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第 3 章 原子核乾板を用いた事前評価法の開発

3.1 原子核乾板によるアルファ粒子飛跡読み出し基礎実験

3.1.2 実験体系

・試料準備

試料にはFig. 3.3に示すウラン鉱石(ウラノフェン、カリフォルニア産)を粉

末化させ、スライドガラス上に薄く広げた後、シリコーンRTVゴムを被せて固 定したものを使用した。実際に用いた試料をFig. 3.4に示す。天然ウランを用い ているためウラン系列及びアクチニウム系列の核種が含まれており、また、試 料の自己遮蔽によって試料表面から放出される α 線エネルギーは連続スペクト ルとなる。α 線スペクトロメーター(Model 7401, CANBERRA)及び MCP

(Multiport II, CANBERRA)で測定したαスペクトルはFig. 3.5となり、その最

大値は214Poの7.687 MeVであると判断できた。

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Fig. 3.3 ウラン鉱石

Fig. 3.4 ウラン鉱石試料

Fig. 3.5 試料のα線スペクトル。低エネルギー側のカウントはβ線の影響

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また、ウラン系列のうち主要なα崩壊核種は238,234U、230Th、226,222Rn、218,214,210Po の8種、主要なβ崩壊核種は234Th、234mPa、214, 210Pb、214,210Biの6種であり、一 方アクチニウム系列の主要なα崩壊核種は235U、231Pa、227Th、223Ra、219Rn、215Po、

211Biの7種、主要なβ崩壊核種は231Th、227Ac、211Pb、207Tlの4種である。ウラ ンの同位体比として天然同位体存在比(235Uが0.72%、238Uが99.28%)を用い、

どちらも放射平衡にあるとすると、半減期を考慮してβ/α崩壊比は0.74となる。

一方、軽水炉使用済み燃料中の兵器級Puの一例として、SFCOMPOに登録され

ているJPDRのJPNJP1BWR-15サンプルの同位体比(Table 3.3)を用いた場合の、

放射線のエネルギーと割合をTable 3.4に示す。ウラン鉱石試料の方がα線エネ ルギーの範囲が広いため、プルトニウム起因の αT について検討が可能であり、

また、放出頻度は小さいが、β線に対する反応も確認できると判断した。

・α線照射及び断層画像自動撮影

α 線の記録と、BG の環境放射線の影響を測定するため、1 つの原子核乾板を 分割し片方をα線記録用に、もう一方をBG測定用に使用した。使用した原子核 乾板の乳剤層厚さはOPERAフィルムが44 μm、NGITA及びNITは30 μmであ った。暗室中でα線記録用の原子核乾板にはウラン鉱石試料を設置し、BG測定 用は何も載せずに 3 日間保持した。また、それぞれの原子核乾板で同じ試料を 用いたため、実験は 3 回に分けて行い、照射終了後すぐに原子核乾板を現像し た。その後、Fig. 3.6 に概要を示す自動撮影装置を使用して断層画像を得た。本

Table 3.3 兵器級プルトニウム同位体比の一例

238Pu 239Pu 240Pu 241Pu 242Pu

同位体比 0.02500% 94.70% 4.850% 0.4000% 0.01000%

Table 3.4 兵器級プルトニウムとウラン鉱石試料の比較 [8]

兵器級プルトニウム ウラン鉱石試料 α線エネルギー 5.106 ~ 5.499 MeV

(238-240Pu)

~ 7.787 MeV (214Po) 最大β線エネルギー 0.0208 MeV

(241Pu)

3.272 MeV (214Bi)

β/α崩壊比 5.6 0.74

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装置は光学顕微鏡(ECLIPSE 50i、株式会社ニコン)の接眼部に CCD カメラ

(CSFU15CC18-B、株式会社東芝)を、対物レンズマウントにピエゾアクチュエー

ター(MD-140、株式会社メステック)を取り付け、XY自動ステージ(BIOS-105T、

シグマ光機株式会社)に原子核乾板を載せることで、3次元的な撮影を可能にし たものである。ピエゾアクチュエーターにより対物レンズ(CFI Plan Apo VC 60X

Oil, 株式会社ニコン)はZ軸方向に最大140 μm、精度0.04 μmで稼働する。また、

この対物レンズは倍率が60倍であり、開口数1.4、作動距離0.13 mm、視野116×87 μm2である。これを CCD カメラで最大1600×1200 ピクセルで撮影した。XY ス テージは1 μm毎の制御が可能であり、その精度は0.3 μmである。本装置をPC からLabVIEWプログラムで動作させ、1200視野(3.68×3.68 mm2)を深さ1.4 μm 毎に撮影し、得られた画像データから、次節で述べる α 飛跡読み出しプログラ ムにより飛跡の自動読み出しを行った。

・モデル計算体系

モンテカルロ計算による粒子・重イオン輸送計算コード PHITS [9]を用いて、

原子核乾板に入射するα粒子のエネルギーを求めた。計算体系はFig. 3.7とし、

試料と原子核乾板の間に3.0 μmの空気層と、0.50 μmのゼラチンコーティングに よる不感層があるとした。線源は直径4 mmの円盤から検出器側に2π方向にラ ンダムにα粒子を放出するとして、エネルギー分布はFig. 3.5の低エネルギー側 を外挿し、平均化したFig. 3.8を用いた。

さらに、得られた検出器入射直前のα粒子のX、Y、Z方向のエネルギーと座 標から飛跡の入射角と、エネルギーと飛跡長の関係(Fig. 3.1)を用いて飛跡長 分布を求めた。

Fig. 3.6 自動撮影装置の概要

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Fig. 3.7 モデル計算体系

Fig. 3.8 モデル計算のα線源スペクトル