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8一

ドキュメント内 第6・7次調査 (ページ 138-147)

(3)古墳時代後半期

 東西南北に整然と区画された水田畦畔と、東西に直線的に走る溝1条を検出した。9層上面 である。自然地形はほとんど解消されて、ほぼ水平な面をなしている。従来の、地形に規制さ れた区割りからの大きな変化が看取される。

之\7∠十一

1

a.水田畦畔(図106、写真34・35)

 9層上面で検出できた水田面は約30面である。畦畔は幅40〜60cm、高さ3cm未満である。一 区画の大きさは1m〜5m(平均2.3m)×2.8m〜9m(平均4.6m)、面積は約3.1㎡〜27.5㎡

(平均10.4r6)である。水田の区画は斜面の傾斜とは関係なく、ほぼ東西南北の方向に沿って 行われており、傾斜の急な部分は細かく、比較的平坦な部分は広くとられる傾向がある。東西 方向の区画と南北方向の区画には、大きな差異はなく、どちらかが主でどちらかが副といった

ような関係は認められなかった。

 本層には弥生時代後期頃の土器小片も比較的多く含まれるが、古墳時代後半期、TK209に対 応するとみなされる須恵器片が出土していることから、上面水田の時期は古墳時代後半期に属 すると考えられる。

写真34 古墳時代後半期遺構全景(東から)

写真35 畦畔およびSDO3断面(東から)

b.溝i

SDO3(図107・108、写真35・36)

 ほぼeラインに沿って東西方向に 直線的に検出された。標高2.95へ 3.05mの高さである。9層上面の水 田に伴う溝と考えられる。両側に付 随する畦畔が調査区の東南半部で消 失しており、上面は一部で削平をう けていると思われる。幅は約1.0へ 1.3m、底面は2.75〜2.8mの高さに あり、深さは約20cmである。掘り形 は浅い逆台形を示す。埋土は明黄灰 色砂質土と灰色砂質土で、底に粗砂 が溜まる。

 出土遺物には6世紀後半〜7世紀 前半の須恵器が含まれ、本溝の所属 時期は古墳時代後半期と推定され

る。

 第6次調査地点のSDO8に対応す

る。

A

写真36 SDO3土層断面(西から)

  A3.1m

       1.明黄灰色砂質土         2.灰色砂質土(底に粗砂)

0       1m

図107 SDO3断面図(縮尺1/30)

     1      20    5cm

法  量(㎝)

形態・手法の特徴ほか 色調 胎 土

番号 器種

口径 底径 器高

1 須恵器杯蓋 ロクロ回転:右、推定口径:13.6㎝・器高:4.4㎝ 淡灰 微〜細砂少

2 〃   〃 〃  :左、二次焼成痕、推定口径146㎝・器高:4.6㎝ 紫灰 微〜細砂少

図108 SDO3出土遺物(縮尺1/4)

5.古代の遺構・遺物

 8層上面では、東西南北に区画された水田畦畔と調査区南端を東西に走る溝1条が、そし て、7層上面でも調査区南端を走る溝1条が確認された。7層上面の溝は8層の溝を踏襲して

いる。

 前段階(古墳時代後半)と同様に、区割り方向は東西南北の正方位であるが、新たに大規模 な溝の出現が注目される。

 水田は第6次調査地点の9層上面水田に、溝はSD13・14にそれぞれ対応する。

a.水田畦畔(図109・110、写真37)

 8層上面では幅40〜60cm、高さ3cm未満の畦畔で区切られた水田面が26面程度検出された。

7層(洪水砂)で覆われている。一区画は東西3〜5m(平均4.33m)、南北1.8〜6.5m(平均 4m)の規模で、面積は7.2㎡〜20.95rd(平均15.11㎡)を測る。区割は斜面の傾斜とは無関係 にほぼ東西南北の方向に沿って行われており、傾斜の急な部分は細かく、比較的平坦な部分は

        b

之\7∠十一1

1一

2一

3一

4一

5一

6一

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1

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3.1

3.05

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2.95

 川

3.15

 1|1

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SDO4

口畦畔

※等高線は標高値      (m)

      l   l

      O       10m

      一

図109 古代遺構全体図(縮尺1/300)

写真37 古代遺構全景(南から)

