表
5‑2‑1
グ ル ー プ3,4ののCFQ及びCFOの平 均 得 点(SD) グループ3 グループ4 女子大学生夫
妻 CFQ(自己評価)
CFO(自 己評価)
4557(8.75) 38.32(1175) 42.31(1021) 16.52(3.56) 1337(3.83) 14.94(3.56)
CFO(他者への評価) 12.23(4.01) 14.13(3.91) 13.61(4.36)
※ グループ3はN=95,グ ループ4はそれぞれN=62.
CFQ得
点 につ い て1要
因 分 散 分 析 を行 っ た と こ ろ群 間 の 主 効 果 は有 意 で(F(2,216)=9.76,p<.01),Tukeyの HSD法
に よ る多 重 比 較 の結 果,女
子 大 学 生 の得 点 が 夫 よ りも有 意 に高 い こ とがわか った.CFOに
つ い て も同 じよ うに分 析 を行 つ た と こ ろ,
自 己評 価 で は群 間 の 主 効 果 が 有 意 で (F(2,216)=16.58,p<.01),多
重 比 較 の結 果,女
子 大 学 生>妻 >夫
とな っ た.他
者 評 価 で も群 間 の 主 効 果 は有 意 で あ った が(F(2,216)=5.47,p<.05),こ
こで は女子 大 学 生 と夫 の 得 点 の 間 に の み 有 意 差 が 見 られ た (多重 比 較 は いず れ も p<.05).CFOの
項 目分 析 の た め,自
己評 価 。他 者 評 価 そ れ ぞ れ につ い て合 計得 点 の 上 位 群・下位 群 を約25%ず
つ 抽 出 し,両
群 の各 項 目の 平均 得 点 につ い てt検
定 を 行 つ た と こ ろ,女
子 大 学 生,夫
婦 の 両 グル ー プ とも 自己 。他 者 評 価 の 両方 にお い て 全 項 目で1%水
準 で 有 意 差 が 見 られ,上
位 群 の 平 均 得 点 が上 回 つ た.次 に
CFOの 8項
目の 内的 整 合 性 を調 べ た と ころ,α 係 数 は表 5‐ 2‐2の
よ うに な つ た.い
ず れ の群 に お い て も 自己評 価 よ りも他 者 へ の評 価 にお け る α係 数 の 方 が 高 い 。CFOで
尋 ね て い る失 敗 は現象 と して は 多様 な もので あ るが,他
者 に 対 して は そ の よ うな失 敗 の性 質 の違 い を越 えて一 律 的 な反 応 を して い る可 能 性 が 示 唆 され る.な
お α係 数 と, 自己評 価 ―他 者 評 価 の相 関 を算 出す る際 に は,女 子 大 学 生 で他 者 へ の評 価 の 困難 度 を
3(相
手 が どの よ うに行 動 す るか ま つた く知 らな い)と
答 え た20名
のデ ー タは除 い た 。表
5‑2‑2 CFO項
目の内的整合性(α係数) 自己評価他者への評価 女子 大学 生 0.68 0.81
夫
0.71 075
2.自
己評 定 と他 者 評 定 の 関係次 に
,失
敗 の 頻 度 に 関 す る 自 己評 価 と他 者 か らの 評 価 との 相 関 を調 べ た.表
5‑2‑3
他者からの評価(CFO各項 目)と自己評価(CFQ得点及びCFO各項 目)との相関 女子 大学生 の 自己評価CFO(1也者 か らの言平1面
) CFO CFQ
夫 の 自 己 評 価
CFO CFQ CFO CFQ
妻 の 自己評 価ぼんやりしている 集 中できない 忘れっぱい 周 りに気付かない 落 し物
決心 しにくい 混乱する 不機嫌CFO合言十
013 014
0.10
‑0.05 0.05 0.22 0.20 0.22
020
0.25 * 0.27 * 0.27 * 025
0.12 0.13
0.32 * 0.37 **
0.33 0.13
026
0.17 0.26 0.43 0.17
033
0.44
0.12 0.32 0.37
‑0.10
020
0.44 0.16
028
0.35
012
0.24 0.21
033 017
0.21
030 022 038
*
**
**
0.09 010 0.21 0.24 0.28 * 0.36 0.20 0.57 0.31 ** 0.46
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
※ *:pく.05,**:p〈
01.lrl≧
.40のものは太字で示した※ グループ3はN=75,グループ4はそれぞれN=62.
