第 II 部
8.2 相反定理
によって与えられる.ここで,s0は中心軸の長さに相当する.通常の曲がりばりでは,断面高さが曲率半径に対 して十分に小さいため,軸力のたわみに及ぼす影響はしばしば無視される.前述のひずみエネルギーU¯の式の積 分内の第1項と2項を無視し,さらに,
Aρ0e=Aρ20 κ
1 +κ≈Aρ20κ=I のような近似を用いると,
U¯ ≈
∫ s0
0
1 2AE
M2 ρ0eds0=
∫ s0
0
M2 2EIds0
のように表される.
ポイントを学ぶ材料力学・例題8.3 直径d1,長さl1の領域1と直径d2,長さl2の領域2が同心円状に連結さ れた段付き真直ぐ丸軸があり,領域2の断面が壁に固定されている.直径d1の領域1の自由端と直径d2の領域 2の連結部にそれぞれ,ねじりモーメントT1とT2を作用させるとき,連結された丸軸全体に蓄えらえるひず みエネルギーを求めよ.
解答 直径d1,長さl1の部分に作用するねじりモーメントはT1である.直径d2 (> d1),長さl2の部分には,
ねじりモーメントT2に,直径d1の部分との連結断面を通じてねじりモーメントT1が加わり,壁から受ける反 力はT1+T2である.よって,直径d2 部分に作用するねじりモーメントはT1+T2となる.X =x−l1とおい て,ひずみエネルギーU¯を求めると
U¯ =
∫ l1+l2
0
T2(x) 2G·Ip(x)dx=
∫ l1
0
T12
2G·Ip1dx+
∫ l1+l2
l1
(T1+T2)2 2G·Ip2 dx
=
∫ l1
0
T12
2G·Ip1dx+
∫ l2
0
(T1+T2)2
2G·Ip2 dX= T12l1
2G·Ip1 +(T1+T2)2l2
2G·Ip2
となり,それぞれの部分のひずみエネルギーの和となることが分かる.
図71: (a)一つの横荷重が作用する単純支持はりと(b)その自由物体図,および,(c)x < a(d)x > aにおける 長さxのはりの自由物体図.
0≤x≤aでは,図bにおける左側のような,左端x= 0に上向きにRAを有する全長xのはりを考え,右端 に反時計回りの未知の支点モーメントM を追加する.距離xの断面を中心とする力のモーメントのつりあい
M(x)−RAx= 0 から,
M(x) =RAx= bW l ·x i(x) =−
∫ 1
EIM(x)dx=−
∫ 1 EI
bW
l xdx=− W EI·l
(bx2 2 +C1
)
v(x) =
∫
i(x)dx=− W EI·l
∫ (bx2 2 +C1
)
dx=− W EI·l
(bx3
6 +C1x+C2
)
となる.ここで,C1,C2は積分定数である.
a≤x≤lにおいては,図cにおける右側のような,右端x=lに上向きのRBを有する全長(l−x)のはりを 考え,左端に時計回りの未知の支点モーメントMを追加する.このはりの左端を中心とする力のモーメントの つりあいを考えると,
−M(x) +RB(l−x) = 0 が成立する.ゆえに,
M(x) =RB(l−x) = a
l ·W(l−x) i(x) =−
∫ 1
EIMdx=−
∫ 1 EI
a
l ·W(l−x)dx=− W EI·l
∫
a(l−x)dx=− W EI·l
∫
aX(−dX)
= W
EI·l (aX2
2 +C3
)
= W
EI·l (a
2(l−x)2+C3
)
ここで,X=l−x,dx=−dXである.
