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第3章  文末表現とポライトネス

3.2.3 軸間の相関関係

3.2.3.2 韓国語の場合

「ノダ」文グループの場合、次の 7 つの有意な相関関係があった。配慮度と距離度、親 近度と距離度は負の相関関係であるが、それ以外のものは正の相関関係である。有意水準 1%、5%の相関関係の認められた関係を相関の強い順に示した。配慮度と改まり度、間接 度と距離度、親近度と改まり度には有意な相関関係が見られなかった。

〈1〉配慮度が高いほど、親近度が高い。

〈2〉親近度が高いほど、距離度が低い。

〈3〉距離度が高いほど、改まり度が高い。

〈4〉配慮度が高いほど、間接度が高い。

〈5〉配慮度が高いほど、距離度が低い。

〈6〉間接度が高いほど、改まり度が高い。

〈7〉間接度が高いほど、親近度が高い。

3グループに共通する相関関係は次のようなものである。

・配慮度が高いほど、間接度が高い。

・配慮度が高いほど、親近度が高い。

・間接度が高いほど、親近度が高い。

・間接度が高いほど、改まり度が高い。

・距離度が高いほど、改まり度が高い。

また、間接度と距離度に相関関係がないことも共通している。

に、友人に対する場面での「行カナイ」文、「行ケナイ」文、「것 같다(geos gata)」文の 5 つの軸の評定値の相関関係を調べた。友人に対する場面における文②は「行カナイ」文、

文①は「行ケナイ」文、文④は「것 같다(geos gata)」になる。文番号はすべて表 1(45 頁を参照)による。

はじめに、教官に対する場面での「行カナイ」文グループの軸間の相関関係を示すと、

次の表35になる。

表35 韓国語の「行カナイ」文グループの軸間の相関関係(教官に対する場面)

1.000 .466** .275** .155* .156*

. .000 .000 .024 .023

212 212 212 212 212

.466** 1.000 .207** .175* .226**

.000 . .002 .011 .001

212 212 212 212 212

.275** .207** 1.000 -.007 .179**

.000 .002 . .924 .009

212 212 212 212 212

.155* .175* -.007 1.000 .309**

.024 .011 .924 . .000

212 212 212 212 212

.156* .226** .179** .309** 1.000

.023 .001 .009 .000 .

212 212 212 212 212

相関係数 有意確率(両側)

N 相関係数 有意確率(両側)

N 相関係数 有意確率(両側)

N 相関係数 有意確率(両側)

N 相関係数 有意確率(両側)

N 配慮度

間接度

親近度

距離度

改まり度 Spearman's rho

配慮度 間接度 親近度 距離度 改まり度

相関係数は1%水準で有意(両側)

**.

相関係数は5%水準で有意(両側)

*.

有意水準 1%、5%の相関関係の認められた関係を相関の強い順に示した。「行カナイ」

文グループには次のような9つの有意な相関関係があった。親近度と距離度の間には相関 関係が認められなかった。

<1> 配慮度が高いほど、間接度が高い。

<2> 距離度が高いほど、改まり度が高い。

<3> 配慮度が高いほど、親近度が高い。

<4> 間接度が高いほど、改まり度が高い。

<5> 間接度が高いほど、親近度が高い。

<6> 親近度が高いほど、改まり度が高い。

<7> 間接度が高いほど、距離度が高い。

<8> 配慮度が高いほど、改まり度が高い。

<9> 配慮度が高いほど、距離度が高い。

次に、教官に対する場面での「行ケナイ」文グループの軸間の相関関係を下の表 36 に示 す。

表36 韓国語の「行ケナイ」文グループの軸間の相関関係(教官に対する場面)

1.000 .394** .360** .102 .289**

. .000 .000 .140 .000

212 212 212 212 212

.394** 1.000 .510** .046 .282**

.000 . .000 .508 .000

212 212 212 212 212

.360** .510** 1.000 -.141* .113

.000 .000 . .041 .101

212 212 212 212 212

.102 .046 -.141* 1.000 .427**

.140 .508 .041 . .000

212 212 212 212 212

.289** .282** .113 .427** 1.000

.000 .000 .101 .000 .

