BASE FOcus sEARCH focus focus2
図5‑3‑1 各 課 題 におけるCFQ高
・低 得 点群 の平均反応 時間
BrOadbent et al.(1986)が
探 索 の速 さを示 す指標 と して求 めた
(sEARCH
の反 応 時 間 ―
FOcusの
反 応 時 間)の値 は,今回 の 実験 で は 両群 とも‐20〜
̲40ms
とな り
,タ
ー ゲ ッ ト位 置 が予告 され る課題 の方 がむ しろ反 応 が遅 くな る こ とを 示 した .タ ー ゲ ッ トの探 索 のみ を行 うBASEで
は 高 得 点群 の反応 時 間 が早 い と い う結 果 は,cFQ高
得 点 群 は刺 激 の探 索 に適 してぃ る と述べたBrOadbentら
の結 果 と一 致 してぃ る。 しか しその他 の課題 の反 応 時 間 を比較 す る と
,今
回 の 結 果 はむ しろ低 得 点群 のFOcusで
の反 応 の遅 さ とぃ ぅ観 点か ら考 察すべ きで あ る と思 われ る (山 田,1993a).今 回 の 実験 の
fOcus試
行 は シ グナル とプ ライ ムが同時 に呈示 され
,両
方 に 注 意 を向 けてお くょ ぅに教示 され たために注意 の負荷が高 くな り,シ
グナル のみが 呈示 され る
BrOadbentら
の課題 よ り困難 に な った と考 え られ る2.こ のた め,彼 らの実験 で は ター ゲ ッ ト位 置 を予告す るこ とで反応 を促 進 す る と考 え られ た シ グナル が
,本
実 験 で はむ しろ反応 を妨害す る効果 を持 ったのかも しれ な い.BrOadbentらつ て い る の 実 験 で も
,高
得 点 群 の一 部 で はfocus試行 の反 応 時 間 の ほ うが長 くな実 際 に
,一
部 の参 加 者 にFOCUSと SEARCHの
どち らが 困難 で あ つたか を実 験 終 了 後 に尋 ね た と こ ろ,高
得 点 群 5名 中4名
が 「中央 の刺激 を見 てお くよ うに言 われ た の で シ グナル は邪 魔 」,「気 が散 る」 とい う理 由で
FOCUSを
困難 だ と答 え た の に対 して,低
得 点 群 5名 中4名 は 「探 さな くていい か ら簡 単」,「 心 構 えが で き る」 とい う理 由でFOCUSが
容 易 だ と答 え た 。 この こ とか ら,同
時に 呈示 され る シ グナ ル とプ ライ ムの両方 に注意 を向 けてお くこ とが特 に高得 点 群 に とっ て 困難 で あ り
,シ
グナ ル を手 がか りと して利 用 で きなか つたた め に反 応 が遅 れ た こ とが示 唆 され る.また
MIXブ
ロ ック 中のfocus2試行 の割 合 (実際 は50%)を
尋 ね た とこ ろ,高 得 点 群 で は 45。
7%,低
得 点群 は49.2%で あ り,両
群 の評 定 に有 意 な差 は な か っ た.し
か しシ グナ ル を どの程 度 あて に して い たか を尋 ね る と,高
得 点群 の評定 値 が
34.2,低
得 点 群 が62.5で ,低
得 点群 の 方 が よ リシ グナ ル を手 が か り と して用 い て い た こ とが うか が え る (t(18)=2.75,p<.05).こ の た め,シ
グナ ル と違 う場 所 に ター ゲ ッ トが 呈示 され る
focus2試
行 で は低 得 点群 の反 応 が遅 れ る こ とに な つ た の だ ろ う。2.プ
ライ ミン グ効 果次 に
,タ
ー ゲ ッ トとプ ライ ム の組 み合 わせ (関連 一 致,関
連 不一 致,無
関連)ご との反 応 時 間 を求 めた 。各 課題 にお け る ター ゲ ッ ト位 置 の主効 果 が有意 で な か つた ので, こ こで は位 置 を こみ に した 。次 に
,関
連 一 致 条件,関
連 不一 致 条件 の反 応 時 間 か ら無 関連 条件 の反 応 時 間 を差 し引 い て プ ライ ミン グ ス コア を算 出 した 。 一 般 に
,こ
の値 がマ イ ナ スであれ ば プ ライ ムに よって ター ゲ ッ トヘ の 反 応 が促 進 され た こ とを,プ
ラス で あれ ば反 応 が妨 害 あ るいは抑 制 され た こ と を示 す と考 え られ て い る。図 にはSEACH,FOCUSブ
