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リハビリテーション指示書の ポイント

(図表27)今回は時間の関係で詳細は別の機 会に譲りたいが、主治医意見書と並び非常に 重要な位置付けにありながら、必ずしも充分 な内容の記載がないと指摘されることも多い 指示書や情報提供書として、「訪問看護指示 書」、「居宅療養管理指導書」、「リハビリテー ション指示書」等がある。その中でも、特に

「リハビリテーション指示書」の場合、リハビ リテーション専門医ではない一般的なかかり つけ医にとって、リハビリテーションの具体 的な処方を記載することには大きな負担感が あると思われる。

 しかし、殆どの場合、セラピストから特に 求められる指示書の重要なポイントは、リハ ビリテーション提供の際の「リスクマネジメ ント」 に関する情報提供と明確な予後予測

(目標設定)であることは知っておきたい。つ まり、その指示書の中で特に医師に求められ るものは、リハビリテーションを提供するこ とによって発生しうる様々なリスクに関し て、その病状の程度や今後の推移から想像で きる範囲で指摘し、注意を喚起することは大 変重要なのである。

 更に、その疾患の「障害の評価と生命予後 と機能予後に関する将来予測」を立て、そこ から考え得る「治療目標の設定」を行うこと は、単にリハビリのためのリハビリにならな いように努め、効率の良いリハビリテーショ ンを提供するためにも重要な視点である。

 その上で、セラピストから具体的に相談を また、介護認定審査会で検討する際、ここの

記載内容が重要なポイントになることがしば しばあるので、できるだけ「介護の手間」に 反映できるように具体的に記入することが重 要である。

 他科の専門医の診察(精神科、皮膚科、歯 科等)等を受けるべきとの判断があれば、そ れも記載したい。 現在受けているサービス と、その理由・利用状況等もわかる範囲で記 入する。認知症やうつ状態についても、介護 の必要性の点からできるだけ具体的に記入 し、問題行動も介護に時間がかかると思われ る事実を具体的に記入したい。なお、情報提 供書や身体障害者申請診断書の写しの添付も 可とされているので、利用したい。平成21年 4月の要介護認定見直しによる一次判定ソフ トの変更で統計的な推定による判定が重視さ

介護認定審査会から指摘される その他の留意点

 作成期限の大幅な遅れ

 判読不能な文字での記入

 枠外への記載があり、読み取り不能

 医療専門用語やアルファベットでの 略語記載

 介護度を断定的に記載

 その他

図表26

・他の項目で記載しきれなかったことや、チェック式では表現出来ない事を簡潔にまとめる欄

項目毎に記入

・介護認定審査会で検討する際、ここの記載内容が重要なポイントになることがしばしばあるので、

出来るだけ『介護の手間』に反映出来るように具体的記入することがポイント

・他科の専門医の診察(精神科、皮膚科、歯科等)等を受けるべきとの判断も記載したい

・現在受けているサービスとその理由・利用状況等も、わかる範囲で記入

・認知症でもうつ状態でも、介護の必要性の点から出来るだけ具体的に記入

・問題行動も、介護に時間がかかると思われる事実を、出来るだけ具体的に記入

・情報提供書や身体障害者申請診断書の写しの添付の可

・一次判定ソフトの変更で、統計的な推定による判定がより重視されるようになったため、この欄 の記載はより重要

図表25

図表25

訪問看護指示書・リハビリテー ション指示書の書き方ポイント

1.リスクマネジメント

2.障害の評価と予後予測(生命予後と機能予後)

3.治療目標(短期・長期)の設定 4.医学的管理

5.チームアプローチの統括(チームリーダー)

としての役割

図表27

図表27

「医学的管理」だけでなく「チームアプローチ を統括するチームリーダー」としての役割も また重要になってくるであろう。

 また、これは居宅療養管理指導書や訪問看 護指示書等においても、共通した重要な視点 であることは強調しておきたい。

 なお、居宅療養管理指導書については、東 京都医師会から提供されている様式を基に、

1頁に簡略化して当院で使用しているものを 参考までに紹介しておく(次ページ参照)。

おわりに

(図表28)最後に、医師(医療)として、医 療・介護を包括した地域包括ケアシステム推 進のために必要な心得10ヶ条として、

1.生活の質・尊厳ある人生に視点を置く 2

地域包括ケアシステムと地域医療構想を

理解する

3

多職種協働・チームアプローチを大切に 4

地域との連携がとれる

5

デマンドとニーズの違いを理解

6

食と栄養、リハビリテーション、認知症 の理解

7

ターミナルケアの理解と実践 8

テイラーメイド医療・介護を目指せ 9

常にWin-Winの関係を意識せよ(相手

の立場を考える)

10.「連携」から「統合」へ をあげておきたい。

 まずは、ご本人の意思・選択をしっかり受 け止め、その方の生活の質や尊厳ある人生と いう視点からの医療提供の在り方を、本人・

家族はもとより多職種協働で考え、チームア プローチを目指すこと、「食べる力」「動く力」

「認知する力」を常に意識し、その中で金太郎 飴のような十把一絡げの医療・ 介護ではな く、テイラーメイドの医療、テイラーメイド の介護、そのためのテイラーメイドのケアマ ネジメントを目指すことが肝要となる。

