ポイント減の 28. 5%と若干の減少を余儀なくされよう。
3. 成長分野(市場)の開拓に向けた動き
(1)海外展開
◇ 新興国市場での出遅れを取り戻すべく低価格小型車の開発に注力
¾
新興国市場への需要シフトが鮮明となるなか、わが国自動車メーカーはエントリー 層向けの「低価格小型車の開発・販売」を強化している(図表5)
。¾
これまでわが国メーカーは、北米をはじめとした先進国市場に注力してきた結果、ここ数年で急速に需要が拡大してきた中国やインドなどの新興国市場に出遅れ、ド イツのフォルクスワーゲンや韓国の現代などにシェアで引き離されている(次頁図 表
6)
。¾
これを取り戻すべく、トヨタが「エティオス」、ホンダが「ブリオ」といった、新興 国専用の低価格小型車を投入することで、ボリュームゾーンとなるエントリー層の 需要獲得を目指す動きが活発化している。¾
これらの車両投入にあたっては、設計の工夫や部品調達の現地化によって、販売地 域のニーズに見合った製品を低コストで生産する取り組みが行われているほか、店 舗網の拡充によって販売を強化する動きもみられる。¾
今後もこうした地道な取り組みを継続的に行うとともに、部品共通化などによる開 発・生産の更なる効率化を図ることで、新興国でのシェア奪取を軸に成長を志向し ていく構え。図表
5:成長分野の開拓に向けた取り組み
分野 企業名 概要
トヨタ 2010年12月にインドに投入した低価格小型車「エティオス」を2012年9月よりブラジルにも展開。
今後、投入国を順次拡大予定。
ホンダ 2011年3月にタイで発売を開始した低価格小型車「ブリオ」を2011年9月にインドにも展開。
将来的にはタイやインドから他の新興国市場への輸出を行う計画。
日産 新興国向けブランド「ダットサン」を立ち上げ、2014年からインドネシア、インド、ロシアに展開。
提携する現地メーカーとの共同生産も視野に入れる。
2015年末までに既存モデルの改良を含めて、乗用車で21モデルのHVを投入する計画。
デンソーなど系列部品サプライヤー9社とともに、CO2排出量削減に繋がる住宅を共同開発。
太陽光発電や燃料電池で発電した電気を家庭で充電可能なPHVやEVに供給する仕組みを作る。
2014年頃に世界販売の10%以上をHVにする計画。小型車中心にHVのラインナップを拡充しつつ、
タイやマレーシアでHVの現地生産を開始。
2011年11月に新型のヒト型ロボット「アシモ」を開発。この技術を応用して、高齢者や身体障害者の 歩行を助ける装置「リズム歩行アシスト」を開発した。
2016年度までにルノーと共同でEVを7モデル投入し、累計150万台の販売を計画。
積水ハウスと提携し、横浜市や北九州市でのスマートグリッド実証実験に参画。
同時に、EVで使用したリチウムイオン電池を家庭用の蓄電池に転用する実験も行う。
海外
新規 トヨタ
ホンダ
日産
(資料)各種報道をもとに三菱東京UFJ銀行企業調査部作成
HV EV
0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 1,600 1,800 2,000
09 10 11 12予 13予 14予 15予 20予 25予 (年)
0%
2%
4%
6%
8%
10%
12%
14%
16%
18%
(万台) 20%
世界販売に占める シェア(右目盛)
( 2 )新規事業
◇ 次世代自動車の開発に取り組む一方で、環境・エネルギーや医療・介護分野にも着手
¾
世界的な低燃費車に対するニーズの高まりや環境規制の強化に対応すべく、わが国 メーカーは、ハイブリッド車(以下、HV)や電気自動車(以下、EV)に代表され る次世代自動車の開発を積極的に推進。トヨタやホンダがHV、日産や三菱自工が EV
の開発に力を注いでおり、これらの車種で世界をリードしている。¾
これに加え、収益源の多様化を目的として、今後の成長分野と目される「環境・エ ネルギー」や「医療・介護」などの事業領域に対して、経営資源を投じる動きもみ られる。環境・エネルギー分野では、トヨタや日産が次世代自動車と住宅の融合を 目指した実証実験に取り組んでいるほか、ホンダは医療・介護分野などでの活用が 期待されるロボットや歩行補助装置の開発を本格化している。¾
具体的には、日産は積水ハウスと提携して横浜市におけるスマートグリッドの実証 実験に参画。ホンダは愛知県の高齢者医療機関と共同で歩行支援ロボットの実証実 験を行うなどの取り組みがみられる。¾
今後を展望すると、次世代自動車の需要は着実に伸びると予想されており(図表7)
、 わが国メーカーは引き続きこの開発に注力することで低燃費技術を巡る競争を優位 に進める構え。¾
