地震力遮断デバイスは,レベル 1 地震動及びレベル 2 地震動により生じる水平力及び鉛直力に対 して,「道路橋示方書Ⅰ共通編 4.1.1」に規定される支承部の性能を満足することを照査するものと する。5.2 の動的解析により算出されたレベル 2 地震動による応答値(断面力,変形)と 4 章に規 定する限界状態(耐力,変形性能等)を比較し,応答値が限界状態を超えないことを照査するもの とする。
地震力遮断デバイスには,道路橋示方書Ⅰ共通編 4.1.1 に規定されるように,上部構造から伝達さ れる荷重を確実に下部構造に伝達する性能,活荷重,温度変化等による上部構造の伸縮や回転に追随 し,上部構造と下部構造の相対的な変位を吸収する性能が必要とされる。レベル 2 地震動によるすべ り系支承とゴムバッファの限界状態は,それぞれ,4.2.3 及び 4.3.3 に示した通りであり,これらの 地震力遮断デバイスの性能照査は,動的解析より得られた応答値がこれらの限界状態を超えないこと を照査することとした。以下に照査方法を示す。
【すべり系支承】
(1) 鉛直力支持
具体的な照査方法については,道路橋支承便覧「3.6 支承部の性能照査」を参照するのがよい。
1) 最大圧縮応力度
鉛直力支持として,最大反力によって生じる最大圧縮応力度を式(解 5.4.1)により照査する。
a max max σ
σ ≤ (解 5.4.1)
A Rmax
max =
σ (解 5.4.2) ここに,
σmax
Rmax
A
a
σmax
:最大圧縮応力度(N/mm2)
:鉛直反力より求められた最大反力(N)
:すべり系支承部の鉛直力を受ける部位の面積(mm2)
:許容圧縮応力度(N/mm2)
許容圧縮応力度は,7 章の性能検証試験結果等を踏まえて,すべり系 支承のデバイスの種類によって設定する必要がある。
(2) 変位追随 1) 水平移動
常時,風時,地震時に生じる水平変位に対し水平変位追随機能を照査する。
水平移動は,所定のすべり性能が確保されていること,及び十分な移動量が確保されているこ とを照査する。すべり面は,移動時に支圧面がすべり面から逸脱しないようにすべり面の長さを 確保するのがよい。
e A
m δ δ
δ ≥ + (解 5.4.3)
s
m δ
δ ≥ (解 5.4.4) ここに,
δm
δA
δe
δs
:すべり系支承の水平変形限界(mm)(4 章 4.2.3 項による)。
:常時の桁伸縮による最大変位(mm)
:余裕量(mm)
:動的解析による最大変位(mm)
2) 回転機能
活荷重によって生じる桁のたわみによる回転変位を照査する。
回転変位を吸収する機構は,すべり系支承の種類によって異なるため,デバイスの種類に応じ て,解析や実験等により確認するものとする。
すべり系支承の回転変位は道路橋支承便覧の 3 章の規定による。また,すべり系支承の形状が 既存の支承形式と異なる場合は,7 章の性能検証方法に基づいた検証を行い,所定の回転変形性 能が確保されていることを確認する。
【ゴムバッファ】
ゴムバッファは,常時,風時,地震時に生じる水平変位に対する水平変位追随機構を式(解 5.4.5) により照査する。なお,ゴムバッファの水平力支持機能については,せん断ひずみを照査する。
1) せん断ひずみ
sa
s γ
γ ≤ (解 5.4.5)
=
∑
e
s t
γ δ (解 5.4.6)
ここに,
γ
sγ
saδ
∑
te:せん断ひずみ
:せん断ひずみの許容値
:水平変位(mm)
:ゴム総厚さ(mm)
ゴムバッファの許容せん断ひずみは,道路橋支承便覧「3.5 使用材料の許容値」を参照するの がよい。
2) 回転変位
ゴムバッファは鉛直荷重を支持しない構造を基本としている。図-解 4.1.2 に示す「横置き」の 場合,ゴムバッファの上下いずれかに隙間を設けることにより,回転変位を取付け部の遊間で吸 収できる機構の場合は回転変位に対する照査の必要はない。ただし,確実に回転変位を吸収する とともに,水平力を伝達できるようにしなければならない。また,ゴムバッファを橋桁と剛結す る場合は,常時の活荷重による引張疲労等の影響について,7 章に規定する性能検証方法により 確認する必要がある。
図-解 4.1.2 に示す「縦置き」の場合は,回転変位量はゴムのせん断ひずみとなるが,一般に その変位量は常時の水平変位に比べて微小であるため考慮しなくてもよい。
3) 引張応力度
ゴムバッファの配置が図-解 4.1.2 に示す「横置き」の場合は,ゴムバッファに道路橋示方書
Ⅴ耐震設計編 15.2「支承部の照査に用いる設計地震力」に規定される上向きの設計鉛直地震力に 対する引張応力度を式(解 5.4.7)により照査する。なお,図-解 4.1.2 に示す「縦置き」の場合は,
鉛直方向の相対変位が生じた場合においても,機能が確保できるように,支承部の抜け上がり防 止として十分な高さを確保する。この高さの目安としては,一般に 30cm 程度以上とすれば桁の抜 け上がりを防止できると考えてよい。
e
t A
= U
σ (解5.4.7) ここに,
σt
U
A
e:ゴムバッファの引張応力度(N/mm2)
:引張力(N)
:ゴムバッファの有効面積(mm2)
σt ≤σta (解5.4.8) ここに,
σta:地震時の許容引張応力度(N/mm2)
ゴムバッファの許容引張応力度は,道路橋支承便覧に示される表-解 4.3.2 を参照するのがよい。
参考文献
1) 矢田部浩,運上茂樹:すべり系免震構造物の動的解析における減衰モデルに関する一考察,第 7 回地震時保有耐力法に基づく橋梁等構造の耐震設計に関するシンポジウム講演論文集,pp427-430,
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に関する一考察, 第 8 回地震時保有耐力法に基づく橋梁等構造の耐震設計に関するシンポジウム講 演論文集,pp43-46,2005
8) (財)海洋架橋・橋梁調査会:既設橋梁の耐震補強工法事例集,ppI-94-95,2005 9) 日本道路公団:構造物施工管理要領,1999