212 212 212 212 212

相関係数 有意確率(両側)

N 相関係数 有意確率(両側)

N 相関係数 有意確率(両側)

N 相関係数 有意確率(両側)

N 相関係数 有意確率(両側)

N 配慮度

間接度

親近度

距離度

改まり度 Spearman's rho

配慮度 間接度 親近度 距離度 改まり度

相関係数は1%水準で有意(両側)

**.

相関係数は5%水準で有意(両側)

*.

教官に対する場面での「行ケナイ」文グループの軸では次の7つの相関関係が有意であ った。親近度と距離度は負の相関関係であるが、それ以外のものは正の相関関係である。

以下、相関の強い順に示した。配慮度と距離度、間接度と距離度、親近度と改まり度には 相関関係がなかった。

〈1〉 間接度が高いほど、親近度が高い。

〈2〉 距離度が高いほど、改まり度が高い。

〈3〉 配慮度が高いほど、間接度が高い。

〈4〉 配慮度が高いほど、親近度が高い。

〈5〉 配慮度が高いほど、改まり度が高い。

〈6〉 間接度が高いほど、改まり度が高い。

〈7〉 親近度が高いほど、距離度は低い。

次に、「것 같다(geos gata)」文グループの軸間の相関関係を示すと、下記の表37になる。

表37 韓国語の「것 같다(geos gata)」文グループの軸間の相関関係(教官に対する場面)

1.000 .396** .168* .351** .559**

. .000 .014 .000 .000

212 212 212 212 212

.396** 1.000 .400** .052 .246**

.000 . .000 .447 .000

212 212 212 212 212

.168* .400** 1.000 -.081 -.060

.014 .000 . .241 .381

212 212 212 212 212

.351** .052 -.081 1.000 .528**

.000 .447 .241 . .000

212 212 212 212 212

.559** .246** -.060 .528** 1.000

.000 .000 .381 .000 .

212 212 212 212 212

相関係数 有意確率(両側)

N 相関係数 有意確率(両側)

N 相関係数 有意確率(両側)

N 相関係数 有意確率(両側)

N 相関係数 有意確率(両側)

N 配慮度

間接度

親近度

距離度

改まり度 Spearman's rho

配慮度 間接度 親近度 距離度 改まり度

相関係数は1%水準で有意(両側)

**.

相関係数は5%水準で有意(両側)

*.

「것 같다(geos gata)」文グループの軸間の相関関係には表37で分かるように、7つの 有意な相関関係が認められた。間接度と距離度、親近度と距離度、親近度と改まり度の間 には相関関係がなかった。

〈1〉配慮度が高いほど、改まり度が高い。

〈2〉距離度が高いほど、改まり度が高い。

〈3〉間接度が高いほど、親近度が高い。

〈4〉配慮度が高いほど、間接度が高い。

〈5〉配慮度が高いほど、距離度が高い。

〈6〉間接度が高いほど、改まり度が高い。

〈7〉配慮度が高いほど、親近度が高い。

以上の3グループに共通する相関関係は次のようなものである。

・ 配慮度が高いほど、改まり度が高い。

・ 距離度が高いほど、改まり度が高い。

・ 間接度が高いほど、親近度が高い。

・ 配慮度が高いほど、間接度が高い。

・ 間接度が高いほど、改まり度が高い。

・ 配慮度が高いほど、親近度が高い。

次に、友人に対する場面における「行カナイ」文グループの軸間の相関関係を表 38 に 示す。

表38 韓国語の「行カナイ」文グループの軸間の相関関係(友人に対する場面)

1.000 .440** .363** .140 .304**

. .000 .000 .153 .002

106 106 106 106 106

.440** 1.000 .336** .225* .351**

.000 . .000 .020 .000

106 106 106 106 106

.363** .336** 1.000 .047 .310**

.000 .000 . .633 .001

106 106 106 106 106

.140 .225* .047 1.000 .285**

.153 .020 .633 . .003

106 106 106 106 106

.304** .351** .310** .285** 1.000

.002 .000 .001 .003 .