ただし、次世代自動車については依然として将来有望な車種(規格)が定まってお らず、HVやEV
に限らず多様な車種について技術を保有しておくことが求められ る。こうしたなか、各社とも開発資源に限りがあることから他社との連携が不可欠 となっており、今後も技術補完を目的とした提携の動きが活発となろう。¾
また、環境・エネルギーや医療・介護などの事業領域では、ノウハウの蓄積がある エレクトロニクスメーカーや住宅メーカー、医療機関との連携強化が引き続き進展 する可能性がある。図表
6:BRICs
における主要自動車メーカー 図表7:世界における HV、EV
のの市場シェア推移
販売台数見通し
日産 ホンダ トヨタ VW
現代
0 2 4 6 8 10 12 14
04 05 06 07 08 09 10 11(年)
(%)
(資料)マークラインズのデータをもとに 三菱東京UFJ銀行企業調査部作成
(注)HVのなかにプラグインハイブリッド車を含む。
(資料) 富士経済「電動自動車関連市場の現状と将来展望2012」
をもとに三菱東京UFJ銀行企業調査部作成
【用語説明】
部品の共通化 モデルを跨いで主要な部品を共通化する施策。部品の量産効果を高めてコスト削減を図り、
新モデルの開発でも当該部品を活用することで開発コストを低減することを目指すもの。
日産は「日産コモン・モジュール・ファミリー(CMF)」、トヨタは「トヨタ・ニュー・
グローバル・アーキテクチャー(TNGA)」という名称で施策を展開し、日産は2013年以 降、トヨタは2014年以降に発売される車種に導入する予定。
北米における主 力車種のモデル 更新
2013年の北米では、各メーカーで主力車種のモデル更新が見込まれている。トヨタは
「Carolla」、「RAV4」や「Highlander」、日産は「Rogue」、ホンダは「Accord」のプラ グインハイブリッドモデルなど、GMは「Chevrolet Silverado」や「GMC Sierra」、Ford は「Transit」、Fiat-Chryslerは「Chrysler 200 Series」などの車種でモデルを更新する見込み。
(2012.12.28 高橋 和也、村上 和隆)
(*)用語説明は、69頁をご参照下さい。
1. 業界環境
(1)産業機械
◇
2012
年度は内外需とも前年割れとなるが、2013
年度以降は外需主導で回復に転じる¾ 2012
年度の産業機械受注額は、内需が夏場以降の景況感の悪化による設備投資の 減退を主因に前年割れとなり、外需も前年の大口受注の反動に加え、中国や欧州 向け需要の減退によって大きく減少。全体では前年比▲13.1%減の6
兆8,100
億円 程度に落ち込む見込み(図表1)
。9
内需(民需)は、昨年度にみられた化学・電力プラント向け復興需要の剥落 に加え、欧州債務問題の長期化や新興国の経済成長鈍化を受け、夏場以降に 景況感が悪化していることを背景に、自動車をはじめ輸出産業を主体に設備 投資が減退し、前年比▲6.0%の減少に転じる見通し。図表
1:産業機械受注額・受注残高の推移
(単位:億円、%)(見込) (予想) (予想)
55,643 68,655 78,324 68,095 (▲ 16.9) (23.4) (14.1) (▲ 13.1) 民需 22,342 24,293 27,244 25,622 (▲ 20.9) (8.7) (12.1) (▲ 6.0)
官公需 4,311 4,091 4,653 4,922
(23.5) (▲ 5.1) (13.7) (5.8) 外需 25,599 36,362 42,319 33,046 (▲ 17.3) (42.0) (16.4) (▲ 21.9)
代理店 3,391 3,910 4,109 4,504
(▲ 20.3) (15.3) (5.1) (9.6) 42,977 43,261 48,765 48,903 (▲ 3.1) (0.7) (12.7) (0.3)
(注)( )内は前年比伸び率。
(資料)内閣府「機械受注統計調査報告」をもとに三菱東京UFJ銀行企業調査部作成
(年度) 2009 2010 2012 2013
2007=100とした 水準
2007=100とした 2015年度の水準
受注計 +4%程度 80程度 +5%強 90程度
2014〜2015平均
▲2%程度 115程度 ▲2%程度 110程度
▲2%程度 70程度 ▲2%弱 65程度
横這い 90程度 +3%程度 95強
+10%程度 85程度 +10%程度 105程度
受注残高 +10%程度 95程度 +3%程度 100程度 2011