特性を検証した高減衰ゴム支承(HDR)の諸元を表‑参 4.3 に示す。
図‑参 4.3 は,面圧を変化させた場合の HDR ゴムバッファの荷重〜変位の履歴曲線を示したものであ る。ここで試験は同一の HDR ゴムバッファに対して面圧を変化させた載荷を行ったものである。面圧 0N/mm2と 0.5 N/mm2の結果を比較したものであり,繰返し 5 回加振のうちの 5 回目の履歴曲線である。
履歴曲線は面圧の有無に関わらずほぼ同様である。図‑参 4.3 に示す履歴特性は等価剛性 KB及び等価 減衰定数 hBともに,免震支承の設計値通りの特性を示している。
表‑参 4.3 高減衰ゴム支承(HDR)の諸元
平面寸法 a(mm) 650
b(mm) 650
ゴム層厚 te(mm) 10
ゴム層数 n 11
ゴム総厚 Σte(mm) 110
せん断弾性係数 G(N/mm2) 1.2
等価剛性(設計値) Kb(kN/mm) 4.5(±10%) 等価減衰定数(設計値) hb(%) 13.9(以上)
a) 面圧 0N/mm2 b) 面圧 0.5N/mm2 図‑参 4.3 高減衰ゴム支承(HDR)の検証例
‑1500
‑1000
‑500 0 500 1000 1500
‑300 ‑200 ‑100 0 100 200 300
Horizontal Displacement( mm)
Horizontal Force(kN)
面 圧 : 0.5N/mm2 せ ん 断 歪 : ± 175%
Kb=4.13kN/mm Hb=16.3%
‑1500
‑1000
‑500 0 500 1000 1500
‑300 ‑200 ‑100 0 100 200 300
Horizontal Displacemnt( mm)
Horizontal Force(kN)
面 圧 : 0N/mm2 せ ん 断 歪 : ± 175%
Kb=4.38kN/mm Hb=16.1%
参考資料-5 レベル 1 地震動に対する静的照査法
レベル 1 地震動に対して静的照査法を適用した場合に,橋軸方向に対する上部構造の変位と水平力 の分担を算定する方法を以下に示す。
上部構造の変位の算定にあたって,各下部構造の剛性は基礎の回転と水平変位及び橋脚躯体の曲げ 剛性を考慮して,以下の合成バネ定数によって評価する。
Fui i
F i Pi Ci
K K
h K K
1 1
1
2
0 +
+
=
θ
(参 5.1)
ここに,
KCi :i橋脚の下部構造合成バネ定数 KPi :i橋脚の躯体曲げバネ定数
等断面橋脚の場合KPi =3EIi hi3 (参 5.2)
i
KFθ :i橋脚基礎の回転バネ定数(=Arri −Asri2 Assi ) (参 5.3) KFui :i橋脚基礎の水平バネ定数(
= A
ssi)h0i :i橋脚の基礎バネ中心から上部構造中心までの高さ
ssi sri Fi i
i h h A A
h0 = + − (参 5.4) EIi :i橋脚躯体の曲げ剛性
rri sri ssi,A ,A
A :i橋脚基礎の抵抗を表すバネ定数(道路橋示方書Ⅴ耐震設計編 6.2.3 解説参照,Asrは負の値)
図‑参 5.1 下部構造の高さ
下部構造の変形に加え,ゴムバッファの変形も考慮した合成バネ定数について次式で定義する。
Ci Si
Ti
K K
K 1 1
1
= + (参 5.5) ここに,
KTi :i橋脚の支承部ゴムバッファを含む合成バネ定数 KSi :i橋脚支承部のゴムバッファバネ定数
KCi :i橋脚の下部構造合成バネ定数
支承部ですべりが生じない場合には,橋脚における上部構造の変位は,次式で与えられる。
Pj
Cj j Cj
j P h j
U K
P K
W k
P δ
δ + = +
= 0 (参 5.6)
ここに,
Pj :支承部ですべりが生じないj橋脚の橋軸方向分担水平力 kh :設計水平震度
j
WP0 : j橋脚の躯体の等価重量(≒0.3WPj) WPj :j橋脚の下部構造躯体の重量
δPj :j橋脚の下部構造慣性力による下部構造天端変位
Ci j P h
Pj K
W k 0
δ = (参 5.7)
式(参 5.6)から,支承部ですべりが生じない場合に,橋脚における橋軸方向分担水平力は次式とな る。
Pj=KCj
(
δU −δPj)
