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ドキュメント内 修士学位論文 (ページ 75-78)

6.4.3.クロス反応によるエステル化[EtOH+MCF1系で得られたエステルの同定

 【EtOH+MCF1系で得られたエステルのクロマトグラムは、Fig.6.4.3.のようになった。比較 のために、上部に脂肪酸エチルエステル試薬のクロマトグラムを示した。

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FA一◎EtSTD

6.4.4.クロス反応によって得られたエステルのエステル基の炭素同位体比

 6.4.2、および6.4.3.の結果から、MCF・ECFを用いた脂肪酸の誘導体化で得られるエステ ルの持つエステル基は、反応系内のアルコール分子由来であることが示唆された。また、6.2.

で行ったマスバランス計算を、クロス反応によって得られたエステルに適用し、エステル基の 炭素同位体比を算出したところ、Table.6.4.4.のようになった(ただし、すべての長さの脂肪酸 C14−24までの平均値)。比較のため、6.2.2.で算出した、[MeOH+MCF1系および

[EtOH+ECF1系で得られたエステルのエステル基の炭素同位体比も載せた。

δ13C。。t

工㎜eO■一1+Mc■=1  叩eO■一1+Ec■=1

貝位体当(堕)  貝竺体化峻)、一

[I≡tO■・一十EC■=1

同位隻比(%・1

 エステル基の同位体比は、メチルエステル基同士、エチルエステル基同士で、それぞれ近 い値をとった。これは、エステル基が同一試薬にほぼ100%由来していることを示唆する(た だし、メチルエステル基に関しては、ごく一部がMCFに由来していると考えられる)。

 今回はクロス反応で得られたエステルについて、水素同位体比を分析しなかったが、水素 同位体比についても、おそらく炭素同位体比と同様の結果が得られると考えられる。

6.4.5.エステル基の由来する試薬の特定とエステル基の同位体比の平均化

 6.4.3.および6.4.4.から、MCF・ECFを用いた脂肪酸の誘導体化反応で得られるエステル の持つエステル基は、反応系内のアルコールにほぼ10q%由来すると結論付けることができ る。より確実な証明方法は、反応系内のメタノールおよびエタノールの同位体比を決定(ある いはラベル)しておき、そのアルコールを使って誘導体化反応を起こし、得られたエステルの エステル基の同位体比を算出する方法もある。しかし、揮発性の高いアルコールは、揮発中 に同位体分別が発生し、同位体比を決定することは容易ではないため、本研究では行わな

かった。

 以上、6.3.および6ゴ4.の実験から、MCF・ECFを用いた誘導体化によって得られたエステ ルの持つエステル基の同位体比をマスバランス計算から求めると、各脂肪酸エステル間の標 準偏差は伝搬誤差の範囲内であり(すなわち脂肪酸分子に対する同位体分別はほとんどな い)、エステル基はほぼ100%アルコール由来である(すなわちエステル基が実際に持つ同位 体比は一定)ため、すべての炭素鎖の脂肪酸エステルから算出されたエステル基の同位体比 は、Table.6.3.3.のように平均化して決定しても問題ないと考えられる。

6.5.脂肪酸部分の同位体比の再計算と本誘導体化手法の利用可能性

6.5.1.マスバランス計算を用いた脂肪酸部分の同位体比の再計算

 6.3.において、マスバランス計算によって得られたエステル基の同位体比(Table6.3.3.)を 用いて、脂肪酸部分の同位体比を再計算する。エステル基の同位体比は大きな伝搬誤差を 含んでいるが、マスバランス計算による脂肪酸部分の再計算によって、この伝搬誤差は縮小 してキャンセルされ、得られる脂肪酸部分の同位体比の精度は、本来の測定誤差程度まで 回復する。そのため、理想的には、再計算によって得られる脂肪酸部分の同位体比は、誘導 体化前の元の脂肪酸の同位体比と一致するはずである。両者の差が測定誤差程劇こ収ま れば、MCF・ECFを用いた誘導体化手法が、(マスバランス計算による誘導体基の補正を含 めて)脂肪酸の安定同位体比分析に利用可能であることが示される。

6,5.2.メチル・エチルエステル基の同位体比

 6.3.において、マスバランス計算によって得られたエステル基の同位体比を、確認のため にもう一度Table.6.5.2.として載せる。6−4.より、エステル基はほぼ100%アルコール由来で あることが示されたため、これらのメチル・エチルエステル基あ同位体比は、すなわち対応す るメタノールないしエタノールの同位体比であると言える。

 今後、脂肪酸の同位体比が未知のサンプル(後述:第7章)を分析する際にも、同じメタノー ル・エタノールを用いることで、誘導体化によって新たに加わるエステル基の同位体比として Tab1e.6.5.2.の同位体比を用いて補正を行えば、脂肪酸部分の同位体比を求めることができ る。しかし、用いるアルコールを変えた場合は、もう一度同位体比の分かっている脂肪酸試薬 を誘導体化して、エステル基の同位体比を求め直す必要がある。

Tab1e.6.5.2.マスバランス計算によって決定されたメチル・エチルエステル基の同位体比

δ13C。。t

1σ標準偏差(%。)

 メタノールおよびエタノールの水素・炭素同位体比が異なる理由は、試薬の由来の違い(植 物由来、石油由来等)や、工業生産過程での同位体分別の影響であると考えられるが、本研 究からだけでは、定量的な説明は困難である。

6.5.3.再計算によって得た脂肪酸部分と元の脂肪酸の水素同位体比の比較

 Tab1e.6.5,2.に示したメチル・エチルエステル基の水素同位体比を用いて、マスバランス再 計算によって得た脂肪酸部分の同位体比をTable.6.5.3.1.に示した。比較のため、誘導体化 前の元の脂肪酸の同位体比(3.2.においてEA−lRMSによって求めたもの)を載せた。

Table.6.5.3.1.元の脂肪酸と再計算によって得た脂肪酸部分の水素同位体比 脂肪酸

 誘導体化前

?f同位体比(%。)

CF再計算後

?f同位体比(%。)

ECF再計算後

?f同位体比(%。)

簑鮒111 、1幸孔qむ

  一一」=  ^■坤

?Q鎮0マ

、㌻鋼狛9∴::

16=0 一219.93 一217.58 一219.59

繰籔1:1

1箆伽鴛

㍗1筆鶯訂1∴

」司酌だ

18:1(n−9) 一264.16 一257.37 一269.90

線籔9障

1::1ふ喫禦1一∴

、螂:ザ

1813(n−3) 一199.83 一200.71 一206.36

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゚1δ㍗ ㍗阿菊」㍗

1㍗悌.三ゲ i」㍗菰佃」1

22=0 一189,19 一191.24 一183.37

一出一1 @  」一

Q410∴ ;一

リqgど ㌻1鉱4ザ ㍗19525

 補正前後の差をビジュアル的に見るために、各脂肪酸について、元の脂肪酸の同位体比

(紫)と、補正前後のメチル(緑)・エチル(青)エステルの同位体比をFig.6.5.3」こ示した。

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