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第 4 章 RIMS を用いた高確度同位体比分析のための補正法の開発

4.3 飛行時間型 RIMS における逐次補正法の実証実験

4.3.3 逐次補正法の適用

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をFig. 4.37に示す。各パラメーターのヒストグラムと、任意の2つのパラメー

ターを軸にして得られたプロット及び相関係数が示されており、相関が最大の 時、相関係数は±1に、無相関の時は0となる。したがって、イオン計数は、主 に出力と気圧の影響を受けており、また、出力と気圧の相関は低いということ がわかる。以下では計数補正にレーザー出力 Plaserと気圧 patmを使う場合のデー タ操作を説明する。始めに、式(4-19)と同様に S 毎に平均した𝑃̅̅̅̅̅̅̅𝑙𝑎𝑠𝑒𝑟と𝑝̅̅̅̅̅̅𝑎𝑡𝑚を 用い、Miとのフィッティング平面fiを作成した。

𝑃𝑙𝑎𝑠𝑒𝑟

̅̅̅̅̅̅̅(𝑗) =1

𝑠 ∑ 𝑃𝑙𝑎𝑠𝑒𝑟

𝑆𝑗

𝑘=𝑆(𝑗−1)+1

(𝑘) (4-20)

𝑝𝑎𝑡𝑚

̅̅̅̅̅̅(𝑗) = 1

𝑠 ∑ 𝑝𝑎𝑡𝑚

𝑆𝑗

𝑘=𝑆(𝑗−1)+1

(𝑘) (4-21)

𝑓𝑖(𝑃̅̅̅̅̅̅̅, 𝑝𝑙𝑎𝑠𝑒𝑟 ̅̅̅̅̅̅) = 𝐴𝑎𝑡𝑚 𝑖𝑃̅̅̅̅̅̅̅ + 𝐵𝑙𝑎𝑠𝑒𝑟 𝑖̅̅̅̅̅̅ + 𝐶𝑝𝑎𝑡𝑚 𝑖 (4-22) ここで、Ai, Bi, Ciはフィッティングパラメーターであり、下式に示す最小二乗 法から求めることが出来る。

[

∑ 𝑃̅̅̅̅̅̅̅𝑙𝑎𝑠𝑒𝑟2 𝑃̅̅̅̅̅̅̅̅𝑙𝑎𝑠𝑒𝑟 𝑝̅̅̅̅̅̅ ∑𝑎𝑡𝑚 𝑃̅̅̅̅̅̅̅̅𝑙𝑎𝑠𝑒𝑟

𝑃̅̅̅̅̅̅̅̅𝑙𝑎𝑠𝑒𝑟 𝑝̅̅̅̅̅̅𝑎𝑡𝑚 𝑝̅̅̅̅̅̅𝑎𝑡𝑚2 𝑝̅̅̅̅̅̅𝑎𝑡𝑚

𝑃̅̅̅̅̅̅̅̅𝑙𝑎𝑠𝑒𝑟 𝑝̅̅̅̅̅̅𝑎𝑡𝑚 1 ] [

𝐴𝑖

𝐵𝑖

𝐶𝑖] = [

𝑃̅̅̅̅̅̅̅̅𝑙𝑎𝑠𝑒𝑟 𝑀𝑖

𝑝̅̅̅̅̅̅𝑎𝑡𝑚 𝑀𝑖

𝑀𝑖 ]

(4-23)

フィッティング平面の一例として 48Ti とレーザー出力、気圧の三次元平面を

Fig. 4.38に示す。イオンik番目のパルスにおける補正後の計数𝑁𝐶𝑛𝑡𝑖 (𝑘)は測定

値に補正係数αi(k)を掛けること計算でき、αi(k)はフィッティングで得られたパラ メーターの相関を利用し、全測定の平均の出力𝑃̅̅̅̅̅̅̅𝑙𝑎𝑠𝑒𝑟𝑎𝑙𝑙 と気圧𝑝̅̅̅̅̅̅𝑎𝑡𝑚𝑎𝑙𝑙 から求まる平面 上の値(基準値)と、任意の瞬間の値の比から求めた。

𝑁𝐶𝑛𝑡𝑖 (𝑘) = α𝑖(𝑘)𝑁𝑀𝑒𝑎𝑠𝑖 (𝑘) (4-24)

α𝑖(𝑘) = 1

𝑓𝑖(𝑃𝑙𝑎𝑠𝑒𝑟(𝑘), 𝑝𝑎𝑡𝑚(𝑘)) 𝑓⁄ 𝑖(𝑃̅̅̅̅̅̅̅, 𝑝𝑙𝑎𝑠𝑒𝑟𝑎𝑙𝑙 ̅̅̅̅̅̅)𝑎𝑡𝑚𝑎𝑙𝑙 (4-25)

𝑃𝑙𝑎𝑠𝑒𝑟𝑎𝑙𝑙

̅̅̅̅̅̅̅ = 1𝑘𝑚𝑎𝑥 ∑ 𝑃𝑙𝑎𝑠𝑒𝑟(𝑘)

𝑘𝑚𝑎𝑥

𝑘=1

(4-26)

94 𝑝𝑎𝑡𝑚𝑎𝑙𝑙

̅̅̅̅̅̅ = 1

𝑘𝑚𝑎𝑥 ∑ 𝑝𝑎𝑡𝑚(𝑘)

𝑘𝑚𝑎𝑥

𝑘=1

(4-27)