全 体 に
,女
子 大 学 生 同 士 よ りも夫 婦 間 の方 が 自己評 価 と他 者 か らの評 価 の 間 の相 関 は高 い 。大 学 の友 人 同士 よ りも夫婦 の方 が生活 を共 にす る時 間 が長 く, さま ざ ま な 場 面 で互 い の行 動 を観 察 す る機 会 に恵 まれ て い るた めで あ ろ う.項
目ご とにみ る と
,Broadbent et al(1982)の
結 果 で は「ぼ んや り して い る」,「忘 れ っ ぽ い 」,「周 りに気 付 か な い 」,「決 心 しに くい 」 とい う項 目で,特
に夫 の 自 己評 価 と妻 か らの評 価 の間 に高 い相 関が得 られ て い るが,今
回 の結 果 で は そ れ に加 え て 「不機 嫌 」 の項 目で も高 い相 関が 見 られ た 。 これ らの結 果 か らは,他
者 か ら観 察 され や す い失 敗 とそ うで な い もの
,ま
た 関係 性 (友人 間,配
偶者 間)に よ る違 い
,互
い の失 敗 に対す る夫 と妻 の感 受性 の違 い な どい くつ か興 味深 い 観 点 も示 唆 され る.次 に
CFOに
つ い て,他
者 か らの評 価 の値 か ら自己評 価 の値 を差 し引 き,評
価 のず れ を 求 め た (図 5‐ 2‐
1).こ
のずれ の値 がマ イ ナ スで あれ ば,他
者 か らの 評価 が 過 小 評 価 で あ る こ とを示 す 。なお女 子 大 学 生 につ い て は評 定 の 困難 度 (1〜
3)ご
とに参 加 者 を分 けた.評
定1は 21人 ,評
定2は 54人 ,評
定3は
20人 で あ つ た.
各 群 に お け るず れ の値 に は有 意 差 が あ り
(F(4,214)=15,20,p<.01),Tukey
の
HSD法
に よ る多重 比較 の結 果,女
子 大 学 生3,即
ち 自分 の行動傾 向 を知 らない他 者 か ら評 価 され た グル ー プ にお け るず れ が
,女
子 大 学 生 1及び 夫,妻
の グル ー プ よ りも大 きか つた
(5%水
準 で検 定).1 0
・1
・2
・3
・4
・5
・6
・7
・8
他 者 評 価
︱ 自 己 評 価
女子大学生
1
女子大学生2
女子大学生3
夫妻
図5‑2‑1 各群における他者からの評価と自己評価のずれ
グループ
【 全 体 の 考 察 】
一 般 に
,あ
る行 動 の特 徴 に 関す る 自己評 定 と他 者 か らの評 定 は,他
者 が そ の対 象 人 物 の 行 動 を観 察 す る機 会 が 多 い ほ ど一 致 しや す くな る と考 え られ る 。
CFOを
用 い た失 敗 行 動 に 関す る 自己評 価 と他 者 か らの評 価 も,行 動 の特 徴 を あ ま り知 らな い 友 人 よ りは親 しい友 人,更
に 夫 婦 とい うよ うに,行
動 観 察 の機 会が 多 い と思 われ る組 み合 わせ で相 関が 高 くな る とい う結 果 とな り
,他
者 か らの 評 定 を用 い て 自己評 定 の 妥 当性 を確 認 す る こ とが で きた 。 しか し失 敗 が も と も と他 者 か らは観 察 しに くい もの で あ るた め か,あ
るい は他 者 の 失敗 につ い て 答 え る こ とへ の抵 抗 や 遠 慮 が あ るた めか,全
体 に相 関 は それ ほ ど高 い もの で は な い.そ こで次節 で は
,実
験課題 の遂行 とい う客観 的 な指標 とCFQ得
点 との関係 を調べ るこ とで失敗 の 自己報告 の妥 当性 を検討す る.5‑3
視覚的探索課題 ・焦点づ け注意課題 にお ける遂行 との関係Broadbent, Broadbent,&Jones(1986)は ,
日常生活 にお ける失敗 の多 さを表 すCFQ得
点 が高い者 と低 い者 ではそれ ぞれ特有 な注意 の様式 が見 られ るのではないか と考 え,実
験的検討 を行 つてい る。 この実験 では,コ
ン ピュー夕画 面 上 に 呈示 され るター ゲ ッ ト刺激 が アル フ ァベ ッ トの 「A」 で あ るか 「B」
で あ るか の 二者 択 一反応 を求 め る課 題 が用 い られ た 。刺 激 の呈示 形 式 に は
,タ
