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1GC−lRMSによる分析(同位体化絹)

ドキュメント内 修士学位論文 (ページ 56-61)

 本章では、GC−1RMSによる分析よって得られた同位体比について議論する。検量線を用 いて同位体比のキャリブレーションを行い、脂肪酸の誘導体化前後での同位体比の比較を

行う。

5.1.GC−1RMSによる同位体比分析

5.1.1.原理

GC−1RMSの原理は、4.1.で解説したとおりであるので、本章では割愛する。

5.1.2.検量線作成による同位体比のキャリブレーション

 2.3.2.や3.4.5.で述べたように、GC−lRMSによる同位体比分析では、装置内で分子種ごと の同位体分別が発生するため、測定対象の分子と同一構造を持ったスタンダード1こよって、

同位体比の検量線を作成し、測定対象の分子の同位体比をキャリブレーションしなければ、

正確な同位体比を得ることはできない(カ石・大場,2008)。

 本研究では、MCF・ECFを用いた誘導体化によって得られた、脂肪酸エステル(メチルエス テル9種十エチルエステル9種:計18種)が測定対象分子である。そこで、水素・炭素同位体 比をEA−lRMSによって決定した(3.3.4.および3.3.5.)、同一構造を持つ18種のメチル・エチ ルエステル試薬を、GC−lRMS用の検量線用スタンダード試薬とした。

 検量線は、GC−lRMSによって得られた測定値を横軸にとり、EA−lRMSによって得られた 脂肪酸メチル・エチルエステル試薬の同位体比(真値)を縦軸にとることで作成した。この検量 線に、MCF・ECFによって誘導体化して得た脂肪酸メチル・エチルエステルの測定値を代入 することで、同位体比のキャリブレーションを行った。

 検量線は測定日の気温や湿度、イオンソースの状態等の影響を受け、測定日ごとに異な る。そのため、測定日が変わるたびに新しい検量線を作成し、キャリブレーションを行う必要 がある。また、GC−lRMSの検量線は、サンプルの同位体比をキャリブレーションするためだ けでなく、ダイナミックレンジの把握や、装置の状態が測定に適した状態になっているかを知 るためにも利用することができる。すなわち、正確な測定ができていたときの検量線と、傾き や切片に著しい違いはないか、検量線のR2値は適切か等を、測定のたびに確認することで、

信頼度の高いデータを得ることができる(カ石・大場,2008)。

5.2.GC−lRMSによる脂肪酸試薬および脂肪酸エステル試薬の水素同位体比分析

5.2.1.水素同位体比測定までの準備

・熱分解炉の作成

 GC−1RMSによる水素同位体比分析では、試料をガスに分解するための高温炉を、分析者 自ら作成する必要がある。本研究では、長さ30cm、内径2mm程のマイクロボリュームのセ ラミック管をGC−lRMSにセットし、14000Cに設定した。昇温後、GCと1RMSとの接続を切断 し、バックフラッシュを閉じた状態で、3μ1のヘキサンを3回に分けて1μ1ずつ炉に導入し、炉 内にグラファイトコーティングを施すことで作成した。当日、この温度で、そのまま分析を行っ

た。一アの熱分解炉の中で、試料はH2に分解される。

・測定試薬

 用いた測定試薬は、Table.2.3.2.に示したとおり、脂肪酸9種(飽和6種十不飽和3種)と、

検量線用の脂肪酸エステル試薬18種(メチルエステル9種十エチルエステル9種)である。脂 肪酸試薬は、2.2.2.で示した操作によりMCF・ECFを用いた誘導体化を施し、得られた脂肪 睦メチル・エチルエステルをヘキサンに溶かして濃度を調整したものを、オートサンプルラー にセットした。検量線用の脂肪酸エステル試薬は、純度の高いものを入手し、厳割こ封をして 保管しているため、特に前処理は行わずに、ヘキサンに溶かして濃度を調節したものを、オ ートサンプラーにセットした。他の測定条件は、Table.4.1.5.のとおりである。

・リファレンスガスの◎n1O市テストによる、安定性の確認

 3.1.1.で述べたように、lRMSによる同位体比分析では、試料由来のガスの同位体比は、

直前に1RMS内に導入されたリファレンスガスの同位体比を0%。とし、そこからの差分で算出 される。この際に用いられるリファレンスガスの安定性を、ガススプリットシステムの。n!ofrテ ストによって確認する。水素ガスの場合、10回連続の◎n!o竹テストにおける標準偏差が

1.0%。以内になるまで、テストを行う。本測定では、3度のテストで、基準奉クリアした。

・H3+ファクターの補正

 1RMSによる水素同位体比の分析では、1Eによるイオン化の際、H3+イオンが発生し、m!x

=3に干渉することで、試料やガスの導入量に対して、量依存性を示す。固体試料の導入質 量を厳密にコントロールすることは極めて困難であるため、水素リファレンスガスの導入量を 手動で切り替え、それぞれのピFクから算出される水素同位体比を補正する方法が、lRMS のプログラムの中に用意されている。本測定でもこのH3+ファクターの補正を行い、補正値を プログラムに認識させた。

5.2.2.水素同位体比分析結果1:検量線

 検量線用の脂肪酸メチル・エチルエステル試薬の水素同位体比のGC−1RMSにおける測

定値は、Fig.5.2.2.1.のようになった。

   6D va1oes of FA・0 e STD by GC・lR S        δD vaIoes of FA・◎I≡t S I−0by GC・lR S  0    。 一

ω; ・50

0−100

・・150

3 。  ◆

i)・200 0・0

 .250

     5        =

     ◆

  ◆  ◆

 0

ω= ・50

0−100

0首

。・150

≡;

