4 章に規定するゴムバッファの動的特性を確認するために,以下の試験を行うものとする。
(1) ゴムバッファの等価剛性及び等価減衰定数を確認するための基本特性試験 (2) ゴムバッファの正負連続繰返し載荷に対する基本特性試験
(3) 繰返し載荷に対する安定性確認試験 (4) 履歴経験に対する安定性確認試験 (5) 変位速度の変化に対する依存性確認試験 (6) 外気温の変化に対する依存性確認試験 (7) 静的予変位に対する安定性確認試験
4 章に規定する復元力装置に用いるゴムバッファの動的特性を確認するために必要とされる試験の 種類を示したものである。すべり系支承を用いた地震力遮断デバイスの特性に応じては,該当しない ものもあるため,適宜,必要な項目を選択する必要がある。
すべり系支承と併設される復元力装置としてのゴムバッファには,従来の積層ゴム支承と同様なも のが用いられることが多く,このようなゴムバッファの試験方法としては,ここでは道路橋支承便覧
等における積層ゴム支承の品質管理方法を準用した。
ゴムバッファと一般の積層ゴム支承との使用方法の相違を以下に示す。
イ)鉛直荷重を支持しないことによる等価剛性や等価減衰などの特性の検証 ロ)鉛直荷重を支持しないことによる水平方向の繰返し載荷に関する特性の検証 ハ)鉛直荷重を支持しないため,鉛直荷重による疲労耐久性の検証は不要である。
ゴムバッファは鉛直荷重を支持しない状態で用いられることから,原則として無負荷で性能検証を 行うことが必要とされる。しかしながら,そのような状態での試験は,試験機の制御上の問題,計測 精度の問題,安全性確保の問題などから現実には難しい場合も多い。そのため,無負荷の状態を可能 な限り模擬した試験として,一般に 0.5N/mm2程度の鉛直荷重を載荷し,試験精度の確保を行ってもよ い。なお,0.5N/mm2程度における特性と,鉛直荷重を支持する一般の積層ゴム支承の性能試験条件で ある 6N/mm2載荷時の特性とが同等であることが確認できれば,一般の積層ゴム支承と同じ条件で試験 を行ってもよい。
地震時における動的特性を確認するために考えられる各試験の目的は以下の通りである。
(1) ゴムバッファの等価剛性及び等価減衰定数を確認するための基本特性試験
設計に用いるゴムバッファの等価剛性及び等価減衰定数を確認するための試験である。
(2) ゴムバッファの正負連続繰返し載荷に対する基本特性試験
地震による繰返し載荷に対して,ゴムバッファが損傷を受けることなく安定して機能することを確 認するための試験である。
(3) 繰返し載荷に対する安定性確認試験
ゴムバッファの種類によっては,地震により繰返し荷重を受けると,その特性値が変化するものが ある。これらが,地震力を受けている間に大きく変化すると,設計で想定した状態とは異なった振動 を引き起こす恐れがあるため,これらの変化の大きさを評価するための試験である。
(4) 履歴経験に対する安定性確認試験
ゴムバッファの種類によっては,同じような変位を連続して受けても,最初の特性値と一度その変 位を経験した後の特性値が異なるものがある。ゴムバッファの特性値が,地震力を受けている間に大 きく変化すると,設計で想定した状態とは異なった振動を引き起こす恐れがあるため,これらの変化 の大きさを評価するための試験である。
(5) 変位速度の変化に対する依存性確認試験
地震時には,ゴムバッファはいろいろな振動速度の変位が生じるため,これらに対して安定して機 能することを確認するための試験であり,一般に速度依存性試験という。
(6) 外気温の変化に対する依存性確認試験
ゴムバッファの配置される周辺の温度は,季節的に供用期間内に繰返し変化する。このような環境 条件下においても,ゴムバッファの特性が安定して機能することを確認するための試験であり,一般 に温度依存性試験という。
(7) 静的予変位に対する安定性確認試験
ゴムバッファは,一般に温度変化の影響による静的な変位振幅を繰返し受ける状態で使用される。
静的予変位の大きさによって,ゴムバッファの種類の中には動的特性が変化するものがある。この変 化が大きいと,設計で想定した状態とは異なった振動を引き起こす恐れがあるため,これらの変化の 大きさを評価するための試験である。
なお,ゴムバッファの動的特性を確認する試験に用いる試験体の形状は,道路橋支承便覧等に示さ れるゴム支承・免震支承の依存性試験に用いる 400mm×400mm を目安として,各試験条件を設定して いる。
7.5.2 ゴムバッファの等価剛性及び等価減衰定数を確認するための基本特性試験
試験温度を+23℃とし,無負荷あるいはそれに相当する鉛直荷重の作用下で,ゴムバッファに有 効設計変位または±100mm の変位振幅を,振動数 0.5Hz の正弦波により繰返し 3 回または 11 回与え る。等価剛性を式(7.5.1),式(7.5.2)により,等価減衰定数を式(7.5.3)により算出する。
(天然ゴム系ゴム支承を用いる場合)
∑
== 3
3 j Bj
Bm K
K (7.5.1) ここに,
KBm:ゴムバッファの 3 回目のせん断剛性(kN/m) (免震支承を用いる場合)