この計数補正を、分析試料の測定結果と、標準試料の測定結果の両方に適用 した。ただし、標準試料では波長の変化による効率の変化を測定しており、波 長の変化によっても計数が変化するため、共鳴波長において補正係数を求め、

それを他の波長にも適用した。

次に、下式に示すように、𝑁𝐶𝑛𝑡𝑖 に任意の周波数におけるイオン化効率ηi(ν) の 逆数を掛けることでイオン化効率補正を行った。

𝑁𝐸𝑓𝑓𝑖 (𝑘) = 𝜂𝑖(𝜈)−1𝑁𝐶𝑛𝑡𝑖 (𝑘) (4-28) 𝜂𝑖(𝜈) = 𝐷𝑖𝜈(𝑘) + 𝐸𝑖 (4-29) ここで、Di、Eiはフィッティングパラメーターである。46,50Tiのηi(ν) に関して

は4.3.2節でモデル計算を行ったものの、補正の単純化のため直線でフィッティ

ングした。この時、共鳴周波数における周波数の揺らぎは0.7 GHz (3σ)であった ことから、Fig. 4.39 に示すようにηiのフィッティング範囲を±1 GHzとして求 めた。最終的に得られたイオン計数𝑁𝐸𝑓𝑓𝑖 でTOFスペクトルを再プロットし、EMG でフィッティングしなおして同位体比を計算した。計数補正に用いたパラメー ターの組み合わせと、補正後の誤差についてTable 4.13にまとめた。イオン計数

Fig. 4.38 3次元平面フィッティングの様子

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とレーザー出力、温度、気圧の相関計数はそれぞれ0.41、0.06、0.44であり、

相関の強いレーザー出力と気圧を用いた時にもっとも誤差を抑えることができ た。一方、その他の組み合わせでは計数補正を行わずにイオン化効率補正のみ を行った時に比べ、誤差を抑えることが出来ていない。これは、フィッティン グに用いた関数によって傾向が異なる可能性があるが、適切なパラメーターの 組み合わせでなければ、誤差の低減に繋がらないことを示しており、互いに独 立で相関の強いパラメーターを用いることが適切な計数補正に繋がると考えら れる。

以上により、本評価実験において、出力と気圧を用いた計数補正と、波長に よる効率補正により、最大の誤差を1.65%に抑えることが出来た。測定値、イオ ン化効率補正のみでの最大の誤差はそれぞれ11.1%、1.82%であるため、イオン

Fig. 4.39 Ti同位体のイオン化効率の周波数依存性(48Tiのイオン化効率で規格化)

Table 4.13計数補正パラメーターと逐次補正後の誤差

計数補正パラメーター 46Ti/48Ti 47Ti/48Ti 49Ti/48Ti 50Ti/48Ti 出力・温度・気圧 2.47% 0.172% 1.73% 0.493%

出力・温度 2.05% 0.959% 2.28% 0.242%

出力・気圧 1.62% 0.634% 1.65% 0.531%

温度・気圧 2.04% 0.959% 2.23% 0.242%

出力 2.14% 0.773% 1.95% 0.406%

気圧 1.91% 1.34% 1.94% 0.805%

なし(イオン化効率補正のみ) 1.82% 0.984% 1.80% 0.720%

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化効率補正により80%、計数補正を組み合わせることでさらに9%誤差を抑制す ることが出来た。逐次補正法による誤差の変化の様子をFig. 4.40に示す。

また、ジルコニウムでの実験結果について、チタンの補正と同様にレーザー 出力、周波数、気圧を使って逐次補正を行った。S = 104とし、効率補正におけ る直線フィッティングは共振周波数から±0.8 GHzとした。フィッティングの様

子をFig. 4.41に示す。また、イオン化効率補正のみを行った場合についても同

様に検討したところ、それぞれの補正による誤差の変化はTable 4.14となった。

補正前の最大の誤差が3.02%だったのに対してイオン計数補正により1.36%、逐 次補正により1.18%にまで抑えることができたため、イオン計数補正により55%、 計数補正によりさらに 13%誤差が抑制された。逐次補正の前後における誤差の 変化をFig. 4.42に示す。

以上の結果より、逐次補正法により元素に依らない補正が可能であり、レー ザー出力と気圧による計数補正と、レーザー周波数によるイオン化効率補正に より、誤差2%未満が得られることが実証出来た。本実証における計数補正では、

補正係数を求めるにあたって104パルスのデータを合算・平均し、パラメーター のフィッティングには単純な関数(直線、平面)を用いたが、複数本のレーザーを 用いて高効率なイオン化を行い、データの平均数を減らし、パラメーターとイ オン計数の相関にはより高度な関数を用いることで、パラメーターとイオン計 数の相関により則した補正係数を求めることが可能になる。上記に加え、補正 に用いるパラメーターを増やすことで、誤差1%未満が期待できる。

Fig. 4.40 逐次補正による誤差の変化

(エラーバーは統計的不確かさより3σを評価)

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Table 4.14 補正による誤差の変化

91Zr/90Zr 92Zr/90Zr 94Zr/90Zr 96Zr/90Zr

測定値 3.02% 0.233% 0.351% 0.856%

イオン化効率補正のみ −0.893% −0.436% −0.707% 1.36%

計数補正+イオン化効率補正 1.18% 0.0423% 0.388% 0.550%

Fig. 4.41 Zr同位体のイオン化効率の周波数依存性

(90Zrのイオン化効率で規格化)

Fig. 4.42 逐次補正による誤差の変化

(エラーバーは統計的不確かさより3σを評価)

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