v(x) =
∫
idx= W EI·l
∫ (aX2 2 +C3
)
(−dX) =− W EI·l
(aX3
2·3 +C3X+C4
)
=− W EI·l
(a
6(l−x)3+C3(l−x) +C4)
ここで,C3,C4は積分定数である.x= 0およびx=lの両端において,たわみv= 0でなければならないので,
0 =− W EI·l
(b·03
6 +C1·0 +C2
)
および,
0 =− W EI·l
(a
6(l−l)3+C3(l−l) +C4) より,
C2=C4= 0
が得られる.また,x=aの荷重点においてたわみ曲線は連続でなければならいから,左端から荷重点に漸近し た場合のたわみ角およびたわみと,右端から荷重点に漸近した場合のそれらは等しいので,
− W (
ba2 +C1
)
= W (a
(l−a)2+C3
)
および
− W EI·l
(ba3
6 +C1a+ 0 )
=− W EI·l
(a
6(l−a)3+C3(l−a) + 0) が成立する.ここで,l−a=bであるので,
C1=−ab
6 (a+ 2b) C3=−ab
6 (2a+b) を得る.C1,C2,C3,C4を代入して,たわみ角iおよびたわみvは
i(x) = bW 6EI·l
{a(a+ 2b)−3x2}
(0≤x≤a) i(x) = aW
6EI·l
{3(l−x)2−b(2a+b)}
(a≤x≤l=a+b)
v(x) = bW 6EI·lx{
a(a+ 2b)−x2}
(0≤x≤a) v(x) = aW
6EI·l
{b(2a+b)(l−x) + (l−x)3}
(a≤x≤l=a+b)
のようにそれぞれ表される.今,図8.10のように,長さlの単純支持はりに,左端からの距離がa1(=l−b1)の 点Cに集中荷重W2のみが外力として作用しているとすると,前の2式において,
a−→a1
b−→b1 W −→W2 とと置き換えればよいから,たわみv′は,
v′(x) = b1W2 6EI·lx{
a1(a1+ 2b1)−x2}
= b1W2
6EI·lx{
(l−b1)2+ 2a1b1)−x2}
= b1W2 6EI·lx{
(l−b1)2+ 2a1b1)−x2}
= b1W2 6EI·lx{
l2−b21−x2}
= (0≤x≤a1)
v′(x) = a1W2 6EI·l
{b1(2a1+b1)(l−x) + (l−x)3}
= a1W2
6EI·l(l−x)[{
2a1b1+ (l−a1)2}
+ (l−x)2]
= a1W2
6EI·l(l−x)[
l2−a21+ (l−x)2]
(a1≤x≤l=a1+b1)
のように求められる.このとき,左端からa2(=l−b2)の距離にある点BにおけるたわみをvB′ として求めると,
vB′ =v′(a2) = W2
6EI·lb1a2{
l2−b21−a22}
である.次に,点Cの荷重W2を取り去り,位置x=a1の点BにW1の集中荷重を作用させたときの位置x=a2 の点CにおけるたわみvC=v(a1)を求める.W2を作用させた場合の置き換えと同様に,
a−→a2
b−→b2
W −→W1
と置き換えて,W1のみを作用させたときのたわみvを書き表すと,
v(x) = b2W1
6EI·lx{
a2(a2+ 2b2)−x2}
= b2W1 6EI·lx{
l2−b22−x2}
= (0≤x≤a2)
v(x) = a2W1 6EI·l
{b2(2a2+b2)(l−x) + (l−x)3}
= a2W1
6EI·l(l−x)[
l2−a22+ (l−x)2]
(a2≤x≤l=a2+b2) のようになるので,点BでのたわみvCは
vC=v(a1) = a2W1
6EI·l(l−a1)[
l2−a22+ (l−a1)2]
= W1
6EI·lb1a2(
l2−a22+b21) によって与えられる.これを先に求めたv′Bと比較すると,
vC
W1 = vB′ W2
(
=b1a2(
l2−a22+b21) 6EI·l
)
の関係式が得られる.よって,
W1vB′ =W2vC (94)
となり,前式の左辺は,「点Bに作用するW1が(別の外力W2の作用によって生じる)W1方向の変位vB′ に対し てなす仕事」であり,これが右辺の「点Cに作用するW2が(別の外力W1の作用によって生じる)W2方向の 変位vCに対してなす仕事に等しいことを意味する.これは相反定理と呼ばれる一般的な法則として知られ,物 体のA,Bの2点のそれぞれ独立に外力を作用させた2つの状態に加え,AとBのそれぞれを多数の点に置き 換えて複数の外力印加を行う2つの状態などでにも適用できる.