106 106 106 106 106

相関係数 有意確率(両側)

N 相関係数 有意確率(両側)

N 相関係数 有意確率(両側)

N 相関係数 有意確率(両側)

N 相関係数 有意確率(両側)

N 配慮度

間接度

親近度

距離度

改まり度 Spearman's rho

配慮度 間接度 親近度 距離度 改まり度

相関係数は1%水準で有意(両側)

**.

相関係数は5%水準で有意(両側)

*.

「行カナイ」文の軸間には以下の8つの相関関係が有意であった。相関関係の強い順に示 す。配慮度と距離度、親近度と距離度の間には相関関係が認められなかった。

<1> 配慮度が高いほど、間接度が高い。

<2> 配慮度が高いほど、親近度が高い。

<3> 間接度が高いほど、改まり度が高い。

<4> 間接度が高いほど、親近度が高い。

<5> 親近度が高いほど、改まり度が高い。

<6> 配慮度が高いほど、改まり度が高い。

<7> 距離度が高いほど、改まり度が高い。

<8> 間接度が高いほど、距離度が高い。

次に、「行ケナイ」文グループの軸間の相関関係を以下の表39に示した。

表39 韓国語の「行ケナイ」文グループの軸間の相関関係(友人に対する場面)

1.000 .574** .537** .139 .256**

. .000 .000 .154 .008

106 106 106 106 106

.574** 1.000 .600** .098 .430**

.000 . .000 .316 .000

106 106 106 106 106

.537** .600** 1.000 -.044 .291**

.000 .000 . .651 .002

106 106 106 106 106

.139 .098 -.044 1.000 .408**

.154 .316 .651 . .000

106 106 106 106 106

.256** .430** .291** .408** 1.000

.008 .000 .002 .000 .

106 106 106 106 106

相関係数 有意確率(両側)

N 相関係数 有意確率(両側)

N 相関係数 有意確率(両側)

N 相関係数 有意確率(両側)

N 相関係数 有意確率(両側)

N 配慮度

間接度

親近度

距離度

改まり度 Spearman's rho

配慮度 間接度 親近度 距離度 改まり度

相関係数は1%水準で有意(両側)

**.

「行ケナイ」文の軸間には以下の7つの相関関係が有意であった。相関関係の強い順に 示した。配慮度と距離度、間接度と距離度、親近度と距離度の間には有意な相関関係はな かった。

<1> 間接度が高いほど、親近度が高い。

<2> 配慮度が高いほど、間接度が高い。

<3> 配慮度が高いほど、親近度が高い。

<4> 間接度が高いほど、改まり度が高い。

<5> 距離度が高いほど、改まり度が高い。

<6> 親近度が高いほど、改まり度が高い。

<7> 配慮度が高いほど、改まり度が高い。

次に、「것 같다(geos gata)」文グループの相関関係を示すと、表40になる。

表40 韓国語の「것 같다(geos gata)」文グループの軸間の相関関係(友人に対する場面)

1.000 .508** .537** .025 .278**

. .000 .000 .798 .004

106 106 106 106 106

.508** 1.000 .518** .163 .476**

.000 . .000 .094 .000

106 106 106 106 106

.537** .518** 1.000 -.011 .225*

.000 .000 . .909 .020

106 106 106 106 106

.025 .163 -.011 1.000 .293**

.798 .094 .909 . .002

106 106 106 106 106

.278** .476** .225* .293** 1.000

.004 .000 .020 .002 .

