目数 や 内容 を考慮 して こ こで はバ リマ ックス解 を採 用 した 。プ ロマ ック ス 回 転 を行 つた場合 の因子 間相 関 は
,第 1因
子 と第2因
子 でr=.52,第 1因
子 と第3因
子 でr=.52,第 2因
子 と第3因
子 でr=.46で あ っ た 。第
1因
子 に高 い負 荷 量 を持 つ の はす べ て オ リジナル のCFQ項
目で あ るが,そ の 中 で も
,物
を置 い た場所 を忘れ る,
しよ うと思 つて い た こ とや 言 お うと し て い た こ とを忘れ る,人
の名 前 を忘れ る,何
か を してい る時 にぼ んや り して し ま つ た り注 意 が他 に向 い て しま う,な ど不 注意 や もの忘 れ の10項
目が 。40以
上 の負 荷 量 を示 した。 これ らはCFQ項
目の 中で も特 に,実
行 中の行 動 へ の 注 意 が不 十 分 な た め に起 こる失敗 で あ る.従
つ て第1因
子 はCFQ全
体 よ りも明 瞭 に ア ク シ ョン ス リップ"の
性 質 を持 つ 因子 と考 え られ るだ ろ う.第
2因
子 は,急
が され る と決 心 に迷 つた り考 えず に決 めた りす る,責
任 の 重 い仕 事 や テ ス トな どで はふ だ んの力 が 出せ ない,も
の ご との細部 に と らわれ て 広 い 見 方 が で きない,状
況 の変 化 に合 わせ られ ない,な
どの9項
目が 高 く負 荷 した 。 この うち8項
目が新 しく作成 した項 目で あ る。 これ らの項 目は,ス
トレス に影 響 され や す く状 況 に適 した行 動 が と りに くい こ とや
,認
知 が 狭 く硬 直化 して い る こ と,す
な わ ち項 目作成 時 に意 図 した cognitive narrowing現象 を よ く表 して い る と考 え られ るた め,第 2因
子 を 認 知 の狭 窄"因
子 と解 釈 す る.第
3因
子 は予 定 を確 か めず 約 束す る,所
持 金 を確 か めず 買い物す る,反
対 方 向 へ 行 く電 車 に飛 び 乗 つて しま う,
日先 の利 益 を選 ん で結 局損 をす る,な
どのよ うに状 況 へ の 見通 しが悪 く,よ く確 か め ない で行 動 す る項 目か らな って い る。
これ らの
6項
目はす べ て新 しく作成 した もの で非機 能 的衝 動性 の特 徴 と一 致す る と思 わ れ るた め,第 3因
子 は 衝 動 的 失 敗"の
因 子 と解釈 す る.以 上 の よ うに
,因
子 分 析 の結 果 か らは新 項 目作成 時 の意 図 にほぼ対応 す る因 子 が 得 られ た と考 え られ る。こ こで は これ らの 因子 に .40以 上 の負 荷 量 を示 し た25項
目か ら失 敗傾 向尺度 を構成 す る こ と と し,各
因子 ご との項 目の合 計 得 点 を失 敗 傾 向得 点 とす る.な お この
25項
目で再 び 因子 分析 を行 つた ところ,全
項 目が 先 述 の 分析 結 果 と同 じ因子 に。35以
上 で負 荷す る こ とが確 認 され た 。全 体 の説 明率 は31.6%と
2負荷 量 ≧ ±.40を基 準 と した場 合.
な る.