広くとられる傾向がある。東西方向の区 画と南北方向の区画を比較すると、南北 方向の優位性を考えたい。

 出土遺物はいずれも小破片で図化可能 なものは少ない。古代の遺物(図110−

8〜12)が中心であるが、古墳時代の遺 物もかなり含まれる(同一1〜7)こと から、第6次調査地点と同様に、8層段 階に古墳時代層におよぶ掘り下げがあっ たことが予想される。

 本水田の時期は出土遺物から、平安時 代後半に属すると考えられる。

1

     1 iへ

2

      3      4

      8

\〔ニトゴ

      9

     10

     11

     12

0      10cm

法  量(㎝)

形態・手法の特徴ほか 色調 胎  土

番号 器種 口径 底径 器高

1 須恵器杯蓋 12.8 口縁部:段有り、全体にシャープ、ロクロ回転:右、1/4残存 (内)青灰(外)暗灰 粗砂多

2 〃   〃 13.8 口縁部:緩やかな段有り、ロクロ回転:右、1/5残存 淡青灰 微砂〜細砂

3 〃   〃 横ナデ 淡青灰 微砂少

4 〃   〃 ・ク・回転、:右 淡青灰 微砂〜細砂少

5 杯身 横ナデ、1/3残存 灰白 微〜細砂

6 〃   〃 11.2 横ナデ、外面:自然粕、1/7残存 淡灰白 微〜細砂少

7 〃   〃 横ナデ、ケズリ、1/5残存 淡青灰 微〜細砂少

8 〃    底外:周縁部箆キリ・中心部押圧、墨書:「南」orr関」、ロクロ回転:右 灰白 微〜細砂少

9 〃    6.6 底部外面:箆キリ、他は摩滅で不明、1/3残存 灰白 微〜細砂少

10 〃   〃 5.3 底部外面:糸キリ、他はナデ、1/1残存、全体摩滅 淡黄白 微〜細砂僅少

11 土師器椀 6.6

内面:ミガキ、外面:ナデ、「黒色土器A類」、1/4残存 (内)黒(外)黄白 微砂

12 〃   〃 6.5 内面:ミガキ(摩滅)、外面:内面、「黒色土器A類」、1/4残存 (内)黒(外)茶褐 微砂、赤色粒、細

図110 8層出土遺物(縮尺1/4)

b.溝

SDO4(図111・112)

 調査区の南端東半部を東西方向に走る溝として、7層除去後、8層上面で検出された。約 3.1mの高さである。4ライン以西では、方向を少し南に振る傾向を見せ、調査区外に向かって 姿を消していく。また、4ライン以東においても、溝の北端肩部の一部のみしか調査区内に 入っていないため、溝の全容を窺い知ることは困難である。調査区内で把握できる範囲で見る と、溝の深さは15cm前後、底面の高さは最深部で約2.85mを測る。深さ15cm程度である。埋土 は上層が灰白黄色粗砂、下層が暗灰褐色砂質土である。全体に砂質が強い。

 出土遺物は、溝の肩部の僅かな調査であることから非常に少ないため、所属時期の決定は困 難である。ただ、8層出土の遺物の時期、あるいは、本溝が第6次調査地点のSD13に対応する

ことが、位置や埋土の状況から確認されていることから、平安時代後半の時期考えられる。

SDO5(図111)

 調査区南端において、土層断面の観 察から確認された東西方向に走る溝で ある。掘削面は7層上面で、3.1〜

3.15mの高さにあたる。3ライン以西 では調査区外にのびていく上、溝の北 側肩部の一部のみしか検出されていな いため全容を窺うことは困難である が、残存部ではの規模は深さ10cm前後 で、底面は最深部で約2.95mの高さに ある。埋土は粗砂あるいは細砂混じり の濃灰白色土である。こうした状況か ら、本溝は第6次調査地点のSD14に 対応すると考えられる。遺物は出土し ていないが、土層関係や溝の連続性か ら、本溝の時期は古代末、11世紀初頭 に比定されよう。

      AA

      〈7層>

       3.2m        〈SDO5>

0       1m

 〈SDO4>      〈SDO5>

 1.灰白黄色粗砂(Fe多)    濃灰白色土(粗・細砂)

 2.暗灰褐色砂質土(Fe過多)

    図111SDO4・05断面図(縮尺1/30)

      1

      ト   ニ ヤ

   織藩

      1 1

竃主ノ 鯨\ 頷

雛灘鑑

   いこ「;・ 恒タ

   ・。,㎡に≧ 

   ㌻蕊こヌ

0         10cm

法  量(㎝)