(参 5.8) 支承部ですべりが生じる橋脚における上部構造の変位は,式(参 5.6)の下部構造変形に加え,ゴム バッファの水平変形を考慮し,式(参 5.5)を適用すると,次式で与えられる。Ci i P h Si
i di Ci i Si i Ci
i P h i Si
i di i
U K
W k K R K
P K
P K
W k P K
R
P− + + 0 = + − + 0
= µ µ
δ
Pi Ai Ti i
K
P −δ +δ
= (参 5.9) ここに,
Pi :支承部ですべりが生じるi橋脚の橋軸方向分担水平力 Rdi :i橋脚の鉛直死荷重反力
µi :i橋脚のすべり支承摩擦係数 KSi :ゴムバッファのバネ定数
δAi :摩擦力とゴムバッファ剛性に関する変位
Si i di
Ai K
R µ
δ = (参 5.10)
式(参 5.9)から,支承部ですべりが生じる橋脚における橋軸方向分担水平力は次式となる。
(
U Ai Pi)
Ti
i k
P = δ +δ −δ (参 5.11) 上部構造の慣性力と下部構造の分担力の総和が等しいことから,次式が成り立つ。
( )
∑ ∑ ∑ ∑
∑ ∑
= = = =
= + = = + − + −
= n
i
n i
m j
m
j Cj Pj
Cj U Pi Ai Ti Ti
U n
i m
j j
i U
hW P P K K K K
k
1 1 1 1
1 1
δ δ
δ δ
δ (参 5.12)
ここに,
WU:上部構造重量
n :支承部ですべりが生じる橋脚の総数 m :支承部ですべりが生じない橋脚の総数
式(参 5.12)から,上部構造変位は次式で与えられる。
( )
∑ ∑
∑ ∑
= =
= =
+ +
−
−
= n
i
m j
Cj Ti
n i
n j
Pj Cj Pi
Ai Ti U
h U
K K
K K
W k
1 1
1 1
δ δ
δ
δ (参 5.13)
得られた上部構造変位δUを式(参 5.8)と式(参 5.11)に代入すれば,各下部構造の分担水平力が得ら れ,下部構造天端の変位
δiは次式となる。
Pi
Ci i
i K
P δ
δ = + (参 5.14) 設計水平震度khの決定には,固有周期が必要となる。道路橋示方書Ⅴ耐震設計編 6.2.3 を参考にす れば,固有周期は次式で略算することができる。
h i Pi U
U
i Pi U
U
k W W
W
W 2 2 ⋅ 1
+
= +
∑
∑ δ δ
δ
δ δ (参 5.15)
T =2.01 δ (参 5.16) 以下の 3 条件を満足するように,式(参 5.8),(参 5.11),(参 5.13)〜(参 5.16)の計算を繰り返す。
1) 式(参 5.16)で算出した固有周期から決定される設計水平震度khが仮定値とほぼ等しい。
2) 支承部ですべりが生じると仮定した橋脚の分担水平力が次式を満足する。
i di
i R
P ≥ µ (参 5.17) 3) 支承部ですべりが生じないと仮定した橋脚の分担水平力が次式を満足する。
j dj
j R
P ≥ µ (参 5.18) 支承部の摩擦係数が 0.1 程度以下の場合,レベル 1 地震動が作用した時に,すべりは生じるが大き な支承相対変位とはならず,固有周期が一定領域の範囲にあることが多い。また,橋脚躯体の慣性力 の影響も小さい。したがって,上部構造変位及び分担水平力は次式で略算でき,一般に繰返し計算の 必要は少ないと考えられる。
∑
∑
=
=
−
= n
i Ti n
i Ai Ti U
h U
K K W
k
1 1
δ δ (参 5.19)
(
U Ai)
di iTi
i K R
P = δ +δ ≥ µ (参 5.20)
h U /k .
T=201 δ (参 5.21) 本参考資料では,式(参 5.22)に示すように,支承部ですべりが生じる橋脚の分担水平力が摩擦力と ゴムバッファの作用力の和として表されることを利用して上部構造変位や分担水平力を算出している。
式(参 5.22)からδuを導くと式(参 5.9)を得る。
Pi=Rdiµi+KSi
(
δu−δp'i)
(参 5.22)Ci i P h Ci i i '
p K
W k K
P + 0
δ = (参 5.23) なお,本参考資料の方法で算出した上部構造変位,分担水平力は,プッシュオーバー解析から得ら れる応答値と理論上同じ値となるものである。