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(図表35)I度高血圧症を対象として、万歩計 をつけて3か月間の歩行運動を行った私ども の成績である14)。収縮期血圧、拡張期血圧と もに、2か月目より有意な降圧がみられた。

降圧度は、収縮期血圧で8mmHg、拡張期血 圧で4mmHg程度であった。また、1日の歩 数としては、8,000歩を目安とするとよい。

 の併用が勧められる。

(図 表 39) 収 縮 期 高 血 圧 は、DBP が 90mmHg未満で、収縮期血圧が持続的に高 値で推移しているときに生じる。1,000万人 以上の米国人で、十分にコントロールされて いない収縮期高血圧が認められる。疫学デー タにより、心血管系へのリスクを決定する因 子としては、DBPよりもSBPの方が重要で あることが実証されている。医師の中には、

収縮期高血圧を高血圧症と診断せず、積極的 治療を実施しないケースもみられる。 高血 圧、特に収縮期高血圧の発現率は加齢ととも に上昇する。65歳以上の患者でみられる高血 圧のうち65%は収縮期高血圧である。 ただ し、収縮期高血圧は中年でも発症する。

 NHANES IIIに基づく分類によると、高血 圧患者の平均血圧値は145/82mmHgであ る。 患者の73%が標的DBP目標値である 90mmHg未満を達成しているのに対し、

SBPの目標値である140mmHg未満を達成 しているのは、 高血圧患者の34%にすぎな い。 治療を受けていない高血圧患者の60%

が、収縮期高血圧である。他の高血圧患者で、

高血圧を自覚している者は42%であるが、収 縮期高血圧患者群では高血圧を自覚している のは29%と極めて低い。

(図表40) 我々が健診を行っている町での 2014年の成績によると、657名の参加者の 服薬の有無と血圧値の分布では、服薬のない 455名中140/90mmHg以上の高血圧者が 187名(41%)、正常高値147名(32%)、計 73名が未治療で放置されていた。一方服薬者 202名中、正常にコントロールされている割 合はわずか24.3%であった。図は、「ご自分 の血圧値は良好だと思いますか」との質問を した際の健康認識度を調査したものである。

降圧薬の治療をしていない人の正解率は 35.5%、治療中の患者の正解率は54.5%で あり、治療をしていない人の誤認率が有意に 高値であった。治療中の患者でも45.5%が 誤っていることも問題であり、日常の診療の 際、高血圧の病態、治療の必要性などの指導 をきめ細かく行うことが必要と思われる。

2剤の併用

[JSH2014] 降圧薬治療

ACE阻害薬 ARB

Ca拮抗薬

利尿薬

図表38

図表38

高血圧患者の大半が、

SBP

の目標である

140 mmHg

を達成していない

(Lapuerta P, L’Italien GJ. Am J Hypertens. 1999 )

SBPの範囲 (mmHg 目標未達成 14.0

12.0 10.0 8.0 6.0 4.0 2.0 0.0

171180 181190 191200 201210 211220 221230 231240 241250

161170151160141150131140121130111120101110911008190

(1

図表39

図表39

図表40

図表40

(図表41)高血圧は、血管性認知症の危険因 子であるが、アルツハイマー病も脳血管障害 や脳微小血管病の合併が多くみられ、高血圧 との関連性が報告されている。JSH20144)で は、

1.中年期の高血圧は、高齢期認知症の危険 因子であり、認知症抑制の観点からも積 極的に治療すべきである。

2.高齢期高血圧の降圧治療による認知症 予防効果に関する結論は得られていない が、認知機能を悪化させるとする成績は なく、降圧薬治療は行う。

3.認知機能障害や認知症合併高血圧に対 する降圧治療の効果に関するエビデンス は少ないが、降圧治療は考慮する。

(図表42)高血圧と脳血管障害についての図 である15)。本態性高血圧は脳を破壊し、脳卒 中やその結果として認知症をきたす。高血圧 は脳血管の構造を変化させ、適切な脳血流を 保持する複雑な血管調節機序を崩壊させる。

これらの変化が脳の血液供給を脅かし、脳虚 血とアルツハイマー病の発症を増加させる。

(図表43)血圧と認知機能については、高齢 者では重要なヘルスケアの問題である。高血 圧と低血圧は共に脳血流に影響し、認知機能 を悪化させる。高血圧と他の血管危険因子は 認知機能の低下と関連する。中年時代の内皮 機能障害や微小循環障害・大血管障害が老人 期の認知機能の低下に重要な役割を果たすこ とが示されている。図は高血圧・糖尿病合併 例と年齢を合わせた健常人の脳の形態と脳血 流を示す。上の患者では、著しい脳萎縮と広 範な傍脳室虚血性変化を示唆する白質の高輝 度と、前頭葉・側頭葉の血流低下が認められ る16)

(図表44) 治療抵抗性高血圧およびコント ロール不良高血圧においては、 食塩過剰摂 取・肥満・飲酒などの生活習慣、服薬アドヒ アランス不良、白衣高血圧・白衣現象、降圧 薬の不適切な選択や用量、睡眠時無呼吸症候 群、原発性アルドステロン症などの二次性高 血圧、腎機能低下や体液量増加、ストレス、

[JSH2014] 認知症

認知症

1. 中年期の高血圧は,高齢期認知症の危険因子であり,

認知症抑制の観点からも積極的に治療すべきである。

2. 高齢期高血圧の降圧治療による認知症予防効果に関する

結論は得られていないが,認知機能を悪化させるとする成績はなく,

降圧薬治療は行う。

3. 認知機能障害や認知症合併高血圧に対する降圧治療の効果に関す るエビデンスは少ないが,降圧治療は考慮する。

コンセンサス

コンセンサス

図表41

図表41

高血圧

形態的変化 機能的変化

血流不全

脳卒中・認知症

動脈硬化

肥大/リモデリング 壁肥厚 自動調節

BBB変化 機能的充血

内皮依存性血管拡張 脂肪硝子変性

Cell Metab 2008;7:476-484

高血圧と脳血管障害

図表42

図表42

高血圧・糖尿病合併患者と健常人 の MRI と3 D CASL

Nat Rev Cardiol 2010 Dec;7(12):686-98

.

高血圧・

DM

健常人

図表43

図表43

考慮する。 十分な問診を行い、 患者とのコ ミュニケーションをとり、生活習慣の修正お よび服薬指導を行う。降圧治療では、利尿薬 を含む作用機序の異なる薬剤を多剤併用す る。降圧薬は十分な用量を使用し、服薬の回 数や時間を考慮する。これらの病態では、臓 器障害が存在する可能性が高いこと、高リス ク群を多く含むこと、二次性高血圧の可能性 があることから、適切な時期に高血圧専門医 の意見を求める。