ロ ック と,MIXブ
ロ ック の
fOcus,focus2試
行 にお け るプ ライ ミン グス コア を示 した.関連 一 致 条 件 の場 合
,低
得 点群 で わず か に促 進 効 果 が見 られ るが,CFQ得
点(高・ 低
)×
課 題(4種
類)の
分 散 分析 の結 果,
どち らの主効 果 も有意 で は な か つた 。10「 一――――一―
――――――― ―― ―― ― ― ― ―――― ――――‐―― ――― ― ――――― ―
]
51匡 □
SEARCH FOCUS focus focus2 SEARCH FOCUS focus focus2
図5‑3‑2各課 題 におけるプライム 条 件 間 の 反応 時 間 の 差 (左:関連 一 致 条 件 ―無 関連 条 件 右:関連 不 一致 条 件 ―無 関 連 条 件)
一 方
,関
連 不 一 致 条 件 の場 合,両
群 の結 果 は大 き く異 な る.低
得 点 群 で は不 一 致 プ ライ ム に よつて い く らか反応 が遅 くな つて い るが そ の差 は小 さい.し
か し高得 点群 で はす べ て の課題 にお い てむ しろ反 応 が早 くな ってお り,両
群 の プ ライ ミン グ ス コア に は有 意 な差 が 見 られ た(F(1,18)=12.31,p<.01).更
に課題 を こみ に して組 み 合 わせ 条件 ご とに誤 反 応 率 を求 め た と ころ,低
得 点 群 で は 関 連 一 致,関
連 不 一 致,無
関連 の3条
件 の誤 反 応 率 は それ ぞれ4.4%,4.3%,3.5%
で 有意 な差 は な か つた が
,高
得 点群 で は6.3%,4.0%,3.2%で
条 件 間 に有 意 な 差 が あ り (χ2=11.15,p<.01),関
連 一 致 条 件 の誤 反 応 率 が他 の2条
件 よ り高 か っ た 。従 つ て 高 得 点 群 で は不 一 致 プ ライ ム条 件 で反 応 が 早 くな り
,一
致 プ ライ ム条件 で は それ よ り反 応 が遅 れ
,
しか も誤 反 応 も多 い とい う,通
常 の プ ライ ミン グ 効 果 とは逆 の結 果 が得 られ た こ とに な る.見
るだ け で反 応 しな い よ うに と教 示 され た プ ライ ム と同 じター ゲ ッ トが 呈示 され た 時 に反 応 が遅れ る とい う結 果 は,ネ ガテ ィブ・ プ ライ ミン グ効 果 だ と解 釈 す る こ ともで き るが,こ の場合 も
CFQ
高 得 点 群 で ネ ガ テ ィ ブ ・ プ ラ イ ミ ン グ 効 果 が 見 られ な い とす る
Tipper&
Baylis(1987)と
は異 な る結果 とな る.た
だ し2つ
の 実験 で は この効果 の 時 間 的 特 性 が 異 な るた め,直
ち に矛 盾 す る結 果 とは言 え な い 。 つ ま りTipperら
の反 応 時 間 の 差 ms
‑15
‑20
実 験 で は連 続 す る
2試
行 間で抑 制 が持 続 しな い こ とが高得 点群 の特 徴 で あ つた の に対 して,今
回 は1試
行 内 の短 い 時 間間 隔 で抑 制 が強 く生 じて い た こ とを示 す 結 果 で あ るた め,こ
の2つ
の特 徴 を併せ 持 つ の が高得 点群 の注 意 の様 式 で あ る とい うこ と もあ り得 る.こ
の 点 に関 して は,抑
制 の持 続 時 間 に焦 点 を置 い た 実 験 的 検 討 が必 要 で あ ろ う。【 全 体 の 考 察 】
本節 の実験 で は
,CFQ低
得点群 では ター ゲ ッ ト位置 の予告 として利用 で きる シグナル刺激や,反
応 を促進す る と考 え られ る関連一致 プライム刺激 が,高
得 点群 においてはそ うした効果 を持 たず,む
しろ反応 を妨害す るのではないか と 考 え られ る。 ターゲ ッ ト以外 の刺激 に注意 を向けてお くことは,高
得 点群 に と つて,よ
り困難 であったのか も しれ ない.こ
れ は1節
で も考察 したス トレスヘ の脆弱 さ,即
ち妨害 されやす さ (vulnerability)に 通 じる特徴 ではない だ ろ う か。一方,他
