols]

MSE [dB]

(c) (d)

-4 -2 0 2 4

-4 -2 0 2

4Constellation in training mode

-4 -2 0 2 4

-4 -2 0 2 4

Constellation in decision-oriented mode

0 2000 4000 6000 8000 10000 12000

-30 -20 -10 0

Time [symbols]

MSE [dB]

(e)

Fig.5-21. Examples of demodulation. (a) using only one channel, (b) using two channels, (c) using three channels, (d) using four channels, (e) using all (five) channels. (In each subplot, upper left:

scatter plot while training mode, upper left: scatter plot while decision feedback mode, lower: MSE.)

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に達する。時間的な広がりは約 3 msであった。これは 25 シンボルに相当する。従って,

FFFのタップ数N1を50に,FBFのタップ数Mを25に設定した。また,ピーク位置の揺ら ぎに対応するために,N2を10に設定した。

Fig.5-21は,復調結果の例である。本図(a)は,1チャンネルの信号のみを用いた復調結果で

ある。また,(b)~(e)は,それぞれ,2チャンネルから5チャンネルの信号を用いて復調した 結果である。各サブプロットのうち,左上はトレーニングモード時のスキャッタを,右上は,

判定指向(Decision-oriented)モード時のスキャッタを,また,下は,両モードにおける自乗 平均誤差(MSE: Mean square error)を,横軸に時間をとって(単位はシンボル)それぞれ表 示している。このパケットの平均入力SNRは 18.5 dBであった。

Fig.5-21(a)から1チャンネルの信号のみを用いた復調においては,トレーニングモードの期

間中に十分な収束が得られていないことが分かる。従って,シンボル誤り率(SER: Symbol

error rate)が6.3×10-1と,復調能力が極めて悪い。復調に使用するチャンネル数を増やすほ

ど,収束特性は改善されていく。すなわち,MSEの値がチャンネル数の増加につれて低くな り,スキャッタが16個の塊に収束していく様子が分かる。本ケースでは,3チャンネル以上 を用いると,10,000 シンボルのデータ長のパケットをエラー無しで伝送することが可能で あった。

Fig.5-22は,取得したデータ全てに対して復調を行った結果である。(a)は1 チャンネルの

信号のみを使用した場合,(b)は2チャンネルの信号を使用した場合,(c)は3チャンネルの信 号を使用した場合,(d)は4チャンネル及び5チャンネルの信号を使用した場合の結果を示し ている。X軸は平均入力SNR [dB],Y軸はSERである。実線は,雑音が加法性白色ガウス 雑音(AWGN: Additive white Gaussian noise)であった場合の計算値である。復調結果にエラー が無かった場合は,SER=10-5 としてプロットしてある。本海域実験では,24 パケットを伝 送した。プリアンプと広帯域バンドパスフィルタを通したパスバンドの信号はチャンネルご とにサンプリングされ,ハードディスクに記録した。この 24 パケットを用いて,使用する チャンネル数を変えて復調を行った。従って,(a)の1チャンネルを用いた復調結果では120 個(5C1×24)の結果を得た。同様に,(b)から(d)では,2から5チャンネルを用いているので,

チャンネル数をnとすると,5Cn×24個の結果を得た。

Fig.5-21(a)及び Fig.5-22(a)より,高いレベルのマルチパスが混入する場合には,シングル

チャンネル受信機ではQAMデータは復調ができないと言える。さらに,Fig.5-22(a)から,SNR

が 25 dBと高い場合でも復調がうまくいかないという結果であった。このことは,海中音響

通信路はマルチパスフェーディングチャンネルであることが原因であると考えられる。

Fig.5-21(b)及びFig.5-22(b)より,2チャンネル復調器においては,その性能は改善されている。

10-5 10-4 10-3 10-2 10-1 100

5 10 15 20 25 30

1Ch Calculated

SER

input SNR [dB]

10-5 10-4 10-3 10-2 10-1 100

5 10 15 20 25 30

2Ch Calculated

SER

input SNR [dB]

(a) (b)

10-5 10-4 10-3 10-2 10-1 100

5 10 15 20 25 30

3Ch Calculated

SER

input SNR [dB]

10-5 10-4 10-3 10-2 10-1 100

5 10 15 20 25 30

4Ch 5Ch Calculated

SER

input SNR [dB]

(c) (d)

Fig.5-22. SER - average input SNR characteristics. (a): 1 channel, (b): 2 channels, (c): 3 channels, (d):

4 and 5 channels. Solid line: calculated value with AWGN channel case.

- 82 - 0

4 8 12 16 20 24

5 10 15 20 25 30

1Ch 2Ch 3Ch 4Ch 5Ch

output SNR [dB]

average input SNR [dB]

Fig.5-23. Output SNR - average input SNR characteristic: (a) single-channel, (b) two-channel, (c) three-channel, (d) four-channel and five-channel receivers. Lines in the figure denote regression

curves for each of the channel receivers.

ここで,復調性能を評価するために,式(5-1)で示されるoutput SNRを導入する。

{ ( ) }

( ) ( )

å

=

-= Nd

n

n d n N d

n d E

1

2

d

2

1 ˆ log 10 SNR

output (5-1)

式(5-1)において,Nd はパケットに含まれるデータシンボル数を表す。本実験においてはn

= 10,000である。このoutput SNRを用いて,パケット内にエラーが無かった場合の性能を評

価する。Fig.5-23は,output SNR対平均入力SNR特性を示している。5本の曲線は,1チャ ンネルから5チャンネルまで復調に用いたチャンネル数による復調結果の回帰曲線である。

16-QAMを用いた本実験では,大雑把に言って,output SNRが20 dBより大きければブロッ

ク中にエラーは検出されない。Fig.5-21 及び Fig.5-23 より,復調に用いるチャンネル数が多 くなるほど復調性能は良くなっている。これは,マルチチャンネル復調を行うことによって,

空間ダイバーシティの効果を得ているためであると考えられる。

以上,20 kHz帯において,改良型マルチチャンネルDFE受信機を用いて,海底付近の横方

向での高速な 32 kbps音響データ伝送の海域実験を行った。この実験において,直接波に極 めて近い角度から混入し,直接波に対してかなり大きなレベルのマルチパスを含む伝搬デー タを取得した。このとき,シングルチャンネルの受信機では復調できなかったが,マルチチャ ンネルの受信機では良好な結果が得られた。この結果から,水中探査機と母船の間の様々な 位置関係において,指向幅の広いビームを持った送波器を用いて通信を行うことが可能とな ると言える。本受信機は高いレベルのマルチパスが混入するような場合においても良い性能 を示すので,送波器を複雑な構造物の内側に取付けるようなアプリケーションにも適用でき ると考えられる。

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