∑=
= 11 10 2
1
j Bj
Bm K
K (7.5.2)
∑=
= 11 10 2
1
j Bj
Bm h
h (7.5.3) ここに,
KBm
hBm
:ゴムバッファの 2 サイクル目から 11 サイクル目の平均等価剛性(kN/m)
:ゴムバッファの 2 サイクル目から 11 サイクル目の平均等価減衰定数
地震力遮断デバイスとしてのゴムバッファの基本特性である等価剛性,等価減衰定数を確認するた めの試験方法を示したものである。
基本特性試験は,試験温度を+23℃で行うことを基本とする。なお,+23℃で試験ができない場合 には,7.5.7 に規定する温度依存性試験の結果を用いて+23℃の特性値に補正してよい。
ゴムバッファに作用させる水平変位は,地震力遮断デバイスの有効設計変位uBeに相当する変位,
または,すべり系支承における性能試験条件と一致させるため,±100mm と規定した。なお,ゴムバッ ファはせん断ひずみ依存性を有するため,作用させる水平変位としては実際に使用する条件と大きく 違わないように設定する必要がある。これは,以下に示す試験においても同様である。加振振動数や 繰返し回数及び特性値の算出方法については 7.2.2 に規定するすべり系支承の摩擦係数を確認するた めの基本特性試験と同等とした。
地震力遮断デバイスにおいてゴムバッファに減衰機能を期待しない場合は,せん断剛性に関して検 証を行う。また,減衰機能をゴムバッファに期待する場合は,等価剛性と等価減衰定数に関する検証 を行う必要がある。
なお,等価剛性及び等価減衰定数の算出は道路橋示方書Ⅴ耐震設計編 9.3 によってよい。
7.5.3 ゴムバッファの正負連続繰返し載荷に対する基本特性試験
試験温度を+23℃とし,無負荷あるいはそれに相当する鉛直荷重の作用下で,ゴムバッファに設 計変位または±100mm の変位振幅を,振動数 0.5Hz の正弦波により繰返し回数 50 回以上与え,ゴム バッファに有害な損傷を生じないことを確認する。
7.2.3 に規定する試験方法と同様に,地震による繰返し載荷の影響を確認するため,50 回の正負連 続繰返し載荷を行い,有害な損傷が生じないことを確認する。有害な損傷とは,ゴムバッファの性能 に影響を及ぼすような構造的な損傷のことである。
ゴムバッファに作用させる水平変位は,地震力遮断デバイスの設計変位に相当する変位または,す べり系支承における性能試験条件と一致させるため,±100mm と規定した。なお,水平力の振動数は原
則 0.5Hz としたが,この試験では,振動数が著しく低くない限り,一般に振動数の影響は小さい。し たがって,試験機の特性に応じて 0.1Hz 程度までは振動数を下げもてよい。また,試験温度を+23℃
と規定しているが,本試験では損傷の有無を確認することとしているため,試験温度の影響を特に受 けるものではない。そのため,+23℃で実施できない場合には,載荷時の温度を記録しておく必要が ある。
7.5.4 繰返し載荷に対する安定性確認試験
試験温度を+23℃とし,無負荷あるいはそれに相当する鉛直荷重作用下で,ゴムバッファに有効 設計変位または±100mm の変位振幅を,振動数 0.5Hz の正弦波により繰返し 11 回以上与え,このと きの等価剛性及び等価減衰定数の変化率を式(7.5.4)及び式(7.5.5)により算出する。なお,ゴムバ ッファに減衰機能を期待しない場合は加振 3 回目を当該供試体の特性値とすることとし本試験は必 要としない。
Bm Bm Bj
KC K
K
R K −
= (7.5.4)
Bm Bm Bj
hC h
h
R h −
= (7.5.5) ここに,
RKC
RhC
KBj
hBj
KBm
hBm
:ゴムバッファの等価剛性の変化率
:ゴムバッファの等価減衰定数の変化率
:11 回の繰返し載荷をした場合の第jサイクル目の等価剛性(kN/m)
:11 回の繰返し載荷をした場合の第jサイクル目の等価減衰定数
:ゴムバッファの平均等価剛性(kN/m)で,式(7.5.6)により算出する。
:ゴムバッファの平均等価減衰定数で,式(7.5.7)により算出する。
∑=
= 11 10 2
1
j Bj
Bm K
K (7.5.6)
∑=
= 11 10 2
1
j Bj
Bm h
h (7.5.7) 繰返し載荷に対する安定性を定めたものである。
免震設計から見ると,免震装置の等価剛性及び等価減衰定数は繰返し載荷によらず,なるべく一定 であることが望ましい。しかしながら,ゴムバッファの種類によっては,繰返し載荷の初期に定常状 態とは異なる特性を与えるものもあるため,ゴムバッファに免震支承を用いる場合及び新しい材料を 用いる場合に安定性の確認を行うものとした。なお,7.5.3 ゴムバッファの正負連続繰返し載荷に対 する基本特性試験における 11 サイクル目までの試験結果から繰返し載荷による安定性の確認を行っ てもよい。また,試験温度を+23℃と規定しているが,本試験では特性の変化率を求めることとして いるため,試験温度の影響を特に受けるものではない。そのため,+23℃で実施できない場合には,
載荷時の温度を記録しておく必要がある。