長さl (=a+b+c)の単純支持はりにおいて,横荷重として,2つの集中荷重W1,W2がそれぞれ,位置aと a+bに作用する場合の,せん断力分布と曲げモーメント分布を求める.長さlのはりに関して,支点Bの周り の反時計回りのモーメントのつりあいの方程式
−RAl+W1(b+c) +W2c= 0 より,支点Aでの反力が
RA= W1(b+c) +W2c l
のように求められる.同様に支点Aでのモーメントのつりあいを考えると,
RBl−W1a−W2(a+b) = 0 であるから,
RB =W1a+W2(a+b) l
を得る.
まず,0≤x < aのとき,支点Aからの距離xではりを切断し,切断した断面に,鉛直下向きのせん断力Fと 反時計回りの曲げモーメントM を考えて,長さxのはりにおける力のつりあい,切断断面周りでの反時計回り のモーメントのつりあいを考えると,
F−RA= 0 M−RAx= 0
図 29: (a)2つの横荷重が作用する単純支持はりと(b) その自由物体図,および (c) せん断力図(SFD),(d) 曲げモーメント図(BMD).
であるから,せん断力と曲げモーメントは
F=RA= W1(b+c) +W2c
l , (0≤x < a) M =RAx= W1(b+c) +W2c
l x, (0≤x < a)
のように表される.今,W1とW2がそれぞれ単独で作用したときの,点Aの反力をRA1,RA2とし,せん断力 と曲げモーメントに関しても同様に,FA1,FA2とMA1,MA2のように書くとすると,
RA= W1(b+c) +W2c
l =b+c l W1+c
lW2
=RA1+RA2
F =RA=RA1+RA2
=FA1+FA2
MA=RAx= (RA1+RA2)x=RA1x+RA2x
=MA1+MA2
のような関係が得られる.これらは集中荷重が複数の場合の力とモーメントが1つずつの集中荷重が単独で作用 したの場合の総和に等しいことを示し,これを重ね合わせの原理という.複数の外力によるせん断力,曲げモー メントが個々の外力によるせん断力曲げモーメントの総和で表されたのは,一つの外力と他の外力に対するはり の応答であるせん断力と曲げモーメントが独立であると考えて,つりあいの式において,W1W2のような2つの 外力の相互作用を表す項を考慮しなかったからである.すなわち,つりあいの式自体が相互作用を無視した線形 近似されたものであり,材料力学では,変形が小さいことに基づいて,W12,W1W2,W22などの高次の項を無視 してつりあいの式を考えてよい.
次に,a≤x < a+bのとき,支点Aからの距離xではりを切断し,切断した断面に,鉛直下向きのせん断力 Fと反時計回りの曲げモーメントMを考えて,長さxのはりにおける鉛直下向き方向での力のつりあい,切断 断面周りの反時計回り方向のモーメントのつりあいを考えると,
F−RA+W1= 0 M+W1(x−a)−RAx= 0 であるから,せん断力と曲げモーメントは
F =RA−W1= W1(b+c) +W2c
l −W1=cW2−aW1
l , (a≤x < a+b) M =RAx−(x−a)W1= W1(b+c) +W2c
l x−(x−a)W1=cW2−aW1
l x−aW1, (a≤x < a+b) のように表される.
最後に,a+b≤x≤a+b+c=lのとき,支点Aからの距離xではりを切断し,切断した断面に,鉛直下向 きのせん断力Fと反時計回りの曲げモーメントM を考えて,長さl−xのはりにおける鉛直下向き方向での力 のつりあい,切断断面周りの反時計回り方向のモーメントのつりあいを考えると,
−F−R = 0
−M +RB(l−x) = 0 であるから,せん断力と曲げモーメントは
F =−RB =−W1a+W2(a+b)
l , (a+b≤x≤l) M =RB(l−x) =W1a+W2(a+b)
l (l−x), (a+b≤x≤l)
のように表される.以上により,せん断力分布と曲げモーメント分布を得られたので,SFDとBMDを描画する ことができる.