医薬分業の進展に伴い薬局薬剤師は外来の薬物治療、病院の薬剤師は入院患者の薬物治 療に当たるという考えが定着しつつある。その中で患者情報の共有化が薬局と病院の間で、
医療の継続性・一貫性を保つための医療体制の構築と共に整備されつつある。その具体的 な試みとして「地域連携パス」の活用や「退院時の共同指導」を行い、薬局と病院の間で 診療情報の共有化が進められている。現在、他の職種においても、例えば看護師同士の看 護サマリーによるケアの引継ぎや、最近では理学療法士等も情報提供書による引継ぎを 行っている。今後、社会の高齢化と医療の進歩によって、薬局と病院との関係をさらに強 化した継続性・一貫性のある薬物治療が必要になってきている。
(1)地域連携パスの活用
ここでの「パス」とは、良質な医療を効率的かつ安全、適正に提供するための手段とし て開発された診療計画書のことである。また「地域連携パス」とは、切れ目のないサービ スを提供するために、様々な医療の専門家が協働し、疾病の回復過程に沿った一連のサー ビスを体系化したパスのことである。現在地域連携パスは、大腿骨頚部骨折、脳卒中及び 各種のガン患者の治療等で用いられている。今後、医療ネットワークの構築と共に薬局・
病院薬剤師は、診療の内容や治療計画の流れが、患者はもちろん分担の医療者にもわかる 形式での情報の共有化が求められることから、一層の連携強化を図る必要がある。
図11:地域連携パス
(2)退院時共同指導と情報の共有化
退院時の共同指導は、医療安全を目指した薬局・病院薬剤師のシームレスな情報の伝達 と共有化を目的として、平成20年度(2008年度)の診療報酬改定で新設された。また、平 成20年度(2008年度)に日本薬剤師会が公表した「医療安全のための薬局薬剤師と病院(診 療所)薬剤師の連携事業報告書」は、今後の両者の情報の共有化の手段として「お薬手帳」
(薬局側)、「退院時服薬指導書」(病院側)、「薬剤適正使用のための施設間情報連絡書」(図 12)の活用を指摘している。また、日本病院薬剤師会では、退院時薬剤管理サマリー(図 13)を作成し、在宅介護者や主治医、保険薬局など在宅サービス提供施設のスタッフと
患者の薬物療法や服薬上の注意点、調剤上の工夫などの情報を共有するためのツールとし ての活用を促進している。
しかし、この報告書で指摘しているような「お薬手帳」や「指導書」等のやり取りだけ でなく、薬局・病院薬剤師間の理解を深めるためには、合同研修会等の開催を通して、お 互い顔の見える関係になることが望ましい。
平成22年(2010年)には医療保険に初めて介護保険との連携が導入され「介護支援連携 指導料」が創設され、退院時共同指導に加えて入院医療チームと在宅医療・介護チームの Face to Faceの情報共有が可能となった。退院をきっかけに症状の 悪や再入院といった 不測の事態を招くことのないよう、今後さらに一歩進んだ薬薬連携を展開し、地域の情報 共有が加速度的に進むことが期待される。
図12:薬剤適正使用のための施設間情報連絡書
図13:入院中の薬物療法を退院後も継続するために
「薬剤管理サマリー」の発行
日本病院薬剤師会作成
図14:情報を共有し地域と連携