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村の農林業の推移

第2章 中山間地域の変容と現状

第5節 村の農林業の推移

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このように、「組」組織同士の交流が深まる環境ではない。

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② 自家労力は男性0.5人、女性0.8人が必要であった。

③ 農業労働を補うものとして小型耕耘機、田植え機が使用された。

④ 昭和30年以降の課題は、農山村から働く若者がいなくなったことであ る。当時の農業は“三ちゃん(高齢者の親夫婦と世帯主の妻の3名)農 業”と称された。

(3) 昭和50年以降

① 兼業農家

② 農業労働者は男性1人で水稲が賄えるようになる。

③ 大型トラクター、コンバインが導入される。

④ 課題は、農業の担い手不足と高齢化である。

表2-8 長谷村の農業労力・機械化の推移と課題の推移

資料 長谷村誌「稲作技術の変化(上伊那地方)」より筆者加筆

自家労力は激減したが、機械化により、男性1人での農業が可能になった。この ことは、耕作地が狭い山間地域の集落では専業の農業従事者を減少させ、兼業もし くは休日の片手間に農業を行う者を増加させることになった。

第3項 集落営農の取組

旧長谷村では、農業の担い手不足を解消する方法として、水田は集落営農に よって賄われている。しかし、集落営農が組織されたのは6集落で、2集落で は実施されていない。2000年に施行された中山間地域直接支払制度を活用して 圃場の基盤整備が行われたのであるが、基盤整備が行われたのは6つの集落に とどまり、残りの2集落では耕作面積が狭いことや高齢化を理由として基盤整 備が行われなかったからである。

第4項 耕作放棄地と個人所有の山林の現状 1)耕作地

旧長谷村で水田の耕作放棄地は少ないのは、集落営農組織が機能しているからで ある。減反政策により別の用途に転換した水田もある。主に蕎麦への転換が行われ ている(図2-17)。

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図2-17 減反政策による水田の活用(溝口)2011撮影

畑は、集落営農が行われていない。山間集落では耕作地面積が狭いため基盤整備 が行われなかったことによる。そのため、集落によっては畑の耕作放棄地が増えて いる。耕作地が放棄される要因は3つである。1つは、畑が住いより高地もしくは 低地に位置していること、2つ目は、畑までの距離が遠いこと、3つ目は、近年の 鳥獣被害の増加である。近年、鳥獣被害によるケースが多くなっている。各集落の 耕作放棄地率は「表2-9」のとおりである。

次に、どれだけの耕作地が使用されているのかを調査した。筆者が行ったアンケ ート調査(2010年)では、「全ての農地」を活用している農家は、3分の1であっ た。また、使用率が半分にも満たない「自家消費する程度」が3分の1であった(図 2-18)。

表2-9 長谷村の集落営農の取組と耕作放棄地面積

資料 伊那市資料から筆者作成

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図2-18 耕作地の利用状況(n=63) 資料;筆者作成

2)山林の手入れ

旧長谷村の山林の7割は国有林である(表2-10)。国有林は国の管轄下で一定の 手入れが行われているが、問題は私有林と集落で持つ共有林である。村全体の森林 面積が広いことから、合わせて2割といえどもかなりの面積となる。

山林の手入れを行っている農家はどれくらいか、生産者農家組合員へのアンケー ト調査(34名)およびヒアリング調査(7名)を行った。アンケート調査では8割 以上が「行っていない」と回答している(図2-19)。ヒアリング調査からは、山林 の手入れが行われている場合は、次の2つのパターンがあることがわかった。1つ は、定年退職後に時間ができたことにより山林の手入れを行うようになったケース で、もう1つは、ボランティ団体やNPOの団体により手入れが行われているケー スであった。

表2-10 長谷村の山林面積と所有者

資料:伊那市資料より筆者作成

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図2-19 山林の手入れ状況(n=34) 資料;筆者作成

第5項 他出子による山林や耕作地の現況把握と帰郷の意向 旧長谷村の個人所有の山林の荒廃が始まって久しい。山林の手入れが行われなく なった時期は、農業従事者数の減少と並行している。農業従事者は1970年から1980 年の10年間に激減する。この間に山林の手入れも行われなくなっていった。

農家は農業と並行して所有する山林の手入れを行ってきた。ところが、農業の機 械化が進むと、自家労力は男性1人で賄えるようになり兼業も可能になった。兼業 農家には、もはや山林の手入れにまで労力を割く余裕はない。つまり、農業の機械 化は農業を省力化したが、それは兼業を促すことに繋がり、農家が山林の手入れに 費やしていた労力と時間的余裕を奪ってしまったのである。

こうした状況を、実家を去った他出子はどれくらい把握しているのであろうか。

筆者は、他出子による実家の耕作地や山林についての把握状況をアンケート調査4し た。対象は、旧長谷村から首都圏に就職又は進学後そのまま首都圏に残った他出子 である。アンケート設問「あなたの実家の所有する山林は、現在どのようになって いますか」の回答が「図 2-20」である。約3割が「放置されている」で最も多く、

「兄弟や親せきが手入れしている」が23%、「一部のみ手入れ、その他は放置」8%

であった。「分からない」「無回答」も少なくなく、合わせる3割を超えていた。

図2-20 他出子(首都圏)の実家所有の森林の把握状況(n=65) 資料:筆者作成

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同様に、耕作地(畑)の把握状況についても尋ねたところ、山林よりはよく把握 されていた(図 2-21)。この結果からも、畑は自家消費する程度の利用で、休耕地 となっている割合が高いことが推察できる。

図2-21 他出子(首都圏)の実家所有の耕作地の把握状況(n=65) 資料:筆者作成

さらに、他出子の帰省の回数を尋ねたところ、回答者の平均年齢が67歳という高齢 であったせいもあろうが、実家には「誰も残っていない」と回答した者が43%であっ た。帰省の頻度は、大半が1年に2回前後であり、1割は「帰省しない」と回答して いる。