が成り立つ.θ¯A,θ¯Bはそれぞれ,TA,TBによって生じたものであるから,
T Ip =
∫
A{τ(r)·dA} ·r
∫
Ar2·dA =
∫
AGγ·rdA
∫
Ar2·dA =
∫ R
nRGθ¯
lr·r(2πrdr)
∫ R
nRr2·2πrdr
=Gθ¯ l
θ¯A=θAa=TAa GIp θ¯B =θBb= TBb GIp
と書けるので,θ¯A= ¯θBと連立させ,
TAa=TBb
が得られる.これとねじりモーメントに関するつりあい条件式を連立させて,
TA= b a+bT TB= a
a+bT であるので,
θ¯= a
GIpTA= a GIp · b
a+bT = ab GIp(a+b)T
が得られる.中空円柱の外直径と内直径をそれぞれd2,d1とすると,断面二次極モーメントIpは Ip=
∫
Ar2·dA=
∫ d2/2
d1/2 r2·2πrdr= 2π [r4
4 ]d2/2
d1/2= π 2
{(d2
2 )4
− (d1
2 )4}
であるので,これを上の式に代入して,
θ¯= abT G(a+b)· 1
Ip = abT
G(a+b)· 2·24
π(d42−d41) = 32ab
πG(a+b) (d42−d41)T を得る.
図 23: 引張り外力Pが作用する弦巻角α,コイル半径R,線材直径dのコイルばね.
のように表される.円筒軸方向にコイルばねを見たときの線材断面中心の軌跡は半径Rの円になっているので,
内力Pが円筒軸上にある中心の周りに生じる力のモーメントは大きさP Rを有し,円筒軸に垂直な円筒断面円 の接線方向を向いている.このモーメントP Rを内力P と同様に線材軸方向と,その線材軸方向と垂直な方向 に直交分解することを考えると,線材軸方向成分は微小幅の線材に関するねじりモーメントTとなり,線材軸に 垂直な方向成分は,曲げモーメントMとなる.ねじりモーメントT と曲げモーメントM はそれぞれ,
(T M
)
=P R (cosα
sinα )
=P R
(α+o(α) 1 +o(α) )
のように表される.
密接して巻いてあるコイルばねの場合には,α≪1と見なすとができるので,軸引張り力N=o(1),曲げモー メントM =o(1)を無視できる.線材の断面が半径d/2の円であるから,線材の断面2次極モーメントIpが
Ip=
∫
Ar2dA=
∫ d/2
0 r2·2πrdr= 2π [r4
4 ]d/2
0 = π 2
(d 2
)4
−0
=πd4 32
によって与えられる.ねじりモーメントTによって線材に生じるせん断応力τ1は半径d/2の線材断面円の最外 周にて最大値,
τ1= T Ip
d 2 = 32
πd4 d
2T =16P Rcosα πd3
を取り,また,せん断力Fによるせん断応力τ2は仮想断面内で一定であると考えるとすると,
τ2= F
π(d/2)2 = 4Pcosα πd2 のように表される.
コイルばねに生じる合せん断応力は上の2つのせん断応力の重ね合わせにより表され,τ2およびF の方向に,
τ1とT の回転方向が一致するコイル内側の点,すなわち,断面円中心から円筒軸へ下した垂線と線材断面外周 円の交点において,最大値τmax (=τ1+τ2)を取る.よって,最大せん断応力τmaxは
τmax=τ1+τ2= 16P Rcosα
πd3 +4Pcosα πd2
=16P Rcosα πd3
( 1 + d
4R )
のように表される.コイルの円筒断面円半径Rに比べて,線材の直径dが小さい密巻ばねの場合には,d/R≪1 であるから,最大せん断応力は上の式の第2項を無視して,
τmax≈ 16P Rcosα πd3 ,
(
∵ d 4R < d
R ≪1 )
のように近似することができる.
コイルばねのたわみと呼ばれる垂直方向変位δは主として,ねじりモーメントT による直径dの線材断面の ねじれにより,コイルの弦巻角の微小な変化により生じる.微小幅dlの円筒形線材領域に生じるねじれ角dϕは
dϕ= T
GIpdl, (0<dϕ≪α≪1)
のように表される.直径d,微小幅dlの円筒形線材領域からRの距離にある円筒軸中心において,Rdϕのねじ れを生じるが,これは円筒軸からαだけ傾斜した方向にRsin dϕのずれを生じる.今,微小幅dlおよびねじれ 角dϕを有限の値∆l,∆ϕであるとすると,ずれRsin ∆ϕは
Rsin ∆ϕ=R∆ϕ+o(∆ϕ) であり,∆l→0では,∆ϕ→0となり,
Rsin dϕ=Rdϕ
が成立し,ずれをねじれで置き換えてよいことが確認される.ずれRsin dϕを円筒軸方向に射影したものが「コ イルばねのたわみ」と呼ばれる垂直変位量∆δであるから,
∆δ=Rsin ∆ϕ·cosα
=R∆ϕcosα+o(∆ϕ) のように表される.よって,∆l→0すなわち,∆ϕ→0では,
dδ=R(dϕcosα)
の関係が成立し,これは,傾斜した微小領域をRだけ離れた円筒軸から見ると,傾きを考慮しない微小領域の ねじれ角がdϕ·cosαであるように見なしてよいことを意味する.既出の関係式dϕ=T(GIp)−1dlを用いると,
上式は
dδ=Rdϕcosα=R ( T
GIpdl )
cosα= T R
GIpcosα·dl のように書き直され,さらに,密巻き円筒コイルばねの場合は,α≪1であるから,
dδ≈ T R
GIpdl, (∵α≪1)
のように近似される.コイルの有効巻き数をnとして,dδをばねの全有効長l= 2π(R/cosα)·nにわたって積 分し,垂直方向の全体の伸びδを求めると,
δ= T Rcosα GIp
∫ l
0 dl= (P Rcosα)Rcosα Gπd4
32
·l= 32P R2lcos2α πGd4
= 32P R2×2π(R/cosα)n·cos2α
πGd4 = 64R3ncosα Gd4 P
= 4πR2n Gd τmax,
(
∵τmax≈16Rcosα πd3 P
)
によって与えられる.さらに,ばねを単位長さたわませるために要する荷重をkとすると,フックの法則の関係式 P=kδ,
(
k= Gd4 64nR3cosα
)
が得られる.ここで,比例定数kがコイルばねのばね定数に相当する.
