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速度ベクトルの差

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第 6 章 ベクトル 73

6.11 速度

6.11.2 速度ベクトルの差

道路OA, OBは互いに45 の角度を もち,互いに見通しの良い所にあるとし ます. 図のように, OA上を自動車 Pが 30 [km/h] の速度 −v→P で, OB 上を自動 車 Qが60 [km/h] の速度 −→vQ で走って います. このとき, Q は P から見ると どのような速度 −→v で動いているように 見えるでしょうか.

これは図6–21のように表されます. 道路に対する Q · · · · −→vQ

道路に対する P · · · · −v→P Pに対する Q · · · −→vQ− −→vP

図6–21 速度ベクトルの差 これを 速度ベクトルの差,あるいは,

P に対するQ (P から見たQ) の相対

速度 と言います.

6.11. 速度 89 数値を用いて計算してみましょう. いま,

|−v→P|= 30 [km/h] , |−→vQ|= 60 [km/h]

であるのですから, OAをx 軸とし, y 軸を OAに垂直にとると, −v→P は,

−→

vP= 30−→

i = (30,0) であり, −→vQ は,図6–22より

−→vQ= 60 cos 45−→

i + 60 sin 45−→ j

= 30 2−→

i + 30 2−→

j

= (30

2, 30 2 )

従って, 図6–22 −→vQ を考える

→v = (vx, vy) = −→vQ− −v→P

= (30

230, 30

20) = (12.3, 42.3) 速度の大きさ,つまり速さは

v=|−→v| = p

12.32+ 42.32

= 44.1 [km/h]

となります.

次に,−→v の向きを求めるために, 図6–23に示す角度α を考えてみま しょう. 先の結果より

tanα= vy

vx = 42.3

12.3 = 3.43 となるので,α は三角関数表より

α;74

となります. 6–23 −→v の向きを考える よって, P から見て Qは左前方 約 74 の方向に, 44.1 [km/h] で遠ざかって 行くように見えることがわかりました.

練習 11. 静水を V1 = 0.5 [m/s]で進む ボートが,V2 = 0.3 [m/s] の速さで流れ ている幅50 [m]の川を渡ります. 川の流 れの方向と垂直に渡るには,ボートのへ さきを川上方向ヘ何度傾ければよいです か. また,そのとき,何秒で渡れますか. 練習12. 川幅が40 [m],流速が6.0 [m/s]

の川がある. A点から対岸のBを目指し, 川岸に直角に 8.0 [m/s] の速さでボート を漕ぎだした. 実際にボートが進む速度 の大きさと向きを求めなさい. また,対 岸につく場所はどこですか.

専門科目へのステップ・アップ

「機械系」

機械を設計するとき,力のかかり具合やその影響を考えるためにベクトルを 利用します. 特に,力のつりあいの考え方を十分理解しておく必要があります.

「電気・電子系」

時間とともに変化する電圧や電流,あるいは電磁波を扱うときに,ベクトル で表現すると,たいへん便利でわかりやすくなります. 特に, 交流回路はベク トルで解析します.

「化学系」

化学分野では,気体や液体の流れなど,工場で化学製品が作られていく工程 で起こる現象を理解するには,ベクトルの知識を大いに必要とします.

「建築系」

構造力学や材料力学では, ベクトルを利用します. トラス構造のように,ベ クトルの性質を利用しないと解けない構造形式もあります.

6.11. 速度 91

問題

問題 1. 三角形 ABCにおいて,次の問いに答えなさい. (1) −→

AB と−→

ACを用いて−→

CB を表しなさい. (2) 次のベクトルを簡単な形で表しなさい.

−→BC−−→

BA

問題 2. 次の式を簡単にしなさい. 2 (−→a 4−→

b +−→c )2 (−→a 2−→ b +−→c ) 問題 3. 次のベクトルについて答えなさい.

−→

F1 = (2,2) ,−→

F2 = (2,−2) ,−→

F3 = (3,4) (1) 合力 −→

F を求めなさい. (2) 合力の大きさ |−→

F|を求めなさい. (

はついたままでよい) (3) 単位ベクトル −→

i ,−→

j を用いて合力 −→

F を表しなさい. (4) −→

Fx軸(水平軸)との角度は何度になるか. 必要なら三角関数表を用い なさい.

問題 4. 重量10 [N] のおもりPを丈夫 な糸でつり下げ,糸の長さがA点から20 [cm] のところでもう一本の糸で水平方 向に引っ張ったところ,図のように 30 の傾きでつり合って静止した. このとき, 糸の張力をそれぞれ −→

S1 ,−→

S2 , Pの重量 を −→

W として,次の問いに答えなさい. (1) x軸,y軸の分力の合計が 0 (つり

合っている) のときの式を立てな さい. (W は記号のままでよい) (2) −→

S1 ,−→

S2 の大きさを求めなさい. (

はついたままでよい)

(3) おもりPは上方にどれだけ移動したことになるか. 図中の h の値を求め なさい.

問題 5. 図のように,水平面と30 の角をなす摩擦のない斜面の上に, 10 [N]の 物体が斜面と45 の角をなす軽い糸でつってあります. このとき,次の問いに答 えなさい.

(1) 糸の張力を S, 斜面の抗力を N, そして重力を W としたとき, 物 体の受ける力をベクトルで図中に 示しなさい. ただし, 大きさは適 当でかまいません.

(2) x軸方向とy軸方向におけるそれ ぞれの力のつりあいの関係を, 式 で表しなさい.

(3) (1), (2)より,糸の張力S,抗力 N の値を求めなさい.

問題 6. 列車A が 36 [km/h]で進んでいます. そのとなりを, 長さ100 [m]の

列車 Bが54 [km/h] で並走して追いつきます. 列車A 内の乗客の横を列車 B

が追いついてから,追い抜いて行くまでに何秒かかりますか. 注意 1 [m/s] = 3.6 [km/h]

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