番号 器種 口径 底径 器高 形態・手法の特徴ほか 色調 胎  土

1 平  瓦 上面:布目、下面:粗いナデ後格子タタキ 細砂・角閃石多

図112 SDO4出土遺物(縮尺1/4)

6.近世・近代の遺構・遺物

(1)(中世末〜)近世

 遺構検出面は4・5層の2面である。5層上面では畦畔2条が、4層上面では溝1条がそれ ぞれ検出された。5層に関しては、中世末の遺物も多く完全に近世に属するとは言い難いが が、検出された畦畔が南北方向であり、従来からの東西方向の区割りから南北方向に変化して いることから、最終的な時期を近世に求め、近世の項に入れて報告する。

a.畦 畔(図113・114)

 5層上面では南北方向に2条の畦畔が検出された。1ライソと3ライン付近で、約11mの間 隔をもつ。その保存状況は悪く、断面形等も不明確ではあるが、残存部分の調査から、幅20〜

40cm、高さ約5cmの規模を有すことが予想される。調査区の西半部では確認されなかった。

 遺物は中世土器片が目立つが、他に近世の陶磁器類も含まれる。中世〜近世に継続的に水田 が営まれたと考えたい。

81 7

1 6

1 5

1 4

1 3

1 2

1

N

−b

一一b

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一e

口畦畔

0         10m

図113 近世遺構全体図(縮尺1/400)

8

P

 10

   3    4    5  ° 6    7

11

㊥⑪

12 0

13

9

一6−

3

10cm 図114 5層出土遺物(縮尺1/4)

M1

M2 M3

 Ml     M2      M3     0      5cm

図115 4層出土遺物(縮尺1/2)

法  量(㎝)

番号 器種 口径 底径 器高 形態・手法の特徴ほか 色調 胎  土

1 土師器椀 内面:丁寧なナデ、外面:押圧・ナデ 黒(灰)褐 微砂

2 〃   〃 内面:丁寧なナデ、外面:押圧・ナデ・煤 暗〜黒灰褐 微砂

3 ノ   〃 4.9 底部外面:押圧、他はナデ、1/1残存 淡黄白 微砂僅少、細かい

4 〃    ∫ ナデ、1/3残存 淡黄白 微砂、細かい

5 〃   〃 4.9 底部外面:押圧・ナデ、内面:丁寧なナデ、1/3残存 黒褐 微〜細砂

6 〃   〃 4.3 底部外面:押圧、他はナデ、高台潰れる、1/1残存 淡赤白 微砂僅少、細かい

7    〃 4.2

ナデ、1/4残存 暗褐 微砂僅少、細かい

8 〃 皿 7.0 5.5 (1.0) 横ナデ、底部外面:箆キリ、1/3残存 黄白 微〜細砂

9 〃   〃 丁寧なナデ、1/7残存 (淡黄)白 精良

10 須恵器甕 横ナデ、「備前焼?」 (内)暗紫灰(外)淡灰 微砂多、黒色粒多

11 土  錘 (径)L2 (長)6.3 孔径:4m、摩滅、きめ細かい胎土 明茶褐 微砂少、赤色粒多

12 〃 1.1 〃 5.7  3㎜、 〃、   〃 赤橿 微砂少、赤色粒多

13 〃 1.0 〃 5.5 〃 .3㎜、  、   〃 暗赤褐 微砂少

14 〃 0.9 <3.0> 〃 3ml、 〃、   〃 暗褐 微砂少

番   号 名   称 径  (㎝) 形態・手法の特徴ほか

M1 2.3 「天聖元賓」初鋳造年1023年

M2 2.3 「煕寧元賓」 〃 1068年

M3 2.4 「元豊通賓」 〃 1078年

b.溝i

SDO6(図113・115)

 4層上面において8ラインの東に南北方向の溝を検出した。標高3.25m前後の面である。幅 40〜50cm、深さ5〜10cm程度で、埋±は〈3層〉に近似する。時期は4層出土遺物から近世と 考えられる。

(2)近  代 a.畝状遺構

 調査区全域で畝状遺構iを検出した。南北方向に1.5m前後の間隔で幅1m前後で認められた。

造成土直下の2層上面検出で、近代に属すると考えられる。

ドキュメント内 第6・7次調査 (ページ 138-147)