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地域振興施設と住民のネットワーク

第7章 「道の駅」に併設する「生活の駅」の可能性

第2節 地域振興施設と住民のネットワーク

地域振興施設としての「道の駅」に関係しているのは、地元および周辺域の住民で、さ まざまな職種や趣味の仲間などの自主的組織に属する人々である。6章で確認されたのは、

①生産者農家、②商品納入業者、③「道の駅」の雇用者と出店者、④地元周辺域住民、⑤ 地元自治体、⑥地元の自治組織、⑦福祉関連施設、⑧農作物直売所・加工所、⑨製造業・

卸し業者等である(図7-1)。これらの人々と「道の駅」との関係性についてみていく。

図7-1 中山間地域の地域振興施設としての「道の駅」(「生活の駅」)のネットワーク

資料:筆者作成

第1項 人々と「道の駅」との関係性 1)生産者農家

農業従事者の高齢化と鳥獣被害の増加により、農作物生産を止めてしまう農家が増加し ているが、地元の高齢者は野菜作りを生きがいとしている人も多い。特に高齢者は、生き がいと答えている者が多かった。こうした高齢者は、「道の駅」に野菜を出荷して現金収入 を得ることだけでなく、出荷時に、生産者同士、また消費者である住民と交流する機会を 楽しみにしているのである。この場合、「道の駅」は住民の交流拠点として機能している。

2)農作物直売所・加工所

農作物直売所・加工所では、地元の女性と女性農業者が多く雇用されていて、販売だけ でなく、農作物を活用した商品の開発・事業に関わっている。また、有機野菜、エコファ ーム事業へ参加したり、“6次産業”化を目指して活躍している女性農業者も多い。この場 合、雇用の場であるばかりでなく、イノベーションの創発拠点としても機能する可能性が

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ある。女性だけの直販加工場は成功している事例が少なくない。

3)飲食施設

地元の食材や伝統食の提供が観光客の人気で、「道の駅」の“売り”になっていること がある。女性たちにとって雇用の場であるとともに、食文化を伝える役割を果たす社会参 加の場でもある。

レストランや食堂がない地域では、「道の駅」の飲食施設は住民の交流の場である。

4)自主的な組織(婦人会、サークル団体、趣味の会)

サークルや団体等による、伝統工芸品や、趣味の作品が展示される。それらは商品とし て販売されることもある。出品者にとっては、生きがいを提供する場となっている。

5)福祉施設の制作品

地元の福祉施設などで制作された作品が陳列・販売されている。福祉施設で制作に励む 人たちの労働を保証することでもあり、生きがいを提供する貴重な場である。

6)地元の伝統工芸品・特産物

地元の特産物や伝統工芸品が陳列・販売されている。地元の住民も、特産物や作家の作 品に触れることで“地元愛”や誇らしさを感じることができる。外部からの客には地元の PRになる。「道の駅」はそのような情報発信基地にもなれる。

7)商品製造、卸し業者

「道の駅」といえども、売れる商品の品揃えをしなくてはならない。外部の業者とのネ ットワーク構築は重要な課題である。

8)地元の利用客

概して地元の利用客は多い。

拠点機能は「道の駅」の特徴に応じてさまざまな可能性がある。例えば、隣接する入浴 施設が高齢者の「溜り場」として有用であるというように。ただし、住民の交流ができて 楽しめる場所であることは、基本的な機能として不可欠であろう。

第2項 広域化している商品納入業者とのネットワーク

「道の駅」が扱っている商品は、地元や周辺域の住民が持ち込む物ばかりではない。商 品調達のネットワークは外部に広がっている。最近では、このネットワークはますます広 域化している。筆者が行ったアンケート調査では、商品調達の範囲の広がりは、7割強の

「道の駅」が地元以外の近隣市町村までであったが、3 割強が県内の中核都市に、2 割が 他県に及んでいた。このように広域化が進んでいる理由は、地元の生産・販売会社の低迷 ということもあるが、客のニーズに応えるためでもある。中山間地域においても生活様式 や食文化が今や都会と変わらず、全国的な大手メーカーの商品の品揃えが当たり前になり つつある。

しかし、何よりも大きな背景となっているのは、物流と情報の流れの変化である。県の

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中核都市にある問屋や卸業者は、物流や情報が全国から集まる拠点となっている。県内の 情報もそこを経由して他県に広がる。全国からの注文や問い合わせもそこに入るという流 れができているという。このように情報と物流は、複雑に絡み合い、全国へと広がりを見 せている(図7-2)。

図7-2 ネットワークの広域化

資料:筆者作成

第3項 地域振興施設の販売商品の変化と利用客のニーズ

中山間地域の「道の駅」では、品揃えの商品に変化が見受けられた。売れ筋商品が変化 したためである。アンケート調査では、売れ筋商品の上位3位は、「土産品(菓子類)」63.9%、

「農水畜産物」59.6%、「ソフトクリーム・アイス類」53.1%であった。ただし、菓子類は、

昔のような近隣や同僚に配る付き合いのための旅行みやげではなくなっている。ライフス タイルが変化したのである。外部からの立ち寄り客は、自分のため、あるいは家族と一緒 に食べるために買うのである。だから、近頃は大箱は売れず小箱やばら売りの菓子のほう が売れている(駅長の証言)。

売れ筋商品と集客数の関係をみると、集客数が多い「道の駅」ほど「農水畜産物」(p<0.01)、

「パン類」(p<0.01)、「ファスト・フード類」(p<0.01)、「ソフトクリーム・アイス類」(p<0.05)

が売れている。

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第4項 住民の地域振興施設における食材の購入

「道の駅」の販売商品は、売上の動向や地元住民の要望によって変化している。「農水畜 産物」は安定した人気商品である。外部からの立寄り客(観光客)も地元・周辺域住民も 購入している。

第6章の決定木分析と重回帰分析から、「農水畜産物」は収益と集客数に関係していた(p

<0.01)。また、「周辺住民への食材の提供」も集客数と関係していた(p<0.01)。