第2章 中山間地域の変容と現状
第4節 村の集落自治組織の高齢化
第1項 集落自治組織の構造
集落の自治組織は、徒歩の往来可能な範囲内となる地形的な要因により組織されて いる場合が多い。
集落自治組織は、「集落」の下位に「組」が在り、その下位に「班」がある。「組」
は30戸前後から組織される。「組」組織は徒歩圏での往来が可能な距離である。つま り、「組」が違えば徒歩での往来は厳しく、特に高齢者にとっては困難な距離となる。
「班」は5戸から8戸で組織されている(図2-12-a)。
図2-12-a 村の自治組織
資料:筆者作成
集落の人口減少・高齢化による集落機能の低下が起こっている背景には、末端組織 の「班」の戸数が揃わないことがある。「班」が揃わなければ、「組」が集落機能を 担えなくなる(図2-14-b)。
28
図2-12-b 「班」組織における戸数の減少 資料:筆者作成
第2項 集落自治組織の人材不足 1)高齢化
集落自治組織を運営する人材が不足している。運営には一定の農業従事者数が必 要なだけでなく、年齢構成も大切な要件となる。しかし、現在はどの集落でも家(戸)
の構成員は高齢化している。「表2-5」に2012年の男女別の世帯主平均年齢と人員 数を示す。特徴は2点である。1つは、世帯主年齢の高齢化である。「F」集落以外 は世帯主平均年齢は60歳を超えている。最高は「D」集落の73.15歳、次いで「H」 集落の72.5歳である。もう1つの特徴は、女性世帯主の増加である。「図2-15」「図 2-13」は集落の交流会の様子であるが、写っているのは女性と高齢者ばかりである。
表2-5 集落男女別年世帯主平均年齢と人員数(2012年)
資料 「伊那市資料」を基に筆者作成
29
図2-13 集落の交流会2009.6月撮影 図2-14 集落の交流会2009.7月撮影
2)女性世帯主の割合
集落により女性世帯主数の違いはあるものの、概ね世帯主の約三分の一は女性の世 帯主となっている(図2-17)。農山村集落では高齢者夫婦の二人世帯が多くなってい るため、加齢にともなう配偶者喪失により、高齢者女性の一人世帯が増加する(図 2-15)。近年の離婚者や未婚者の増加によっても女性世帯主は増加している。また、
こうした女性のライフスタイルの変化は、集落自治組織になじまない点もある。いず れにせよ、組織運営の担い手となる人材の輩出という点では厳しい環境である。
図2-15 各集落の女性世帯主の割合 資料:伊那市資料より筆者作成
第3項 組織連携の必要性と連携の妨げとなる地形的な要因 1)「組」の連携
自治組織の末端である家(戸)の消滅・減少により、「班」の再編が行われている。
そして、さらなる人口の減少と高齢化が進んだ現状では、「班」組織の上位にある「組」
の連携が必要となっている。
30
しかし、「組」同士は距離も遠く、徒歩による往来が困難な地形的要因がある。事 例として、「C」集落をみていくことにする。「C」集落は6つの「組」から形成さ れており、世帯数88戸、人口235人である。また、「組」ごとの世帯主の性別と年代 別年齢構成が「表2-6」である。どの「組」も高齢化は同じで、女性の世帯主が多く なっていることがわかる。これでは、連携したとしても集落機能の低下を補完するこ とは難しいと思われる。
表2-6 「C」集落の「組」自治区の世帯主年代
注:「集落計」の女性数は内数
資料 伊那市資料(2012年度)より筆者作成
さらに、地形的に離れていて高齢者が徒歩で往来するのは無理である(図2-16)。
図2-16 「C」集落の「組」の位置
資料:国土地理院「電子国土Web」筆者加筆
31
このように、「組」組織同士の交流が深まる環境ではない。