第 4 章 積雪荷重時における挙動と進行性ポンディングの検討 ・・・・
4.4 載荷範囲の違いに関する検討
4.4.2 載荷範囲の違いによる数値解析結果
図4.4.3に、アスペクト比毎の反転荷重-載荷範囲関係を示す。アスペクト比
2では、載荷範囲30%で反転荷重が最も小さく(「最小反転荷重」と称す)、容易に変
形することが把握された。また、アスペクト比が大きくなるほど反転荷重は小さくなる と共に、反転が生じる載荷範囲も、小さくなる傾向が確認された。この理由として、アスペクト比が大きくなると初期形状の内部空気量が大きくなり、内部空気の移動を 生じやすくなることが考えられる。また、最小反転荷重が存在することから、ある設 計積雪荷重に対して、反転を生じさせないために必要な初期内圧が、アスペクト比 毎に存在する可能性が示唆された。加えて、載荷荷重が初期内圧以下では膜面 の反転は生じないことも把握された。
本検討により、設計を行う上でレンズ状二重空気膜構造に反転を生じさせない ための必要初期内圧が存在することが示された。例えば、アスペクト比2では積雪 荷重が1,200Paであった場合、初期内圧が750Paあれば、どのような範囲に積雪が 生じたとしても反転が生じないことになる。アスペクト比20においては、最小反転荷 重がほぼ初期内圧と同様であるため、設計積雪荷重とほぼ同等の初期内圧が必 要であることが確認された。
図4.4.4に、アスペクト比毎の反転時内圧-載荷範囲関係を示す。アスペクト 比が大きくなるほど、最小反転荷重時の初期内圧からの内圧増加は小さくなること が把握された。これは、アスペクト比が大きいほど内部体積が大きくなり、内部空気 の移動が容易なため、体積変化(内圧変化) をほとんど伴わない変形、すなわち伸 び無し変形に近い性状が顕著に現れることが原因と考えられる。
図4.4.3 アスペクト比毎の反転荷重-載荷範囲関係
図4.4.4 アスペクト比毎の反転時内圧-載荷範囲関係
図4.4.5に、反転荷重が最小となる載荷範囲を示す。各アスペクト比で反転荷 重が最小となる載荷範囲をプロットした図であり、反転が最も生じやすい載荷範囲 は、アスペクト比が大きくなるほど全体に対する割合は減少する傾向を有していて、
アスペクト比に対して反比例の減少傾向を示した。アスペクト比が大きくなるほど、
内部空気量が多くなることから、アスペクト比が大きくなるにつれて内部空気が移動 しやすくなることが要因として考えられる。
図4.4.6に、反転荷重が最小となる載荷範囲時の反転時内圧を示す。最小反 転荷重時の内圧はアスペクト比が大きくなるに従い減少していき、初期内圧(750Pa) に漸近していく傾向が見られた。
以上のことから、レンズ状二重空気膜構造の反転を生じさせないためには、アス ペクト比が大きいほど付加荷重時の内圧増加が期待できないため、大きな初期内 圧が必要であることが把握された。
図4.4.5 反転荷重が最小となる載荷範囲
図4.4.6 反転荷重が最小となる載荷範囲時の反転時内圧