ところで,上の議論で無視した曲げモーメントMと角度αを考慮すると,外力Pおよび円筒軸に垂直な面か ら角度αだけ傾斜した面内において曲げモーメントはたわみ変形を生じ,その多くはRの変化に寄与するが,α がゼロでないためにその一部が軸方向に射影され,垂直変位量に影響を与える.今,微小領域の円筒内側に引張
り応力を発生し,円筒外側に圧縮応力を生じる曲げモーメントM を負であるとすると,幅dlの微小領域に生じ るたわみ角diは後述するたわみの微分方程式
di
dl =−−M EI を満たさねばならない.よって,
di= M
EIdl=P Rsinα EI dl の関係が成立する.ここで,円形断面の断面2次モーメントIは
I= Ip
2 =πd4/32 2 = πd4
64
である.幅dlの微小領域がたわみ角diを生じると,微小領域からRだけ離れた円筒軸中心において,円筒軸か らαだけ傾斜した方向にRsin di (=Rdi)のたわみを生じ,これは円形仮想断面の法線ベクトルdlは円筒軸に 対して角度π/2 +αだけ傾斜しているから,たわみ角diによる垂直変位量の変化dδ′は
dδ′=Rsin di·sinα=Rdisinα=R
(P Rsinα EI dl
)
sinα= P R2sin2α E(πd4/64)dl
= 64P R2sin2α πEd4 dl
のように表される.dδ′をばねの全有効長l= 2π(R/cosα)·nにわたって積分し,曲げモーメントM による垂 直方向の伸びδ′を求めると,
δ′ =64P R2sin2α πEd4
∫ l
0 dl= 64P R2lsin2α πEd4
=64P R2×2π(R/cosα)n·sin2α
πEd4 =128P R3nsin2α Ed4cosα
のように表される.よって,ねじりモーメントTと曲げモーメントMの両方による垂直方向の伸びδ+δ′は δ+δ′ =32P R2lcos2α
πGd4 +64P R2lsin2α
πEd4 = 32P R2l πd4
(cos2α
G +2 sin2α E
)
=64P R3n d4cosα
(cos2α
G +2 sin2α E
)
, (
∵l= 2πR(cosα)−1n)
によって与えられる.α≪1である密巻き円筒コイルばねの場合は,上式にα= 0を代入して,
δ+δ′ ≈64R3n
Gd4 P, (∵α≪1) の近似式を得る.
密巻き円筒コイルばねのひずみエネルギー U¯ = 1
2P(δ+δ′)≈ 1 2P δ= 1
2P64nP R3
Gd4 = 32nP2R3 Gd4
粗巻き円筒コイルばねのひずみエネルギー U¯ =∑1
2P(δ+δ′) = 1 2MMl
EI +1 2T T l
GIp = 1 2
(M2l EI + T2l
GIp
)
= 1 2
(P Rsinα)2(2π(R/cosα)n) Eπd4
64
+(P Rcosα)2(2π(R/cosα)n) Gπd4
32
=32nP2R3 d4cosα
(cos2α
G +2 sin2α E
)
4 真直ぐばりの曲げとせん断力
棒のように長い部材がその中心軸に対して直角方向外力や偶力を受ける部材をはりといい,軸が真直ぐなはり を真直ぐはりという.また,はりが支点から受ける反力が静的なつりあい条件のみから求めることができるはり を静定はりと呼び,はりの支持方法には移動支点(ローラー支点),回転支点(ヒンジ支点),固定支点がある.
軸方向の移動が許容される移動支点ははりの軸に垂直な方向にのみ反力が生じる.軸方向の移動ができないが回 転移動が許容される回転支点は,傾いた方向の反力が生じ,偶力を生じない.固定支点は移動も回転も許容しな いため,反力は垂直方向から傾き,かつ偶力が発生する可能性がある.
はりにかかる荷重には,1点に集中して加わる集中荷重とある範囲に分布して働く分布荷重がある.はりの分 布荷重は単位長さあたりの荷重wで表され,wが分布範囲で一定である場合の分布荷重を特に等分布荷重とい う.集中荷重がはりの軸に対してθだけ傾いた方向に働く場合には,通常,荷重をはりの軸方向の軸力Wcosθ とそれと垂直な方向の横荷重Wsinθに直交分解して解析する.はりに作用する外力と曲げモーメントがはりの 対称軸(xy面)と横断面図心を連ねた中心軸(x軸)を含む面内に働く働くものとする.このようなxy対称面 内に受ける曲げを対称曲げという.
静定はりには自由端と固定端を有する片持ちばりと移動支点と回転支点を両端とする単純支持はりがある.単 純支持はりの一端は回転支点であるが,他端において軸方向移動可能であるため,はりに生じた軸方向の伸縮は 軸力を生じず,両端の反力は共に軸に垂直となる.また,両端を固定端とするはりは両端の反力と支点モーメン トが力のつりあいと力のモーメントのつりあい条件のみから決定できないため不静定である.