3つ
の 失敗 傾 向尺度 を構成 す る25項
目は ,得 点 の平 均値 ±標 準偏 差 の値 が い ず れ も評 定 値 0〜4の
範 囲 内 に あ り,回
答 の分布 が極 端 に偏 つ た項 目はな い と 考 え られ る。ま た 各 失敗 傾 向 得 点 に よって 高得 点群・低 得 点群 を約25%ず
つ 選 び 出 し,尺
度 内 の各 項 目得 点 を比 較 した (G‐P分
析).3尺
度 と も,す
べ て の項 目にお い て 高 。低 得 点群 間 に1%水
準 で有 意 差 が認 め られ,項
目の識 別 力 につ い て も問題 は な い と思 われ る.各 下位 尺 度 の 内容 は以 下 の 通 りで あ る。
[アクションスリップ(acJon siip)]
1
本 や新 聞 を読みながらばんや りしてしまい,内 容を理解するためにもう一度読み直す2
何 か用事 があってその部 屋 に行 つたのに,何 をするためだったのか思い出せない13ス
ーパーマーケットに行つて,ほ しい品物が 目の前にあるのに,す ぐに見つけられない17手
に持つていたものをなにげなくそこに置き,後 になってどこに置いたか思い出せなくな る19何
かを聞いていなければならない時に,ぼ んやり他のことを空想してしまう20人
の名前を思い出せない21何
か一 つのことをしているときに,つ い他のことがしたくなつてしまう22何
かを思い出そうとしていて,の どまで出かかつているのに,どうしても出てこない23何
を買いにその店 に来たか,とつさに思い出せない24物
をなくしてしまう[認知 の狭 窄(cognitive narrowing)]
15決
心するまでに,あれこれ迷つてしまう28早
く決 めるように急がされると:か えつて迷って決められなくなつてしまう30テ
ストや面接の時にあがってしまい,落 ちついていたらもっとうまくできたのにと後悔 する35責
任 の重 い仕事 をまかされると,緊 張 してふだんの力が出せない36早
く決 めるように急 がされると,よく考 えずに決めてしまい1後 で後悔する38細
かいことにこだわりすぎて,物 事 の全体 的な局面を見すごしてしまう39あ
る考 えが頭 に浮かぶと,それ 以外 の可能 性について考えられなくなつてしまう43状
況 が変わつているのに,自分 の態度 や考 え方を柔軟 に変えられない44さ
さいなことが気になつて,か んじんなことを考えるのに集 中できない[衝動 的 失 敗(impulsivity)]
31コンピュータやヮープロが突然動かなくなり,原 因を確かめる前 にあわてて電源を切つ てしまう
32駅
のホームに駆 け上がり,行 き先を確かめずにちょうど来た電車 に乗ってしまう33買
い物に行つて,どれを買おうか迷ってしまい,結 局いいかげんに決めてしまう37も
う少 し待てば増 えるとわかっていても,つい目先の利益を選んで損をする40そ
の 日の予定が空いているかどうか,確 かめないで約束してしまう42残
りのお金 のことはよく考 えないで,買 い物をする2.失
敗 傾 向得 点 の 分布 と相 互相 関各 得 点 の平 均値 と得 点 レンジを表 6‐1‐
2に ,得
点分布 を図 6‐1‐1〜6‐1‐3に
示 した.会
社 員 にCFQ日
本 語 版 を実施 した 調査 で は合 計得 点 に有 意 な性 差 はみ られ な か っ た が (5‐1節
参 照),今
回 も ア ク シ ョンス リップ"で
は 有意 な差 はな く, 認 知 の 狭 窄
"で
は女 子 学 生 の得 点 がや や 高 い傾 向 がみ られ た (t=1.84, pく。10)。 なお 衝 動 的失 敗"では男子 学 生 の方 が有意 に得 点 は高か っ た (t=2.10,p<.05).実
際 の得 点 差 は0.95で
あ り,標
準偏 差や デ ー タ数 の多 さを考慮 す る とそ れ ほ ど大 きい差 で は な い が,男
女 の得 点傾 向 が逆 に な つ て い る点 は興 味深 い.表
6‑1‑2
失敗傾 向得点の平均値(SD)と得 点レンジ アクションスリツフ゜認知の狭窄
衝動的失敗 被験者全体
20.11(530)18.81(5.44) 7.63(384)
(N=622) 男 子 学 生
(N=122) 女 子 学 生 (N=500)
5‑38
2‑33 0〜24 19.54(5.38) 1800(5.76) 8.39(4.66) 6‑38 4‑33 0〜19 20.26(5.25) 1901(5.35) 744(3.60)5‑36 2‑33 0‑24
度 200
数 (人)160
120 80
40 0
層: 200
数 (人)160
120 80 40 0 2 5 8 11 14 17 20 23 2629 32 35 38
図6‑1‑1 アクションスリップ"得 点の分 布
2 5 図6‑1‑2
8 11 14 17 20 23 26 29 32 認知の狭窄"得 点の分布
200 度
成メ ∞
120 80 40 0
1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 図6‑1‑3 衝 動 的 失敗 "得 点 の 分 布
失 敗 傾 向得 点 間 の相 関 は, ア ク シ ョンス リップ
"と "認
知 の狭 窄"で
r=.48, ア ク シ ョンス リップ"と
衝 動 的 失 敗"で
r=.43, 認 知 の狭窄"と "衝
動 的失 敗
"で r=.38で
あ っ た (いず れ もp<.01).こ
れ は プ ロマ ックス解 で の因子 間 に 中程 度 の相 関 が あ つた こ と と整 合 す る。3.尺
度 の信 頼 性尺 度 ご とに ク ロンバ ッ クの アル フ ァ係 数 を求 め た とこ ろ, ア ク シ ョン ス リ ップ
"で
α=。79, 認 知 の 狭 窄"で
α=.81, 衝 動 的 失 敗"で
α=。70で
あ り,内
的 整 合 性 は一応 の基 準 に達 して い る と言 え るだ ろ う。
次 に女子 大 学 生 2・
3年
生77名
に は2カ 月 間隔 で,男
女 大 学 生150名
(男子80名 ,女
子70名 )に
は 6ヵ 月 間 隔 をお い て いず れ も講 義 中に集 団 で調査 を実 施 した.2回
の調 査 にお け る尺 度 得 点 の相 関 は下表 の よ うに比較 的 高 い もの で あ り,こ
の 質 問紙 で測 られ る失 敗傾 向 が時 間 をお い て も比較的安 定 してい る ことが示 され た.
