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第 4 章 RIMS を用いた高確度同位体比分析のための補正法の開発

4.3 飛行時間型 RIMS における逐次補正法の実証実験

4.3.1 実験体系

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比をTable 4.7、Table 4.8に示す。試料には株式会社ニラコ製のチタン線(直径

0.5 mm、純度99.5%)とジルコニウム線(直径0.5 mm、純度99.5%)を用い、

フィラメントの長さを90 mmにして導入した。また、実験はチャンバーの真空

度が10−8 Torr以下で行った。電極の印加電圧をTable 4.9に示す。

レーザーには、繰り返し率5 kHzで動作させたNd:YAGレーザー(DM100-532, Photonics Industries International, Inc.)の第2高調波(532 nm)で励起したTi:Sapphire レーザーを使い、目的の波長をチャンバー内の加速電極間に入射した。使用し たイオン化スキームをそれぞれFig. 4.19、Fig. 4.20に示す。また、Ti:Sapphireレ

ーザーは365.45 nmの時にチャンバー直前で23 mW 、357.68 nmの時に36 mW

であった。加速電極間に放出された原子は光子によりイオン化し、イオンは加 速電極で弾き飛ばされ、反射型の飛行時間型質量分析器(TOF-MS)で同位体を 分けてマイクロチャンネルプレート(MCP)(F9892-11, 浜松フォトニクス株式会 社)で検出され、プリアンプ(VT120C, ORTEC)で増幅後にデジタイザー(U1071A, アジレント・テクノロジー株式会社)で測定した。

チタン・ジルコニウムの安定的な単原子化として、フィラメントの抵抗加熱 を利用した原子源を作成した。原子源の体系をFig. 4.21に示す。フィラメント の上部には直径4.0 mm 、長さ30 mm相当のコリメーターが付けられており、

原子の速度広がりによるドップラー広がりを抑制すると同時に、イオン化せず に装置内部に付着し、長時間の測定により電極の支持材の絶縁性が悪化するこ とを防ぐ性能を有している。本原子源による加速電極間での粒子の広がりの計

Table 4.7 チタン天然同位体存在比 [2]

46Ti 47Ti 48Ti 49Ti 50Ti

8.0% 7.43% 73.8% 5.5% 5.4%

Table 4.8 ジルコニウム天然同位体存在比 [2]

90Zr 91Zr 92Zr 94Zr 96Zr

51.45% 11.22% 17.15% 17.38% 2.80%

Table 4.9 印加電圧

VA1 VA2 VXY VR1 VR2

Ti 1500 V 1350 V 315 V 700 V 1600 V

Zr 1500 V 1350 V 150 V 700 V 1600 V

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算結果をFig. 4.22に示す。支持材間距離が28 mmであるのに対し、原子の最大

の広がりは、電極の中心位置で16 mm、支持材位置で22 mmとなっており、絶 縁性の低下防止が見込まれる。

実験では、チタン線に4.5 A、3.9 V、ジルコニウム線に8.0 A、6.2 V印加し、

フィラメントの発光が確認出来る状態で測定を行い、共鳴波長で 2.5×106 パル ス分のデータを記録し、その後波長を0.001 nmずつずらして5×105パルスの記 録を繰り返した。

Fig. 4.19 チタン1色2段イオン化スキーム

Fig. 4.20 ジルコニウム1色2段イオン化スキーム

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Fig. 4.21 原子源と加速電極体系

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Fig. 4.22 原子の広がり

・DAQ

各種パラメーターとレーザーパルスの同期及びシステムのパラメーターの取

得用に、National Instruments社の再構築可能制御・監視システムCompactRIO (NI

cRIO-9022, NI cRIO-9114, NI 9402, NI 9870)を使ったDAQを作成し、実験室内の 温度及び気圧と、レーザー波長、出力を測定し、レーザーパルスと同期させて 記録させた。ブロック図をFig. 4.23に示す。

DAQ の構成として、光学台上に設置した温度センサー(ADT7410, Analog Devices, 分 解 能 0.0078 ℃ 、 確 度 ±5 ℃)と 気 圧 セ ン サ ー(LPS331AP, STMicroelectronics, 分解能0.02 hPa, 精度±0.1 hPa)をArduinoにより制御し、1 秒毎に室温及び気圧を取得してCompactRIOへ通信した。また、デジタイザーで レーザー1パルス毎のイオン計数を測定するのと同時に、パルス毎にトリガーを 出力させ、これをCompactRIOに入力することで個々のパルスとその瞬間の実験 条件の同期を行った。CompactRIOは最終的にPC に通信し、個々のイオン化事 象と対応させて記録した。

また、波長は基本波の一部を波長計(WS/6, High Finesse GmbH)に導入し、

出力はチャンバー通過後の光をパワー計で測定した。パワー計は、チタンの測 定では3A-SH(Ophir Optronics Solutions Ltd.)を使い約300パルス毎の測定を、ジ ルコニウムの測定ではPE9-ES-C(Ophir Optronics Solutions Ltd.)を使い1パルス毎 のエネルギーを測定した。得られたデータは室温等と同様にLabVIEWプログラ ムを使ってレーザーパルス毎に他のパラメーターと対応させて記録した。また、

レーザー線幅を FPI(SA210-5B, Thorlabs)を用いて測定したが、こちらはイオ ンの測定とは独立して行った。

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Fig. 4.23 DAQブロック図

・システムの安定化

実験室内の、特に光学系の安定化のため、Fig. 4.24に示すように光学台を囲む ようにやぐらで囲い、天板及びカーテンで仕切り、HEPAフィルタを取り付けた。

これにより、空調による風や温度の変化、埃の影響を抑えることが可能になっ た。DAQの温度センサーを用いて、カーテンにより仕切りをした場合と、しな い場合での温度の変化をFig. 4.25に示す。空調により室温が周期的に変化して いるが、この温度変化を約1/6とすることが出来た。

Fig. 4.24 光学台を取り囲むやぐら

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Fig. 4.25 やぐらに設置したカーテンの開閉と室温変化の様子