第 6 章 中山間地域の「道の駅」
第2節 「道の駅」の概要
第1項 概要
「道の駅」は道路利用者の休憩所と地元の地域振興を兼ねた拠点として広く知られてい る。その役割と機能は、「休憩機能、情報発信機能、地域の連携機能」である(国土交通省)。
「道の駅」は国土交通省が管轄し、登録許可する。設置主体は、多くは地元の各自治体 である。
102 1)登録の条件と形態
「道の駅」の登録には一定の条件を満たす必要がある。国土交通省の登録・案内要綱に は、設置位置、施設構成、提供サービス、設置者などの詳細が決められている。規定の看 板を掲げること、整備された駐車スペースとトイレを設置すること、情報サービスの提供 を行うことなどが要件となっている。設置する自治体は要件を満たして「道の駅」の認可 を受ける。
2)「道の駅」の設置施設
一般的に多い「道の駅」の形態は、基本エリア(A)と地域振興施設(B)から形成され ている(図6-1)。基本エリア(A)は、①指定の看板、②駐車スペース、③トイレ、④道 路や地域の情報提供、この 4件を満たす必要がある。基本エリア(A)が満たされていれ ば「道の駅」の認可を受けることができる。
地域振興施設(B エリア)は、基本エリア(A)を備えた上で、それに併設・隣接する ことができる。地域振興施設(Bエリア)にも、一定の基準が設定されている。本章で取 り扱うのは地域振興施設(Bエリア)である。
本章では、この地域振興施設(Bエリア)場を、便宜上、筆者が「生活の駅」と名付け ている拠点機能を有すべきものして論じることにする。
図6-1 「道の駅」の施設
資料:国土交通省『「道の駅」の施設イメージ』より筆者加筆
第2項 「道の駅」の増加
「道の駅」は、平成5年のスタート時は114箇所であった。その後、一気に増加し、平成 12年には600駅を超えた。それ以後も、当初の増加数よりは緩やかながら増加し、現在の「道 の駅」の数は1,004駅(2013年4月末)である(図6-2)。
「道の駅」が増加した背景には各種の補助金が活用できたことにある。中でも農林水産 省の補助金が多く活用されている1。
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注:平成24年度は3月26日現在の数
図6-2 道の駅の推移
資料:国土交通省のデータより作成
第3項 都道府県別「道の駅」の数
国土交通省の「道の駅」のWebサイト(2013.4月末)から、都道府県別の「道の駅」
数をまとめた(図6-3)。
北海道が最も多く114駅である。次いで、岐阜県53駅、長野県41駅、新潟県36駅の 順である。「道の駅」は、東京都と神奈川県が最も少ない。都道府県によって設置数は違っ ているが、複数「道の駅」を設置している自治体は少ない。ただし、平成の合併以降は複 数の「道の駅」を持つ自治体が増加した。岐阜県では高山市に8か所、郡上市に7か所あ る。千葉県房総市に8か所ある。
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図6-3 都道府県の「道の駅」の数(2013.5.31現在)
資料:国土交通省「道の駅」Webサイトの所在地より筆者作成
第4項 「道の駅」と女性の社会参画
「道の駅」は、平成5年に登録が開始されてから20年間、増加の一途を辿ってきた。増加 して背景の1つには、農村女性の社会参加の推進があると考えられる。
1975年の国際婦人年と国連の女性の差別撤廃に関する条例は、我が国の農村女性の役割 が変化していくきっかけになった[大友:2008]。「男女雇用機会均等法」(1985)の制定も 農山漁村の女性の地位向上に影響を与え、農村にも女性起業家が出て地域農業の活性化に 繋がった[三原:2005]。こうした動きの中で、農村女性が活躍できる農作物直売所や加工所 が増加していく。自治体も、女それと連動させて女性の活躍の場を設置する。直売所は農 村女性の社会参加には格好の活躍の場であったといえる。中でも農業協同組合における女 性の事業開始は早く、「道の駅」がスタートする平成5年以前に、既に6割2の農協で直売所が 開設されている。「道の駅」は、このような農村女性の社会参加が活発化している時期にが スタートしたのである(図6-4)。
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図6-4 農村女性の社会参加の流れ 資料:筆者作成
地域振興施設でもある「道の駅」は、農水畜産物直売所や加工所と融合することで女性 の活躍の場を広げた。「道の駅」の飲食店でも女性は活躍することになる。地元の食材を使 って、地域の食文化を伝える活動も始められた。それを「道の駅」への来客は受け入れ、
地元の食文化と好評なメニューは、「道の駅」の売りとなった。
日常の食と長年関わって来た農山村女性ににとって、家庭料理の延長上の食が商品化で きることを知ったことは、画期的なことであった。