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ドキュメント内 修士学位論文 (ページ 78-83)

6.5.3.再計算によって得た脂肪酸部分と元の脂肪酸の水素同位体比の比較

 Tab1e.6.5,2.に示したメチル・エチルエステル基の水素同位体比を用いて、マスバランス再 計算によって得た脂肪酸部分の同位体比をTable.6.5.3.1.に示した。比較のため、誘導体化 前の元の脂肪酸の同位体比(3.2.においてEA−lRMSによって求めたもの)を載せた。

Table.6.5.3.1.元の脂肪酸と再計算によって得た脂肪酸部分の水素同位体比 脂肪酸

 誘導体化前

?f同位体比(%。)

CF再計算後

?f同位体比(%。)

ECF再計算後

?f同位体比(%。)

簑鮒111 、1幸孔qむ

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16=0 一219.93 一217.58 一219.59

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18:1(n−9) 一264.16 一257.37 一269.90

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1::1ふ喫禦1一∴

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1813(n−3) 一199.83 一200.71 一206.36

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22=0 一189,19 一191.24 一183.37

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 補正前後の差をビジュアル的に見るために、各脂肪酸について、元の脂肪酸の同位体比

(紫)と、補正前後のメチル(緑)・エチル(青)エステルの同位体比をFig.6.5.3」こ示した。

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同位体比の差△δDをEq.6.5.3.のよう1こ表した。

      △δD=δDRecωc.一δDoれg ηα一  … (Eq.6.5.3.)

ただし、

 δDR。。u一α=再計算によって得た脂肪酸の水素同位体比  δDorigin、一=元の脂肪酸の水素同位体比

同位体比の差△δDをTab1e.6.5.3.2.に示した。

Table.6.5.3,2.△δD1再計算によって得た脂肪酸の同位体比一元の脂肪酸の同位体比1

脂肪酸 ㎜CF△δD(%・) ECF△δD(%・)

14:O 3.04 8.36

16=0 2.35 0.33

18:O 一1.26 一1.27

18:1(n−9) 6.79 一5.74

18:2(n−6) 一7.72 2.79

18:3(n−3) 一0.88 一6.52

20:O 一3.76 一10.69

22:0 一2.05 5.82

24:0 3.51 5.68

平均 0.00 一0.14

10標準偏差 4.38 6.47

 Table.6.5.3.2.より、エステル基の補正を施したことで、誘導体化前後の脂肪酸の水素同 位体比の差が、いずれの脂肪酸に関しても、ほぼ10%。以内に抑えられ、分析誤差程度に収 まったことがわかる。これは、同位体比未知の脂肪酸を本手法で分析した場合も、およそ分 析誤差(10%。)程度の不確かざしか持たないことを示している。さらに、炭素鎖の長さや、不飽 和度によって、不確かさの違いは見られなかったため、本手法によって、C14−24までの飽 和・不飽和脂肪酸の水素同位体比が、すべて正確に分析できると考えられる。C14−24まで の脂肪酸は、一般的な高等生物に、普遍的に見られる脂肪酸である(後述:伯ble.7.4.2.)。

 以上より、MCF・ECFを用いた誘導体化法が、補正を含めて、脂肪酸の水素同位体比測 剋こ利用可能であることが示された。

6.5.4.再計算によって得た脂肪酸部分と元の脂肪酸の炭素同位体比の比較

 Table,6.5.2.に示したメチル・エチルエステル基の炭素同位体比を用いて、マスバランス再 計算によって得た脂肪酸部分の同位体比をTable.6.5.4.1.に示した。比較のため、誘導体化 前の元の脂肪酸の同位体比(3.3.においてEA−lRMSによって求めたもの)を載せた。

Table.6.5.4.1.元の脂肪酸と再計算によって得た脂肪酸部分の炭素同位体比 脂肪酸

 誘導体化前

Y素同位体比(%。)

CF再計算後

Y素同位体比(%。)

ECF再計算後

Y素同位体比(%。)

14:O 一29.25 一29.10 一29.22

1610 一29.85 一29.74 一29.94

18:O 一28.54 一28.36 一28.45

1811(n−9) 一24.98 一24.94 一25.09

18:2(n−6) 一29.41 一29.63 一29.41

18:3(n−3) 一29.23 一29.54 一29.36

20:O 一28.93 一28.95 一29.03

22=0 一29.81 一29.69 一29.64

24:0 一28.10 一28.12 一28.01

 補正前後の差をビジュアル的に見るために、各脂肪酸について、元の脂肪酸の同位体比

(紫)と、補正前後のメチル(緑)・エチル(青)エステルの同位体比をFig.6.5.4.に示した。

  6D va■0080−oI igina18do 》8量i2●d F^8    b●fOrO maSS ValanCO C0πeC−iOn

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二ニ[二」二.__∵一∵_二.ニニニニニニ∵

  14:0  16:0  18:0  18=1  18:2  18:3  20:0  22:0  24:0

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ゑ・1灘賦

  14:0   16:0  18:0  18:1  18:2  18:3  20:0  22:0  24:0

       Fψω{

Fig.6.5.4.補正前後の炭素同位体比の変化

 炭素同位体比測定では、Fig.6.5.4.を見れば、補正によって明らかに元の脂肪酸の値に 近づいていることがわかる。水素同位体比のときと同様に、次1こ、実際に補正後の脂肪酸と 元の脂肪酸の同位体比の差を求め、数字的に補正の意義を検証する。

同位体比の差△δ13CをEq.6.5.4.のように表した。

    △δ13C=δ13C。、、、ゼδ13C。、1.1、、1…(Eq.6.5.4.)

