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Fig.6.3,1.伝播誤差の拡大(カ石・大場,2008)
6.3.3.メチル・エチルエステル基の水素・炭素同位体比の伝搬誤差と精度の確認
実際に、本研究におけるマスバランス計算の伝播誤差は、6.2.1.および6.2−2.で得たエス テル基の同位体比の平均と1σ標準偏差と共F,Table.6.3.3.に示した。
Table.6.3.3.本研究におけるマスバランス計算の伝播誤差
確かに6.2.1.および612.2.で得られたエステル基の同位体比は、大きな標準偏差を持つが、
伝播誤差の範囲・内であることが分かる。これは、エステル基の同位体比の持つ大きな標準偏 差が、単なるマスバランス計算上の伝播誤差として許容できることを示している。すなわち、
MCF・ECFを用いた脂肪酸の誘導体化では、誘導体化反応中に同位体分別がほとんど発生 せず、炭素鎖の長さや不飽和度の違いに関係なく本来のエステル基の同位体比は一定の値 を持つと考えられる。よって、各脂肪酸エステルから得られたエステル基の同位体比をTable.
6.3.3.のように平均化しても問題がないことを示している。
6.3.4.エステル基の同位体比の平均化
マスバランス計算から求められるエステル基の同位体比は、大きな伝播誤差を持つため、
測定における標準偏差も悪い。しかし、6.3.3.のような、標準偏差が伝播誤差の範囲内である 場合、土ステル基の同位体比を脂肪酸の長さや、飽和・不飽和ごとに分けずに、平均化して も問題ない場合もある。平均化して求められるケースでは、6.3.3.で述べたように、誘導体化 の際に測定対象有機物に対する同位体分別がほとんどないことが必要である。加えて、誘導 体基が由来する試薬がほぼ単一で、導入された誘導体基の実際に持つ同位体比が一定で あることも必要とされる。このようなケースでは、算出したエステル基の同位体比を、「誘導体 化によって付加される同位体比」として決定することができるため、このエステル基の同位体 比を用いて、マスバランス計算により脂肪酸部分の同位体比を再計算することが可能である。
再計算の際には、エステル基の持っていた大きな伝搬誤差はキャンセルされ、得られる脂肪 酸部分の同位体比の精度は、本来の測定誤差程度まで回復する。次の6.4.では、反応試薬 をクロスさせて行った誘導体化の結果等から、誘導体基の由来となっている試薬を特定し、エ ステル基の同位体比の平均化が可能であることをさらに裏付ける。
6.4.エステル基の由来する試薬の特定
本項では、MCF・ECFを用いた誘導体化によって得られた脂肪酸エステルの持つエステル 基が、どの試薬由来であるかを特定する。そのために、Fig.2.2.2.の誘導体化において、ア ルコール(MeOH,EtOH)をクロスさせて得られた脂肪酸エステルの同定を行い、さらにそのエ ステル基の同位体比のマスバランス計算から求める。
6.4.1.反応試薬をクロスさせた誘導体化反応
エステル基の由来を調べるために、Fig.2.2.2.に示したエステル化反応において、用いた アルコール(MeOH,EtOH)を交換し、二系エMeOH+ECF】、【EtOH+MCF1で実験を行い、得ら れたエステルについて考察する。
Fig.2,2.2.に示したエステル化反応で得られたエステルの持つエステル基が、アルコール 由来のものであれば、それぞれのアルコールを加えた系で対応するエステルが得られるはず であるし、エステル基がアルキルクロロホルメード由来であれば、それぞれのアルキルクロロ ホルメードを加えた系で、対応するエステルが得られるはずである。もし、アルコール・アルキ ルクロロホルメード両者からエステル基が提供されていれば、いずれの系でもメチル・エチル 両方のエステルが得られるはずである。
アルコールをクロスさせた誘導体化反応は、Fig.6.4.1.のように行った。
・●
Fattyac■dsmixture500μl
ACN1100μl
Pyridine l00μl
MeOH50μl ECF50μ1
よく振った後、常温で5分間静置する
←
n一■■1exane2000μ■
sat−Nal−1C03aq2000μ1 有機眉を回収
↓・・…1・・
N2ガスを吹き付けて乾燥させる
↓←叶・・焔・・・…11
FA−OMe
●
Fattyacids mIxture500μl
ACN1100μl
Pyridine100μl EtOH50μl
MCF50μ1
よく振った後、常温で5分間静置する
←
n_Hexanθ2000μ・
sat−Naト1C03aq2000μ1 有機眉を回収
↓・・…1・・
N2ガスを吹き付けて乾燥させる
↓←叶・・・・・・・…11 FA−OEt
Fig.6.4.1.アルコールをクロスさせた誘導体化反応
6.4.2.クロス反応によるエステル化[MeOH+ECF1系で得られたエステルの同定
[MeOH+ECF1系で得られたエステルのクロマトグラムは、Fig.6.4.2.のようになった。比較 のために、上部に脂肪酸メチルエステル試薬クロマトグラムを示した。
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Fig.6.4.2.【MeOH+ECF1系の誘導体化反応によって得られたエステルのクロマトグラム
クロマトグラムから、[MeOH+ECF1系の誘導体化反応によって得られたエステルは、メチ ルエステルであることが確認された。エチルエステルは全く確認されなかった。
[MeOH+MCF1系および【MeOH+ECF】系、いずれでも脂肪酸メチルエステルが得られたこ とから、メチルエステル基は、メタノール由来であることが示唆された。
6.4.3.クロス反応によるエステル化[EtOH+MCF1系で得られたエステルの同定
【EtOH+MCF1系で得られたエステルのクロマトグラムは、Fig.6.4.3.のようになった。比較 のために、上部に脂肪酸エチルエステル試薬のクロマトグラムを示した。
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