ー ゲ ッ ト位 置 を探 索 させ る場 合 と
,シ
グナ ル 刺激 に よつて予告 され た呈示位 置 に ター ゲ ッ トを呈示 し,注
意 の焦 点 づ け を可 能 に した場 合 の2条
件 を設 定 し, これ らの反 応 時 間 を比較 した.こ
の結 果,高
得 点群 ほ ど探 索課 題 と焦 点 づ け課 題 の反 応 時 間 の差 が小 さい こ とが わ か り,高
得 点群 は刺 激 を探 索 す る よ うな課 題 に,低
得 点 群 は注 意 の集 中 を必 要 とす る よ うな課 題 にそれ ぞ れ 適 した方 略 を 持 つ の で は な い か とBroadbentら
は述 べ て い る。また
Tipper&Baylis(1987)は ,先
行試 行で無視す るよ うに教示 され たデ ィス トラクター が後続試行で ター ゲ ッ トにな る場合,CFQ低
得点群 の反応 は遅くな るが (ネガテ ィブ・ プ ライ ミング効果
),CFQ高
得 点群 では この効果 は見 られ ない とい う結果 を得 た.彼
らは この結果 か ら,CFQの
高得点群 にお け る選 択 的 な注意 のメカニズムの弱 さを示唆 してい る.以上 の先行研 究か ら
,こ
こでは探索 と注意 の焦点づ け課題 とプ ライ ミングの 手続 き を組 み合 わせ て行 い,CFQ高
得点群 と低得点群 の遂行 を比較す る。CFQ
が注意 の焦 点づ けや選択的抑制 の弱 さとい うよ うな注意 の側 面 を捉 えるもので あれ ば
,両
群 の遂行 には先行研 究 と同 じよ うな違 いが見 られ るだ ろ う。更 に こ の実験 で は,探
索的 か焦点づ けか とい う参加者 の注意 の方略 を よ り明確 に捉 え るため に,シ
グナル を呈示す るがそれ とは異 なる位置 にター ゲ ッ トが呈示 され る とい う試 行 を新 しく付 け加 えた 。 この場合,シ
グナル の位 置 に注意 を焦点 づ けてお くほ ど反応 は遅れ る と予測 され る。 シグナル がターゲ ッ ト位 置 に対 して 有効 な手が か りにな る場合 と,そ
うでない場合 とい う2種
類 の試行 を混在 させ た場合,CFQの
高得 点群 と低得 点群 で シグナル の利用 に違いが見 られ るだ ろ う か。 も しも高得 点群 が注意の焦点づ け方略 をあま り用いない とすれ ば,シ
グナル 以外 の位 置 にター ゲ ッ トが呈示 され る時 の反応時間の遅れ は
,低
得点群 よ り も小 さ くな るこ とが予想 され る.【 方 法 】
参加者 :グ ループ
1の
女子大学生 に行 つた調査 1の 結果に基づき,145名
の中か ら
CFQ合
計得点の上位群・下位群 を約25%(36名 )ず
つ選んだ,実
験 は この 中 か ら更 に 10名ず つ を ラ ンダ ム に選 ん で行 つ た 。 実験 期 間
:1989年
12月 .実験 装 置 :刺 激 の呈示 の統 制や 反 応 時 間 の記 録 には
NECの PC9801XLと
付 属 の 15イ ンチデ ィスプ レイ を用 い た.更
に視 距離 を一 定 に保 つ た め,頭
部 固 定器 を用 い た 。刺
激
:タ
ー ゲ ッ トと して アル フ ァベ ッ トのA,Bの
文 字 を用 い た 。 ま た プ ライ ム と して は 同 じくA,Bと
数 字 の1か
ら5,タ
ー ゲ ッ ト位 置 を予 告 す る シ グナ ル と して#を
用 い た.従
つて プ ライ ム とター ゲ ッ トの組 み合 わせ に は 関連 一 致 (A―A,B― B),関
連 不 一 致 (A―B,B― A),無
関連 (数 字 ―A,数
字 一B)の 3種
類 が あ る。試
行
:試
行 はす べ て,タ ー ゲ ッ トが「A」か「B」か をで き るだ け早 く判 断 して 指 定 され た キー を押 す 強 制 選 択 の反 応 時 間課 題 で あ る.刺
激 の 呈 示 形 式 は 次 の4種
類 を設 定 した 。(1)タ ー ゲ ツ トのみ が呈示 され るbase課
題,(2)プ
ライ ム が 呈示 され た後 に ター ゲ ッ トが 呈 示 され るsearch課
題,(3)プ
ライ ム とシ グナ ル が 同時 に呈示 され,そ
の後 シ グナル が予 告 した位 置 に ター ゲッ トが 呈 示 され るfocus課題
