第 II 部
7.3 平等強さのはり
任意の横断面において,応力σが一定である,すなわち,曲げモーメントをM とし,断面係数をZ とした とき,
σ= M
Z = [一定] のように表されるはりを平等強さのはりと呼ぶ.
7.3.1 自由端に集中荷重が作用する長方形断面の片持ちばり
長さlの片持ちはりの自由端に集中荷重W を受けるとき,任意の位置xの断面Xに作用するせん断力F(x), 曲げモーメントM(x)は
W+F = 0 W x+M = 0 となる.よって,曲げモーメントM は
M =−W x のように表され,長方形の断面二次モーメントは
I=
∫
y2dA=
∫ h/2
−h/2y2bdy= [by3
3 ]h/2
−h/2= bh3 12 であるので,断面係数は
Z = I
h/2 =bh2 6 であるので,応力を一定値σ0とおいて,
σ0=M
Z = 6W x
bh2 = 6W l
b0h20 = [一定] が成り立つ.さらに,h=h0= [一定]とすると,
b= b0
l x, b0= 6W l σ h2
となることがわかる.断面の幅bがxに比例するから,求める平等強さのはりの形はx軸に対称な三角形板とな る.このとき,たわみ曲線は,
−1 ρ = d2v
dx2 =−M
EI = W x E(bh3/12)
= W x
E[(b(l)/bx)h30/12] = W l E(b0h30/12)
= W l EI0
I0= b0h30 12
のように表され,曲率半径ρが一定となり,はりが円弧となることがわかる.
平等強さのはりの単位体積あたりの弾性エネルギーU たわみ角iとたわみvは,
i=
∫ −M EI dx=
∫ W l
EI0dx= W l
EI0(x+C1) v=
∫ ∫ −M
EI dxdx=
∫ ∫ W l
EI0dxdx= W l EI0
(x2
2 +C1x+C2 )
であり,固定端x=lでi=v= 0より,
C1=−l, C2=l2 2 と求められるから,たわみvは
v=
∫ ∫ W l
EI0dxdx= W l
2EI0(x−l)2 のように表される.たわみは自由端x= 0において生じる最大たわみvmaxは,
vmax= W l3
2EI0 = W l3 2E
12
b0h30 = 6W l3 Eb0h30 = l2
Eh0 ·6W l b0h20
= l2 Eh0σ0
のように求められる.この平等強さのはりの単位体積あたりの弾性ひずみエネルギーUは弾性エネルギーU¯ = (1/2)W vmaxをはりの体積V で除したものであるから,
U =U¯
V = 12W vmax V =1
2W W l3 2E(b0h30/12)
(b0l 2 h0
)−1
= 6W2l3 Eb20h40 = 1
6E (6W l
b0h20 )2
= σ20 6E
のように求められる.一方,面積がb0h0である一様断面を有する片持ちはりの単位体積あたりの弾性ひずみエ ネルギーU0は式6.15より,一様断面の場合の最大たわみがv0 max=W l3/(3EI0)であるとわかっているから,
U0= 12W v0 max
V =1
2W W l3
3E(b0h30/12)(b0lh0)−1=2W2l3 Eb20h40
= σ20 18E
のように表される.UとU0を比較すると,平等強さの単位体積あたりの弾性エネルギーU0が一様断面のU0の 3倍大きいことがわかる.平等強さのはりは小さい体積でその大きな変形量を支えるため,体積あたりの弾性ひ ずみエネルギーが大きくなるのであるが,これは,外部からのエネルギーを体積全体で吸収していることを意味
問題1 長さlの片持ちばりが自由端に集中荷重W を受け,かつ,断面の形状が高さが一定値hと幅bを有する 長方形であると仮定すると,最大曲げ応力σ0すなわち,外縁応力を荷重がかかる自由端からの断面の位置xに 関わらず一定にするためには,bをどのように変化させればよいか.また,この平等強さのはりではたわみ曲線 の曲率が一定となることを示せ.
0≤x≤lでつねに,hは一定であり,x=lの固定端において,b=b(l)と書くとすると,外縁応力σは,
σ(x) = M(x)
Z(x) = −W x
6−1b(x)·h2 =−6W h2 · x
b(x)
=σ(l) =−6W h2 · l
b(l) の一定値とならねばならない.それゆえ,
x b(x) = l
b(l)
すなわち,b(x) =l−1b0·xのようにbをxに比例させれば題意の条件満足し,これは三角形板のはりを用いれば よいことを意味する.自由端への荷重による曲げは符号が負のそれに相当し,断面二次モーメントIが
I(x) = 1
12b(x)·h3 で表されるので,曲率半径をρ (>0)とすると,曲率は
−1 ρ = d2v
dx2 =−M
EI =−(−W x)
EI = W x
E·12−1bh3
= W x
E·12−1·l−1b(l)x·h30 = W l E·12−1b0h30
= W l EI0 の一定値となる.