表
6‑1‑3
失敗傾 向得点の再検査信頼性2カ月間隔
6カ
月間隔 (N=77) (N=150) アクションスリップ0.82
認知の狭窄
0.61
055
0.78
衝動的失敗
o.68 0.63
【 全 体 の 考 察 】
個 人 の記 憶 の失敗 につ いて調 べ るた めの質 問紙 はい くつ か あ る
(Herrmann, 1982)が ,CFQは
記 憶 だ け で は な く知 覚 や 認 知 にお け る失敗 を も含 めた もの と され て い る。 しか しこ こでい う cognitive failure"は,失
敗 を プ ラ ン の 失 敗 (ミ ステ イ ク)と
実 行 の失敗 (ス リ ップ)に
分 け た場 合 には 主 に後者 を指 す と言 われ て お り(Reason,1988),ま
た い くつ か の言語 で行 われ て い る因 子 分 析 的研 究 の 結 果 か らも,CFQは
日常 生活 で経 験 す る さま ざまな失 敗 を網 羅 して い な い の で は な いか と考 え られ た.そ
こで本研 究 で はCFQを
基 に して,よ
り広 範 な失 敗 を提 え る質 問紙 の作成 を試 み た 。大 学生 を対象 とした調 査 の結果 か らは, ア ク シ ョンス リップ", 認 知 の 狭 窄 ", 衝 動 的失 敗
"の 3つ
の 因子 が 抽 出 され,
日常 生活 にお け る失敗 経 験 を 区別 し うる こ とが示 され た 。 また これ らの得 点 が 時 間 をお い て も比較 的安 定 して い た こ とか ら,失
敗 しや す さに関 す る個 人 の特 性 を示 す もの と考 え られ る。本研 究 で は これ らの失敗 しや す さを「失 敗 傾 向」 と呼 び,さ
ま ざまな失敗 の生起 に は,状
況 要 因 とこの失 敗 傾 向 との相 互 作 用 が影 響 を及 ぼす の で はない か と考 えて い る.これ らの失 敗 傾 向 は
,失
敗 の現 象 と して の特徴 に注 目 したReasOnに
よ る初期 の分 類 と も
,失
敗 の 生 起 段 階 に注 目す るNormanの
分類 と も異 な り,そ
の 現 象 の背 景 に あ る注意 や 認 知 的 プ ロセ スの状 態 を理論 的 に包含 した もの とな っ て い る。従 っ て この質 問紙 の妥 当性 を更 に検 討す るた めには,注
意 の負 荷 や 課 題 状 況 を さま ざま に操 作 して,そ
の遂 行 とこれ らの失敗傾 向 との 関連 を調 べ る検 討 が 必 要 で あ ろ う。6‐
2
失 敗 傾 向 の階層 的構 造失 敗傾 向 質 問紙 の 因子 分析 の結 果
,質
問紙 作 成 時 に想 定 した3つ
の 失敗 の カ テ ゴ リー に ほ ぼ 対応 す る と考 え られ る ア ク シ ョンス リップ", 認 知 の狭 窄",衝 動 的 失 敗
"の 3因
子 が得 られ た (山 田,1999a)。 しか し,各
因子 の 内容 を見 る と