106 106 106 106 106

相関係数 有意確率(両側)

N 相関係数 有意確率(両側)

N 相関係数 有意確率(両側)

N 相関係数 有意確率(両側)

N 相関係数 有意確率(両側)

N 配慮度

間接度

親近度

距離度

改まり度 Spearman's rho

配慮度 間接度 親近度 距離度 改まり度

相関係数は1%水準で有意(両側)

**.

相関係数は5%水準で有意(両側)

*.

「것 같다(geos gata)」文の軸間には以下の7つの相関関係が有意であった。配慮度と距 離度、間接度と距離度、親近度と距離度の間には有意な相関関係が見られなかった。

<1> 配慮度が高いほど、親近度が高い。

<2> 間接度が高いほど、親近度が高い。

<3> 配慮度が高いほど、間接度が高い。

<4> 間接度が高いほど、改まり度が高い。

<5> 距離度が高いほど、改まり度が高い。

<6> 配慮度が高いほど、改まり度が高い。

<7> 親近度が高いほど、改まり度が高い。

3つのグループの間に共通する相関関係は次のようなものである。

・ 配慮度が高いほど、親近度が高い。

・ 間接度が高いほど、親近度が高い。

・ 配慮度が高いほど、間接度が高い。

・ 間接度が高いほど、改まり度が高い。

・ 距離度が高いほど、改まり度が高い。

・ 配慮度が高いほど、改まり度が高い。

・ 親近度が高いほど、改まり度が高い。

3.2.4 日韓両言語の比較および考察

「3.2.1 日本語の 3タイプの文の比較分析」の分析結果から、日本語の「ノダ」文およ び「行ケナイ」文は距離度に有意差がない場合があるものの、「行カナイ」文より配慮度、

間接度、親近度、改まり度が高いため、全体としてはポライトネスの度合いが高い表現で あると考えられる(図2および表6、図3および表8、図4および表10、図5および表12、

図6および表14、図7および表16、図8および表18、図9および表20を参照)。

次に、「ノダ」文と「行ケナイ」文を比較すると、前者は後者より親近度は高くなってい るが、距離度は低くなっている。「ノダ」文の親近度が高い理由は3.2.1節「日本語の3タ イプの文の比較分析」で述べたように、断わることは聞き手が知らない情報であるが、話 し手は「ノダ」を使用することで聞き手とその情報を共有しているかのように提示し、そ れによって話の中に聞き手を引き込み、親近感を表すことができると考えられる。「ノダ」

文の距離度が低くなっていることについては、3.2.3節「軸間の相関関係」の分析結果を参 考にすると(表31、表 34を参照)、「ノダ」文において親近度が高いほど、距離度が低い という負の相関関係が有意であるので(教官の場面では-.180**、友人の場面では-.354**)、

親近度は高く、距離度は低く評定されたと考えられる。「行ケナイ」文の距離度および改ま り度が高く評定されたことについては、次のように考えることができる。依頼されたこと などが実行不可能であることを示すことは、自分の意志とは関係ない原因により実現でき ないことを表し、断わるという行為から自分の意志を排除することになる。これによって 断わる行為と自分との間に距離が置かれ、距離度が高く評定されたと考えられる。「行ケナ イ」文の改まり度も高くなっていることについては、「3.2.3 軸間の相関関係」の分析結果 を見ると(表30、表33を参照)、教官に対する場面での距離度と改まり度の正の相関関係 が有意であるために、改まり度の評定も高くなったと考えられる。一方、友人に対する場 面での「行ケナイ」文の距離度と改まり度の正の相関関係は相対的に弱くなっている(教官 の場面での相関係数は.407**、友人の場面では.167**)。これは友人に対する場面での「行 ケナイ」文と「ノダ」文の改まり度の有意差がないことに関連があると考えられる。

上記の結果を3.2.3節「軸間の相関関係」の結果とつき合わせて考えると(表30、表31、