7.3.2 中央に集中荷重の作用する長方形断面の単純支持はり(幅一定の場合)
両端AとCが単純支持されたはりにおいて,はりの中央Bに1個の集中荷重W が作用するときの曲げモー メントMを求める.AとCの反力をそれぞれ,RAとRCとすると,力のつりあい方程式は
W −RA−RC= 0 であり,左右対称性より
RA=RC
としてよいので,反力は
RA=RC= W 2
と求められる.左右対称であることから,左半分のみについて考えればよい.全長lのはりから左端のx= 0か ら長さxの部分を切り出し,右端に反時計回りの曲げモーメントMを付加すると,右端の周りの力のモーメン トのつりあい方程式は
−RAx+M = 0
であるから,位置xの断面における曲げモーメントは M(x) =RAx=W x
2 (0≤x≤ l 2) と表される.横幅b,高さhの長方形の断面係数Zは,
Z= bh2 6 であるから,応力が一定として,
σ0= M(x) Z = W x
2 6
bh2 =3W x
bh2 = 3W l b0h20 である.ここで,横幅を一定より,
b=b0 とおくと,上の2式より,高さhが
h=h0
√x
l, h0=
√3W x σ0b0 のように表される.
7.3.3 組み合わせはり 7.3.4 積層金属板
n種類の金属板を厚さ方向に積層した組み合わせはりの曲げ変形を考えよう.n=k番目の部材について,そ の縦弾性係数をEk,中立軸からの距離をyk,縦ひずみをϵk,曲げ応力をσk=Ekϵk,断面積をAkのように書 くとすると,すべての金属板の曲率半径はρに等しいと考えて,
1 ρ= ϵ
y = σ Ey
= σ1
E1y1 = σ2
E2y2 =...= σn Enyn (
= σk
Ekyk, where k= 1, 2, ..., n.
)
のように表される.軸方向に外力は働かないため,曲げ応力による軸力の総和(断面全体についての積分)はゼ ロでなければならないから,
∫
A1
σ1dA+
∫
A2
σ2dA+...+
∫
An
σndA= 0, ∑n
k=1
(∫
Ak
σkdA )
= 0 と書くことができる.上の2式より,
∫
A1
E1y ρ dA+
∫
A2
E2y
ρ dA+...+
∫
An
Eny
ρ dA= 0,
∑n k=1
(∫
Ak
Eky ρ dA
)
= 0
を得る.ここで,各縦弾性係数は定数であり,また曲率半径ρ=ρ(x)はy,z座標とそのyz平面内の断面積か ら独立であるから,積分の外に出して両辺をρ (̸= 0)で除すると,
E
∫
ydA+E
∫
dA+...+E
∫
dA= 0,
∑n ( E
∫ ydA
)
= 0
が成立する.上式に基づけば,y = 0の中立軸に関するk番目の1層の金属層のみ(断面積はAk)の断面一次 モーメントSk
Sk =
∫
Ak
ydA (k= 1, 2, ..., n) は
E1S1+E2S2+...+EnSn = 0,
∑n k=1
EkSk = 0, (k= 1, 2, ..., n)
の条件を満たさなければならない.これは伸び縮みのない中立軸の位置がy= 0にある積層金属はり全体の断面 図心を必ず貫くのではないことを意味する.今,積層金属断面全体の上端がz軸と接するとすると,鉛直下を向 く断面図形の対称軸をy軸とし,それがz軸と交差する基準点をyz = 0とする.さらに,伸び縮みのない中立 軸の位置をyz= ¯yと定義すると,yは中立軸を基準とする鉛直下向きを正とする位置として既に定義されている から,任意の位置yzはyを用いて
yz=y+ ¯y のように表される.よって,k番目の1層の一次モーメントSkは
Sk =
∫
Ak
ydA=
∫
Ak
(yz−y) dA¯ =
∫
Ak
yzdA−
∫
Ak
¯
ydA= (Sk)z−yA¯ k, (
(Sk)z=
∫
Ak
yzdA )
のように書き直される.ここで,(Sk)zはk番目の金属層自身の断面全体の上端と接するz軸周りでの断面一次 モーメントである.よって,
∑n k=1
Ek{(Sk)z−yA¯ k}= 0,
∑n k=1
Ek(Sk)z−y¯
∑n k=1
EkAk = 0
でなければならないから,断面上端を基準とする中立軸の位置y¯は
¯ y=
∑n k=1
Ek(Sk)z
∑n k=1
EkAk
, (k= 1, 2, ..., n)
のように表される.