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「小さな拠点」政策に見る拠点機能

第7章 「道の駅」に併設する「生活の駅」の可能性

第4節 「小さな拠点」政策に見る拠点機能

137 1)現況の「道の駅」で関わっている人々

現況の「道の駅」では、①生産者農家、②商品納入業者、③「道の駅」の雇用者と出店 者、④「道の駅」の商品を購入する地元住民の利用者、⑤地元自治体、⑥地元の自治体、

⑦福祉関連施設、⑧観光案内所、⑨農作物直売所・加工所等、さまざまな人が関わってい る。

2)有償ボランティア

有償ボランティアに関しては、旧長谷村の健康増進センターで実施されている介助の補 助を行う有償ボランティア制度が参考になる。そこには高齢者同士の交流が生まれ、介護 される側もする側も双方が生きがいを感じる、健康増進につながる有用な制度となってい る。この制度を提案したのは地元診療所の医師である。

精神的サポートを担うスタッフの要件を満たしている有償ボランティアは「生活の駅」

でもが有用に機能すると考える。

以上が、現況から抽出されたスタッフとなるべき人材であるが、筆者は、これに第三の 人材を加えてみたい。地元にこだわることなく、農山村の暮らしに興味を持つ大学生、社 会人、社会貢献に積極的な企業などに多様な人材を求めるのである。

島根県海士町は、島根半島から北へ60キロの隠岐諸島にある、人口2,377人、1,052世 帯(平成 22 年国勢調査)の小さな町である。生活環境が整っているわけではない。とこ ろが、この町はI ターンにより有能な若年層が増加している。海士町の 23 年度のデータ では、218世帯、330人にのぼる。Iターン者を増加させたのには、いくつかの仕組みが背 景にある。島へ観光として来てもらうのが第1段階である。第2段階は、農水産業体験や サマースクール参加させる。第3段階は、より深く地域の産業を体験できるインターン制 度に進ませる、最終段階は、地元に一定期間定住させ地元の産業に触れさせる。段階ごと に人員は絞られていくため、最終的には地元の産業に興味を持つ、地元に適合した優秀な 人材が残るという仕組みである。

「生活の駅」は、集落での生活支援を主眼とするため、現時点で海士町ほどの仕組みに まで論を広げるつもりはない。しかし、「生活の駅」は多様な人材が往来する拠点となり、

情報が交差する拠点として、さらなる可能性へ向けた展望は持つべきである。そう考えた とき、第三の人材をスタッフとして迎えることには大きな意味があると考える。。

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多数の集落の生活を、小学校区などを単位として1か所を拠点化することで、生活を継 続させようというものである。その政策が描くで構想は、「道の駅」、生活サービス、医療・

福祉施設、教育機関、地域活動等が歩いて往来できる範囲でつながれ、その拠点となる場 所と各集落との交通手段が整えられている(図7-3)。

図7-3 「小さな拠点」政策

資料:国土交通省

第2項 「小さな拠点」政策の課題

中山間地域における食材・日常生活必需品販売店の閉鎖は、買い物弱者にとっては大問 題であるが、車を使える住民は、小規模商店が近隣の地域にあったとしても、品揃えと生 鮮食品の鮮度を理由に、遠くても大きなスーパーやショッピングセンターを利用する傾向 にある。このようななかで、「小さな拠点」で集約化によって利便性を高めたはずの施設も、

期待した利用率(稼働率)に達していないというケースも見られる。

筆者が行った調査は限られた地域ではあったが、いずれにおいても稼働率の高さを維持 している施設は、医療・福祉施設だけであった。稼働率が高いに地域は人が集まりやすい さまざまな好条件が備わっていた。

概して過疎地域では施設に対する住民の評判は良い。しかし、ランニングコストが重荷

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となっている。また、既存の施設は、現在の人口規模とは整合性のない大きな建物が多く 見受けられる。

平成の大合併によって多数の町と村が統合され、自治体は広域化した。「小さな拠点」政 策がうまく機能すれば、新たなコミュニティが育つであろう。しかし、広域化した自治体 の多くは、中心となる人口集積地域からは遠く離れた中山間集落を抱えている。「小さな拠 点」をどこにどのように配置することが適当か、利用率、稼働率の予測評価をもとに検討 する必要がある。

第3項 「生活の駅」に必要とされる視点

集落での生活が継続できない地域では、「小さな拠点」政策よりもさらに小規模化した拠 点が必要性であるがあると考える。さらに縮小している集落規模の問題と施設の利用率と 経費の問題を総合的に考えるとそうなる。上述の利用率の高い医療・福祉施設、そして教 育施設は本論とは別の意味合いがあるために除外し、それ以外の施設について検証してみ る。

コミュニティ施設、集会所、ガソリンスタンド、生活サービス施設等はいずれも有用な 施設であるのに利用率が低い理由は、地域住民の人口と年齢層に関係している。

1)地元商店の利用率

長野県中川村(人口6,000人)が行った調査では、地元で買い物をするのは高齢者であ り、壮年層は近隣の中核都市へと足を伸ばしていた。また、高齢者でも地元商店を利用す る者は70代と80代が6割、60代50%、50代が40%であった(図7-4)。

図7-4 食料品・日用雑貨を地元の商店で購入する割合

資料 中川村「住民意識調査」(2009)より作成

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ガソリンスタンドにも同じで、買い物のついでなどに町のガソリンスタンドに立ち寄る ケースが多く、集落にあるガソリンスタンドの利用率は低い。

2)コミュニティ施設、集会所

さらに、コミュニティ施設、集会所の利用が少なくなっているのも、外部での買い物を していて昼間地元にいない割合が高いことが影響している。昼間も集落で過ごす高齢者だ けでは利用率が低いのは当たり前である。他に利用しているのは、趣味やサークルなどの 限定されたグループに留まっている。