至一200

s

 .250

  14:0 16:0  18:0 18:1  18=2 18=3 20:0 22:0 24:0         14=0  16:0   I8:0 18:1  18:2 18:3 20:0  22:0 24:0

       南岬acid剛・0 o,      用岬acld剛・0EO

Fig.5.2.2.1.検量線用の脂肪酸メチル(左)・エチル(右)エステル試薬の水素同位体比

 検量線用の脂肪酸メチル・エチルエステル試薬の水素同位体比測定によって得られた検 量線はFig.5.2.2.2.のようになった。横軸はGC−lRMSの測定値、縦軸はEA−1RMSによって 決定した同位体比である。

        δD Ca1ibration1i■1e o■1GC−1R S        (EA.lR S vs.GC−1R S)

  一250       0

  ま   ω  =≡

     τ  話

  宕   $   ミ

  o  〉

  0  10

、■一n■一■、■■一U1○・UU■..、11.U〃

50

.200 ・150 ・100

y30.8107x−86.474

=0.

◆ ◆FA.0 eS1 D

◆FA.0EtSfD

      5Dva1ues by GC・1R S%o

Fig.5.2,2.2.GC−lRMSによる水素同位体比分析の検量線

 脂肪酸メチル・エチルエステルの同位体比を複合して検量線を作成しても、良好なR2値が 得られたため、この検量線でメチル・エチルエステル両方を検量可能であることがわかった。

 以降、GC−lRMSによる誘導体化した脂肪酸試薬の水素同位体比測定では、Fig.5.2.2.2.

の検量線を用いた。

5.2.3.水素同位体比分析結果2:脂肪酸試薬MCFメチルエステル誘導体

 Table.2.3.2.示した脂肪酸試薬9種(飽和6種十不飽和3種)を、MCFを用いて誘導体化し て得られた脂肪酸メチルエステルの水素同位体比は、Fig.5.2.2.2.の検量線を用いてキャリ ブレーションし、Table.5.2.3.およびFig.5.2.3.のようになった。

Table.5.2.3.脂肪酸試薬9種のMCFメチルエステル誘導体の水素同位体比

 ・140  ・160  ・180 ま・200

0

−o.220曲

 。240山  。260  .280

脂肪酸メチル誘導体 水素同位体比(%。)

・萎。川蒙

榊帖φ∵ ∴享§2.2ポ

1610 一214.31

」線鮫㌻

1㍗1華螂6一㍗

1811(n−9) 一250.97

緊1・1 讐側、弱阯」圭

1813(n−3) 一198.83

、20:ポ ㍉16α35・!

22:0 一190.55

」24:01」」 .、二燦、4q 一 一榊1

δD va−ues of derivatized■=A一◎㎜e        by GC・■R㎜S

◆ ◆

◆◆

   14:0  16=0  18=0  18:1  18=2  18:3  20:0  22:0  24:0

       Fa吐y acids(0 e)

Fig.5.2.3.脂肪酸試薬9種のMCFメチルエステル誘導体の水素同位体比

5.2.4.水素同位体比分析結果3:脂肪酸試薬ECFエチルエステル誘導体

 Table.2.3.2.示した脂肪酸試薬9種(飽和6種十不飽和3種)を、ECFを用いて誘導体化し て得られた脂肪酸エチルエステルの水素同位体比は、Fig.5.2.2.2.の検量線を用いてキャリ ブレーションし、Tab1e.5.2.4.およびFig.5.2.4.のようになった。

Tab1e.5.2.4.脂肪酸試薬9種のECFエチルエステル誘導体の水素同位体比 脂肪酸エチル誘導体 水素同位体比(%。)

14:0 一233.33

1610 一221.98

18:0 一215.42

1811(n−9) 一265.54

18:2(n−6) 一189.70

18:3(n−3) 一210.83

20:O 一179.52

22:0 一188.93

24:O 一199.24

 ・140  ・160  ・180 ま・200

0

−o−220  ,240  ,260  .280

δD values ofderivatized FA.0Et

       ■1Dy GC・lR1VlS

▲ ▲

   14:0  16=0  18:0  18=1  18:2  18:3  20=0  22:0  24:0       ■=a誠y acids(・0一≡t)

Fig.5.2.4.脂肪酸試薬9種のECFエチルエステル誘導体の水素同位体比

5.2.5.元の脂肪酸とMCF・ECFエステル誘導体の水素同位体比の比較

 元の脂肪酸と、MCFを用いてメチルエステル化した脂肪酸およびECFを用いてエチルエ ステル化した脂肪酸の水素同位体比をTable.5.2.5.にまとめ、比較をFig.5.2.5」こ示した。

    Table.5.2.5.元の脂肪酸とMCF・ECFエステル誘導体の水素同位体比 脂肪酸

 誘導体化前

?f同位体比(%。)

CF誘導体化後

?f同位体比(%。)

ECF誘導体化後

?f同位体比(%。)

、1帖ql、、

、1−

Q仏05

、圭一事4奉 圭換喜夷

1610 一219.93 一214.31 一221.98

練1狛1q㌻ ∴、^享狐狐1 、貞鱒呈鎮㌶

㌘郵胡2㌻

1811(n−9) 一264.16 一250.97 一265.54

嚢葦川 家終燃繊細1・

ヒ桑蝉嚢gpい 薫頚臓線 掲載機

1813(n−3) 一199.83 一198.83 一210.83

書轡」三

11灘硬∵ ,新邸ギ 1報1穣窯㍗

22:0 一189.19 一190.55 一188.93

㌻幸鞭㍗

ζ勲籔篶

1」1期961砿1

韓詞鎮鮒

δD va1ues of origina1&derivatized FAs    before mass valance correction

 一140  −160  ・180

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