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第 1 章 序論

1.2 研究の目的

ETFEフィルムを用いたレンズ状二重空気膜構造は、既に世界中で多くの建物

に採用されている。しかし、材料に対する許容応力度のガイドラインはあるものの、

様々な荷重条件に対する適切な設計クライテリアや数値解析手法は、現状では確 立されていない。

特に内圧制御の仮定は、内部体積量が大きい一重空気膜構造に用いられる定 圧型が一般的であるが、レンズ状二重空気膜構造のように規模が比較的小さく、空 気密度の高い構造では、内圧一定の仮定を満足できない場合もある。よって密閉 の影響による急激な内圧変動等に対する評価が重要となるが、これまで充分に行 われていない。

加えて、レンズ状二重空気膜構造を採用する際に、第1降伏点を超え約10%の ひずみまで許容した設計が一般的に行われているが、ETFE フィルムが降伏した後 のレンズ状二重空気膜構造の性状は不明確であり、詳細な検討は充分になされて いない。

このような状況の中で、ETFE フィルムの材料非線形性を考慮した定圧型と密閉 型の性状の違いを把握し、積雪荷重や風荷重に対する挙動を予測する数値解析 手法を確立する必要がある。

また上記に加え、積雪時の偏分布の影響や貯水による進行性ポンディング、暴 風時のような過大な負圧荷重の際に生じる内圧減少・消失時の挙動等、密閉型特 有の留意点を多角的に考慮した構造設計フローと適切な内圧設定手法を確立す る必要があると考える。

前述の研究の背景を踏まえて、密閉型レンズ状二重空気膜構造に関する以下 の2つのテーマが重要と考え、本論文の目的とする。

(1)密閉型のレンズ状二重空気膜構造の挙動に対する評価技術の確立

(2)密閉型の特性に留意した構造設計フローの確立と内圧設定手法の提案 なお、本論文においては、平成29年6月の法改正により国内でも使用することが 可能となったETFEフィルムを用いて、密閉型レンズ状二重空気膜構造に対する数 値解析および実験を行い、上記のテーマについて検証する。

図1.2.1に ETFEフィルムを用いたレンズ状二重空気膜構造の現状と研究目 的を示す。

なお、本研究で対象とする密閉型のレンズ状二重空気膜構造は、最適な初期 内圧を与えれば、その後は付加荷重に対して加圧装置により内圧をコントロールす る必要はないため、合理的でパッシブであり、かつメンテナンスが容易なコスト低減 できる汎用性の高い構造システムとなる可能性がある。

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<現 状>

海外ではETFEフィルムの許容応力度を示すガイドラインは存在

国内では、塑性化を許容した告示を平成29年6月に施行

構造設計における内圧制御の考え方は定圧型が一般的であり、密閉型 の挙動の考えは考慮されていない

ETFEフィルムの材料非線形性を考慮したレンズ状二重空気膜構造の

挙動が明確に検証されていない。

ETFEフィルムの材料特性(材料非線形性)

載荷 載荷

レンズ状二重空気膜

P: 内圧 V: 体積

内圧制御方式

密閉型レンズ状二重空気膜構造の構造特性の把握と 内圧設定手法の提案

<本研究のテーマ>

<本研究の目的>

(1) 密閉型のレンズ状二重空気膜構造の挙動に対する評価 技術の確立

(2) 密閉型の特性に留意した構造設計フローの確立と内圧 設定手法の提案

<本研究の目的>