全体では前年比 0. 8%の増収となる見込み。
19. 陸運
【要約】
2013
年度は、「生産関連貨物」、「消費関連貨物」が横這いのなか、「建設関連貨物」で 輸送量が減少、全体では微減となろう。2014〜2015
年度も横這い程度が精々とみられ る。そのため需給は改善せず、運賃は2013
年度以降も弱含む見通し。
こうしたなか、燃料価格の上昇もあり、単純輸送主体の中小企業では業績低迷が続く 一方、高付加価値サービスに注力する大手は増益基調を維持しよう。(単位:百万トン、百万個、%)
(注)1.( )内は前年比伸び率。
2.2010年10月に調査方法の変更あり。
3.2010年度の数値は2011年3月の東北、北海道運輸局の数値を含まない。
(資料)国土交通省「自動車輸送統計年報」、日本郵政資料などをもとに三菱東京UFJ銀行企業調査部作成
2007=100 とした水準
2007=100 とした水準
営業用自動車輸送量 3,227 3,120 3,111 3,121 (▲4.4) (0.3) (▲0.3) (0.3)
生産関連貨物 1,039 1,017
(機械、金属など) - (▲2.1)
消費関連貨物 1,208 1,219
(食品、日用品など) - (0.9)
建設関連貨物 864 885
(砂利、窯業品など) - (2.5)
宅配便取扱個数 3,115 3,198 3,365 3,469 (▲4.0) (2.7) (5.2) (3.1)
-+2%弱 105程度 +2%弱 110程度
▲1〜2%程度 - ▲3〜4%程度
-±0%程度 - +0〜1%程度 -90弱
±0%程度 - +0〜1%程度 -2014〜2015
(予想)
▲1〜0%程度 90弱 ▲1〜0%程度 2010 2011
(見込)
2012
(見込)
2013
(年度) 2009 (予想)
図表
2:全日本トラック協会の運賃水準調査
2. 企業業績
◇
2012
年度は中小企業の業績がわずかに持ち直す一方で大手は減益を見込む¾
当業界の大半を占める中小運送業者の2012
年度の業績は、輸送量がほぼ横這いとな るなか、運賃以上に燃料価格が下落する影響が大きく、わずかに持ち直そう。¾
上場大手5
社の2012
年の売上高は、増加が見込まれる「建設関連貨物」の取り扱い が少なく、「生産関連貨物」、「消費関連貨物」や国際航空貨物の荷動きが冴えないな かでも、物流関連業務を一括して請け負う「3PL(注)」事業や「宅配便」事業などで 堅実に売上を確保し、前年比ほぼ横這いを見込む(図表3)
。ただし損益面では、国 際航空貨物事業の採算悪化に伴い、前年比▲2.8%の減益となろう。◇
2013
〜2015
年度は中小企業が苦戦する一方で大手の業績が堅調に推移¾
中小運送業者の2013
年度の業績は、「建設関連貨物」を中心に輸送量が微減に転じ、運賃の回復が見込み難いうえ、燃料価格も上昇するため苦戦が予想される。同様に、
2014〜2015
年度も厳しい業績が続こう。¾
これに対し、大手5
社の2013〜2015
年度の業績は、輸送量が堅調に推移するうえ、前述の高付加価値サービスにより中堅企業からシェアを奪取、国際物流事業の強化 も寄与し、増収基調を辿るとみられる。収益面では、売上拡大を背景とした増益が 続き、営業利益率
3.5%強を確保しよう。
(注)サードパーティーロジスティクス(3rd Party Logistics)。メーカーや卸、小売といった商取 引の当事者でない第3者が、配送、保管など個別業務でなく物流業務全般を1社で一括し て受注、効率化・コスト削減につながる最適な物流体制を提案する。
図表
3:陸運上場大手 5
社の業績▲ 70
▲ 60
▲ 50
▲ 40
▲ 30
▲ 20
▲ 10 0 10
01/1Q 02/1Q 03/1Q 04/1Q 05/1Q 06/1Q 07/1Q 08/1Q 09/1Q 10/1Q 11/1Q 12/1Q
(単位:億円、%)
(注)1.対象企業は、日本通運、ヤマトHD、セイノーHD、日立物流、福山通運。
2.( )内は前年比伸び率。
(注)1. 全日本トラック協会によるトラック事業者へのアンケート結果。前期と比べた現在の運賃水準に関して、大幅 好転:+2、好転:+1、不変:0、悪化:▲1、大幅悪化:▲2とし、平均値を100倍して算出。
2. 2012年度第3四半期(2012年10〜12月)は、同第2四半期(2012年7〜9月)時点の見通し。
(資料)全日本トラック協会資料をもとに三菱東京UFJ銀行企業調査部作成
(年度/四半期)
一般トラック 特別積合せトラック
2007=100 とした水準
2007=100 とした水準
売上高 38,259 39,757 41,955 42,121