,(4)プ
ライ ム とシ グナ ル が 同 時 に 呈示 され,そ の後 シ グナ ル が 予 告 した位 置 で な い と ころ に ター ゲ ッ トが 呈 示 され る
focus2課
題・ いず れ の課 題 も各試 行 の始 め に は画 面 中央 に凝 視 点 と して「+」 が
500ms呈
示 され,同
時 に ビー プ音 が鳴 る。そ の後 プ ライ ム画 面 (プ ライ ム の み,或
い はプ ライ ム とシ グナル)が 500ms呈
示 され,次
の ター ゲッ ト画 面 は反 応 が 終 わ るま で 呈 示 され て い る
.base課
題 の場 合 は,凝
視 点 の後 す ぐに ター ゲ ッ ト画 面 が 呈示 され る.反
応 が 終 わ る と再 び 警 告 音 と と もに凝 視 点 が 呈示 され,次
の試 行 に移 る。呈示 位 置
:凝
視 点 とプ ライ ム は 常 に画 面 中央 に,シ
グナ ル とター ゲ ッ トは (1)近左,(2)近
右,(3)上,(4)下
,(5)遠左,(6)遠右 の6箇
所 の い ず れ か に 呈 示 され る。画 面 中央 か らの 距 離 は(1)と (2)で約lcm,(3)と
(4)で約 7.5cm,(5)と (6)で約
11.5cmで
あ る.手 続 き :以 上 の課 題 を
,BASEl(練
習 ブ ロ ック),SEARCH,FOCUS,MIX
これ 以 降,課題 内 容 や 試 行 は 小 文 字 で (例 base),ブ ロ ックは 大 文 字 で (例
BASE)
表 す
の
4ブ
ロ ックで個 人 ご とに実施 した.試
行 数 はBASEで 92(う
ち20が
練 習 試 行),SEARCHと FOCUSで
は 78(う ち6が
練 習試 行),MIXで
は 150(6が
練 習 試 行,focus試
行 とfocus2試行 が72ず
つ)で
あ る.本
試 行 は 呈示 位 置(6)× プ ライ ム・ ター ゲ ッ トの組 み合 わせ(3)× ター ゲ ッ トの種 類(2)
×
2=72試
行 で,
これ らの試 行 は ラ ンダ ム順 に行 われ た 。 なお 参加 者 の 半 数 はBASE→ SEARCH→ FOCUS→ MIXの
順 で,残
りの 参加 者 はBASE→
FOCUS→ SEARCH→ MIXの
順 で 実験 を行 つ た.参
加 者 に は,最
初 は 中央 の刺 激 (プライ ム)を
見 てお き,次
に ター ゲ ッ トが 呈示 され た らで き るだ け早 く間違 えない よ うに反 応 す る こ と,FOCUSで
は 中央 の刺 激 と一緒 に#の
記 号 が 呈示 され,そ
の後 同 じ位 置 に ター ゲ ッ トが 呈示 され るが,記
号 だ け に 注 意 を向 けて しまわず 中央 の刺 激 に も注意 を向 けてお くこ と,MIX
で は タ ー ゲ ッ トは
#と
同 じ位 置 に呈示 され る こ ともあ る し,違
う位 置 に 呈 示 され る こ ともあ る,と
い う教 示 を与 えた.実 験 後 の評 定:実験 終 了後
,MIXブ
ロ ック中のfocus2試行 の割 合(0%〜 100%)
と
,シ
グナ ル を ま っ た くあて に してい なか った〜非 常 に あて に して い た の2項
目の評 定 を求 めた.参
カロ者 に は,下
端 にそれ ぞれ 「0%」 「ま った く…・」,上 端 に 「100%」,「非 常 に …・」 と書 かれ た
10cmの
線 分 上 で, 自分 の印象 に あ て は ま る と思 う位 置 に線 を書 き こむ よ う求 め,線
分 の 下端 か ら参 加 者 が書 き込 ん だ線 ま で の距離 (m血 単位)を
評 定値 と して用 い た。【 結 果 と 考 察 】
1.反
応 時 間各 課 題 に つ い て正 反応 の反応 時 間 を対数 変換 し
,タ
ー ゲ ッ トの種類 や プ ライ ム との組 み 合 わせ は こみ に して,位
置 ご との 平 均反 応 時 間 を算 出 した.MIXの
focus試行 とfocus2試行 の反 応 時 間 は別 に求 めた 。なお 本試 行 の
3ブ
ロ ックで の誤 反 応 率 に は課題 間や 群 間 で有 意 差 は な く,い
ず れ の場 合 も5%以
下 と小 さ か った 。反 応 時 間 に つ い て