ただし、

 δ13CR、、、1α=再計算によって得た脂肪酸の炭素同位体比  δ13Co,igina■=元の脂肪酸の炭素同位体比

同位体比の差△δ13Cを伯ble.6.5.4.2.に示した。

Table.6.5.4.2.△δD【再計算によって得た脂肪酸の同位体比一元の脂肪酸の同位体比1 脂肪酸 ㎜CF△δ13C(%。) ECF△δ13C(%。)

14:O 0.15 0.03

16:0 0.11 一0.09

18:0 O.18 O.08

18:1(n−9) 0.04 一0.11

18:2(n−6) 一0.22 一〇.01

1813(n−3) 一0.31 一0.12

2010 一〇、03 一0.11

22二0 0.13 0.17

24:O 一〇.02 O.09

平均 0.00 一0.01

1σ標準偏差 0.17 O.11

 Table,6.5.4.2.より、エステル基の補正を施したことで、誘導体化前後の脂肪酸の炭素同 位体比の差が、いずれの脂肪酸に関しても、ほぼ0.3%。以内に抑えられ、分析誤差程度に 収まったことがわかる。これは、同位体比未知の脂肪酸を本手法で分析した場合も、およそ 分析誤差(O.3%。)程度の不確かざしか持たないことを示している。さらに、炭素鎖の長さや、

不飽和劇こよって、不確かさの違いは見られなかったため、本手法によって、C14−24までの 飽和・不飽和脂肪酸の炭素同位体比が、すべて正確に分析できると考えられる。C14−24ま での脂肪酸は、一般的な高等生物に、普遍的に見られる脂肪酸である(後述=Tab1e.7.4.2.)。

 以上より、MCF・ECFを用いた誘導体化法が、補正を含めて、脂肪酸の炭素同位体比測 定こ利用可能であることが示された。

6.5.5.脂肪酸の同位体比分析における、MCF・ECFを用いた誘導体化法の利用可能性

 6.5.3.および6.5.4.では、元の脂肪酸と、誘導体化後に補正を行って得られた脂肪酸の同 位体比の差が、ほぼ測定誤差範囲内であることから、脂肪酸の水素・炭素同位体比分析に おいて、MCF・ECFを用いた脂肪酸の誘導体化法が利用可能であることを示した。これをよ り明確に確認するため、横軸に補正によって得た脂肪酸の同位体比を、縦軸こ元の脂肪酸 の同位体比をとったプロットをFig.6.5.5.に示し、考察を行った。

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.280 .260 .240 .220 .200 ・180   、・C60、一!・1  0・31 ・30 ・29 ・28 一27 ・26   E25、/・  4

y引.0693肘14,494

@R2=0.9866

著司ミ

ザ0,999x・0.0258

@R2;0.9936

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δD va.ues of r8・caIc.F^s 513C va■oeg of胞・calc.FAS 0・31

   δD va.ues of r8・caIc.F^s       513C va■oeg of胞・calc.FAs

Fig.6.5.5.元の脂肪酸と補正によって得た脂肪酸の水素(左)・炭素(右)同位体比の関係

4

 元の脂肪酸と補正によって得た脂肪酸の同位体が完全に一致した場合、このプロットの回 帰直線はy=xの形をとる。本研究で得られたFig.6.5.5.に示す結果は、同位体比測定にお ける測定誤差(水素:10%。,炭素:O.3%。)を考慮すれば、理想直線(緑色の点線で表した)に 極めて近いことが分かる。この結果からも、誘導体化から補正までの一連の操作によって、

本手法が脂肪酸の水素・炭素同位体比分柵こ利用可能であることが示された。

 以上、本章では、MCF・ECFを用いた脂肪酸の簡易誘導体化法が、脂肪酸の水素・炭素 安定同位体比分柵こ利用可能であるかどうかを調査した。結果、マスバランス計算を用いて エステル基の同位体比を補正することで、脂肪酸の水素・炭素同位体比を測定誤差程度の 不確かさで測定可能であることがわかった。よって、本手法が脂肪酸の水素・炭素安定同位 体比分柵こ利用可能であることが示された(A◎yagi et al.,2012切〃e∫∫)。

 次の第7章では、実際に本手法を用いて、牛肉に含まれる脂質を構成している脂肪酸の 水素・炭素同位体比を分析し、特に水素同位体比について議論を展開し、水素同位体比の 有用性を示していく。

ドキュメント内 修士学位論文 (ページ 78-83)