(▲6.9) (3.9) (5.5) (0.4)
営業利益 1,308 1,373 1,547 1,504
(13.8) (5.0) (12.7) (▲2.8)
営業利益率 3.4 3.5 3.7 3.6 3.5%程度 − 3.5%強 − 105弱 110程度 2012
(見込)
2013
(予想)
+1%程度 +3%強 100程度
105弱
2014〜2015
(予想)
+0〜1%程度 +1%程度
(年度) 2009 2010 2011
3. 成長分野の開拓に向けた動き
(1)海外展開
◇ 早期の取引基盤構築とコスト競争力の強化が重要
¾
わが国の貨物量が減少傾向を辿る環境下、日本通運が50%、日立物流は 36%まで
国際事業の売上高比率を高める目標を掲げるなど、物流企業各社は国際事業を強 化している状況。こうしたなか、特に、経済成長が見込まれるアジアでの拠点整 備を進めている(図表4)
。地域別にみると、中国において拠点拡充の投資を継続 しているほか、今後、わが国企業の本格進出が予想されるインド、ベトナム、ミ ャンマーなど「チャイナ・プラス・ワン」の候補とされる国への進出も目立つ。¾
従来、わが国物流企業は、海外生産拠点との部品・材料の輸出入や保管など、わ が国メーカーのサプライチェーンを支える調達物流を主力としてきたが、近年は、これらの地域において経済成長と共に内需拡大が期待されているため、荷主から は国内物流への対応を強く求められている模様。
¾
わが国物流企業は、国内輸送中心の現地物流企業に比して、物流品質の優位性が あるものの、コスト競争力では苦戦を強いられるほか、十分な拠点を有していな いケースも多いとみられる。成長分野の需要を獲得するためにも、今後は現地物 流企業との提携や出資・買収を通じて、現地化によるコスト競争力強化やネット ワークの早期拡充を図る動きが本格化する見通し。(2)新規事業
◇ 異業種提携を通じ、輸送の周辺分野へ進出する動きが活発化
¾
国内については、輸送事業だけでの売上・収益拡大が困難となっているほか、わ が国物流企業のネットワークやサービス内容などが一定水準に達し、品質面での 差異化が図り難いという環境にある。¾
こうしたなか、わが国物流企業には、家電メーカーから修理事業を受託し、回収・配送から修理まで自社で行う企業があるほか、商品の企画・販売などの付加サー ビスを提供する企業もあり、周辺分野への事業領域拡大を通じて取扱貨物の増加、
売上の極大化を図る企業がみられるようになっている。
¾
今後も物流企業を取り巻く環境の好転は見込み難いため、周辺分野へ事業領域拡 大の可能性を探る動きは活発化するとみられる。なかでも、最終消費者との接点 増強を図る小売業や個人向けサービス業に関連する分野で提携が増加する見通し。図表
4:成長分野の開拓に向けた取り組み
(資料)各種資料をもとに三菱東京UFJ銀行企業調査部作成
(2012.12.20 木村 真也)
分野 企業名 概要
日本通運 2012年7月、ミャンマーに連絡事務所を設置。現地法人化を見据え、日系企業の関
心が高まる同国の市場調査などを行う
日立物流 2011年12月、子会社の日新運輸、現地企業と3社合弁でベトナムに現地法人設立。
アパレル事業の拡大と3PL事業の新規受注を目指す
SGホールディングス 2012年7月、インドの現地フォワーダーに出資。自社ノウハウと出資先の拠点網を活
用し、現地物流の取込と国際ネットワーク拡大を図る
ヤマトホールディングス 家電メーカーから修理事業を請け負い、回収・配送など輸送だけでなく修理まで自 社の設備、社員で対応するサービスを展開
センコー 配送だけでなく、商品の企画・販売までの一貫したサービス提供を図り、包装資材の 製造販売、生活雑貨の輸入卸を展開する企業を買収
海外
新規
(*)用語説明は、109頁をご参照下さい。
1. 業界環境
◇ 2014年以降、新造船竣工が峠を迎えると共に業界環境は改善に向かう
¾ 2012
年の海運業界は、輸送量の伸びを上回る新造船の大量竣工が続き、運賃は弱 含みで推移(図表1)
。9
定期船(*)の海上輸送量は、東アジア域内では新興国の経済成長を受け、前年比5.6%増と予想される一方、北米向けでは低水準ながら住宅需要が回復を続けた
ものの、年終盤にはハリケーンなどによる貨物停滞もあり、前年比0.5%の増加
にとどまるほか、欧州向けでは欧州債務問題による景気低迷を受け、前年比▲4.5%の減少に転じると見込まれるなど、航路毎に様相が異なる。
9
不定期船(*)の輸送量は、バルカー(*)で主要貨物の中国向け鉄鋼石が粗鋼生産 の成長鈍化に伴い伸び悩み、前年比2.5%増にとどまる一方、タンカー
(*)では 底堅い原油需要を背景に前年比1.2%へと回復する見通し。
図表