の刺激 はま つた く呈示 されず ター ゲ ッ トに探索的 に反応す るbase 課題 では高得 点群 の反応 が早かつた こ とか ら,課
題 の負荷が低 くス トレス フル でない状況 では高得 点群 の方略 が有利 に働 くこともあ りうる.そ
こで次節 では 課題 負荷 が異 な る状況 においてCFQ得
点 と遂行 との関係 を検討す る。5‑4
同異判 断課題 にお ける教示 の効果 との関係前節 の結果 か ら
,CFQ高
得点群・低得点群 それ ぞれ の反応方略が有利 に働 く 状況 とそ うでな い状況 が あるこ とが示唆 され た。言い換 えれ ば前節 の実験 では,参加者 がそれ ぞれ の反応 方略 を用 い ることが ある程度 可能であつた こ とにな る. それ は「で きるだけ速 く
,間
違 えない よ うに」とい う教示 の多義性や, シグナル の有効性 へ の評価 が参加者 に よつて異 なつていた ことに よるものか も しれ ない。では
,あ
る特定 の反応方略 を要求 され る状況 では ど うであろ うか。 その よ うな 状況 で も,CFQ得
点 に よって遂行 に違 いが見 られ るだ ろ うか。本節 の実験 で は,課題 負荷 を変化 させ る操作 と して参加者 に反応 の速 さと正確 さを強調す る
2種
類の教示 を与 えて遂行 の変化 を調べ
,CFQ得
点 との関係 を探 る.教
示 の効果 をよ り明瞭 に捉 え るた め
,課
題 は単純 な同異判 断課題 を用 いた。 また前節 で はCFQの
高・低得点の2群
の遂行 を比較 したが,こ
こでは中得点群 を加 えた 3 群 を設定 した (山 田,1992).【 方 法 】
参 加 者 :前節 の 実験 とは異 な る女 子 大 学 生 の集 団
88名
(グル ー プ5)に CFQ
を 実施 し
,有
効 回 答 の得 られ た85名
か らCFQめ
高 。中 。低 得 点群 を選 び,各 群 か ら
6名 ,合
計 18名 の参 加 者 に実験 を行 つた 。各群 のCFQ得
点 は 高 得 点群 で56.50(SD=4.99),中
得 点群 で44.33(2.29),低
得 点 群 で 33.67(4.46)で ,3群
の得 点 間 に は有意 な差 が あ った (F(2,17)=39.12,p<.01).実 験 期 間
:1991年
12月 .実 験 装 置 :刺 激 の呈示 の統制 や反 応 時 間 の記 録 には
NECの PC9801XLと
付 属 の 15イ ンチデ ィス プ レイ を用 い た.反応 の記 録 に は キー ボ ー ド上 のNFER, XFER,ス
ペ ー ス キー の3つ
に それ ぞ れ 「同 じ」「違 う」「ス ター ト」 のカ バ ー をか けて用 い た 。反 応 に は 両手 を用 い るが,ど
の指 で どの キー を押 す か は,各
参 加 者 で最 も押 しや す い よ うに決 め た 。課
題
:12個
の ドッ トを標 準 刺 激 と して,その あ とで呈示 され る比 較刺 激 (9,11,12個 )の
数 が 同 じか 違 うか を答 え る 同異 判 断 課 題.更
に各反 応 の後 に そ の確 信 度 を 「当て推 量 で」「たぶ ん」「確 か に」 の1か
ら3の 3段
階 で さ せ た 。刺
激
:ド
ッ トに は 」ISコ ー ド217Cの
充 実 円 (●)を
用 い た 。 画 面 上 で は 直 径 約7mmで
呈示 され る。9〜12個
の ドッ トは画 面 上 で は約 12cm×7cm
の範 囲 内 で ラ ンダ ム な配 置 で 呈示 され る。 この範 囲 は視 距離
70cmで
視 角 に して 約 10° ×6° の広 さで あ る。試
行
:各
試 行 は参 加 者 の スペ ー ス キー 入 力 に よっ て 開始 され る。 この あ と 警 告 音 と ともに+の
凝 視 点 が2秒
間 呈 示 され ,ド ッ トが100msだ
け呈示 さ れ て 消 え る.参
加 者 の反 応 が入 力 され る とマ スキ ン グ と して ラ ンダ ム ドッ トパ タ ンが100ms呈
示 され る。そ の後 ま た画 面 は消 え,こ こで確 信 度 の評 定 が行 われ る.参
加 者 は 口頭 で1か
ら3の
数 字 を答 え,実
験 者 が これ を記 録 す る.こ
の後,参
加 者 の スペ ー ス キー入 力 に よつて次 の試 行 が始 ま る。手 続 き :実験 は個 別 に