 これからの高齢者においては互いに支え合 う体制づくりが重要であると共に、当然なが ら医療なき介護もないし、介護なき医療もな いわけで、そのためには介護側にも医療的マ インドを身につけていただくと共に、 我々医 療者側も生活の視点からの医療を意識するこ とも重要となる。そしてこれからの医療と介 護は、連携から融合・統合へと進化していか ねばならない時期に差しかかっていること を、私たち医療人としても肝に銘じたい。

参考文献

1) 厚生労働省老健局老人保健課長通知(老老発 0930第2号 平成21年9月30日)「要介護認 定における「認定調査票記入の手引き」、「主治 医意見書記入の手引き」及び「特定疾病にかか る診断基準」について」

2) 第2回医師のための総合リハビリテーション 講座テキスト(日本慢性期医療協会編2014.7)

3) か か り つ け 医 の 在 宅 医 療(日 本 医 師 会 編  2013.7)

4) 第100回社会保障審議会介護給付費分科会資 料(2014.4)

5) 第1回社会保障審議会療養病床の在り方等に 関する特別部会資料(2016.6.1)

地域包括ケアシステム推進のため のかかりつけ医 心得10ヶ条

1.生活の質・尊厳ある人生に視点を置く

2.地域包括ケアシステムと地域医療構想を理解する 3.多職種協働・チームアプローチを大切に

4.地域との連携がとれる

5.デマンドとニーズの違いを理解

6.食と栄養、リハビリテーション、認知症の理解 7.ターミナルケアの理解と実践

8.テイラーメイド医療・介護を目指せ

9.常にWin-Winの関係を意識せよ(相手の立場を考える)

10. 「連携」から「統合」へ

図表28

図表28

医療法人池慶会 平成26年度改訂版

居 宅 療 養 管 理 指 導 書

作 成 日 平成 年 月 日

居宅介護支援事業者名 介護支援専門員 殿

医療法人池慶会 池端病院 医 師 氏 名

利用者氏名 生年月日 明 ・ 大 ・ 昭 年 月 日 ( ) ( )歳

発症年月日 年 月 日 ○ 診療開始日 年 月 日

介 護 認 定 要支援( 1・2 )要介護( 1 ・2 ・3 ・4 ・5 ) 認 定 期 間 平成 年 月まで

障害老人日常生活自立度 正常 ・ J1 J2 ・ A1 ・ A2 ・ B1 ・ B2 ・ C1 ・ C2

認知症老人日常生活自立度 正常 ・ Ⅱa ・ Ⅱb ・ Ⅲa ・ Ⅲb

(病状変化) (精神状態)

a.病状は落ち着いています a.病状は落ち着いています

b.病状は改善しています(内容: ) b.見守りや、まめな連絡等の配慮が必要です c.病状が時により変化するので注意して下さい c.コミュニケーションの工夫が必要です

d.徐々に悪化傾向にあるので、変化に注意して下さい d.夜間、急に悪化することがあるので注意して下さい e.急速に悪化しているので、連絡を密にして下さい e.現状では常に介護が必要です

f.その他指導事項( ) f.その他指導事項( )

(移 動) (摂食・栄養)

a.介助がなくても屋内歩行ができます a.自力で摂食できます

b.屋内歩行には介助が必要です b.介助が必要ですが、できるだけ自力摂取を促して下さい c.介助があればポータブルトイレに移乗できます c.誤嚥を起こすことがあるので注意して下さい

d.日中、できるだけ座位を取らせて下さい d.ペースト食・嚥下食等を、介助して摂らせて下さい e.定期的に体位変換が必要です e.( 補助栄養食・点滴 )が必要です( ) f.その他指導事項( f.経管栄養 ・中心静脈栄養 )が必要です( 新規 ・継続 ) g.その他指導事項( )

(排 泄)

a.自力でトイレの使用ができます (入 浴)

b.介助にてトイレの使用ができます a.自力で入浴が可能です

c.介助にてポータブルトイレの使用ができます b.介助にて定期的に入浴して下さい(家人・訪問看護介護等)

d.夜間はオムツを使用してください c.通所での介助入浴を利用して下さい e.オムツの適切な交換が必要です d.訪問入浴等を利用して下さい f.尿道カテーテルの状態を確認して下さい e.清拭等により清潔を保持して下さい

g.その他指導事項( ) f.その他指導事項(

(その他注意点) (定時処方内容) 1. 変更無し a.血圧の変動に注意して下さい( 以上/ 以下は要連絡)

b.発熱に注意して下さい( 以上は要連絡)

c.定期的な排便を確認して下さい h.十分な水分摂取に心がけて下さい

i.その他指導事項( )

(その他の対応指示内容)1.指示有り 2.指示無し

①.発熱時 ②.疼痛時 ③.( )

(総 括)

1.著変無し 2.変化有り 3.指示有り

2. 変更有り 3.臨時処方有り