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第 3 章 密閉型レンズ状二重空気膜構造の基本構造特性の把握

3.6 まとめ

本章では、ETFEフィルムを用いたレンズ状空気膜の密閉型と定圧型それぞれ の特徴や力学性状の把握を目的とし、数値解析を用いて内部体積量を変化させな がら、内部体積量と内圧変動の関係性を確認した。さらに、密閉型と定圧型それぞ れに対して、全面正圧載荷、全面負圧載荷および半面正圧載荷における挙動に ついて比較検証を行った。加えて、密閉型における初期内圧およびライズ・スパン 比が膜応力に与える影響についても検証を行った。得られた知見を以下に示す。

(1)内部体積の影響について

① 今回の検討範囲では、密閉型の内部体積を大幅に増大させない限り、

密閉型を定圧型と同等の性状が得ることができないことが把握された。

② 従来の定圧型による空気膜構造の設計法を密閉型に適用することは、

危険側の評価につながることが示唆された。

(2)全面正圧載荷時の密閉型の挙動について

① 荷重<内圧の範囲では、荷重の増加に伴い内圧が増加する傾向を示 すが、載荷側の膜面の応力が減少するものの張力消失までは至らず、

荷重に対して上下膜面で抵抗する性状を示した。

② 荷重=内圧時に、載荷側の膜面の張力消失に伴い下膜面の応力が増 加し、下膜面のみで荷重に抵抗し始める性状を示した。

③ 荷重>内圧の範囲になると、上膜面の張力消失により荷重と内圧が釣 り合う性状となり、荷重の増加に伴い内圧も比例して増加し変位も大き くなる性状を示した。

(3)全面負圧載荷時の密閉型の挙動について

① 低荷重域においては、非載荷側の膜面応力が減少するが、張力消失

までには至らず、上下膜面で抵抗する性状を示した。

② 荷重の増加に伴い内圧が減少し、内圧が0になるまで上下膜面で荷重 に抵抗するが、非載荷側の膜面張力消失後は、載荷側の膜面のみで 抵抗する性状を示した。

③ 非載荷側の膜面張力消失後には荷重の増加に伴い、非載荷側の膜が 上向きに変位する性状を示した。これは、二重空気膜構造の内部空間 が密閉され内部空気量が一定であることに起因する密閉型特有の性 状であることが把握された。

④ 張力消失後の非載荷側の膜面は内圧および荷重が作用しないため、

不安定な挙動を示す性状を示した。

(4)半面正圧載荷時の密閉型の挙動について

① 載荷側の膜面において、直接荷重が載荷される範囲は載荷方向に変 位し、非載荷側の膜面は逆方向に膨らむ性状を示したことから、内部 空気が移動していることが把握された。

② 非載荷側の膜面変位は、全面正圧載荷と同様に、荷重が内部空気を 介して非載荷側の膜面に作用するため、均等に変位する性状を示した。

③ 内圧の増加量は、全面正圧載荷と比べてやや小さくなる性状を示した。

(5)密閉型の初期内圧、ライズ・スパン比の影響について

① 初期内圧を変更した場合、正圧載荷では上膜面の張力消失までの荷 重域において差が見られるが、張力消失以降の荷重域は概ね同様の 膜面応力となった。負圧載荷においても下膜面の張力消失までの荷重 域において差が見られるが、それ以降は同様の結果が見られた。

② 膜面張力消失を許容しない設計方針においては、初期内圧を上げるこ

とで抵抗力を上げることができるが、膜面張力消失後は初期内圧の効 果はほとんどないことが把握された。

③ ライズ・スパン比が大きいほど膜応力が小さくなる傾向を示した。

以上から、密閉型は正圧・負圧荷重共に膜面張力が消失しない限り上下膜面 一体で抵抗するため、片側の膜面のみで抵抗する定圧型と比べて剛性も高く、膜 面応力も小さくなる傾向があることが把握された。膜面張力消失後は、定圧型は正 圧荷重時には荷重が内圧より大きくなるとすぐに反転してしまい、積雪時の進行性 ポンディング現象を生むリスクが高まるため、通常は加圧装置を用いて内圧を上げ て抵抗力を高めている。一方、密閉型は加圧装置によるコントロールを行わなくても 十分な剛性を有しているため、そのリスクが軽減され冗長性も高いことが確認された。

第 4 章

積雪荷重時における挙動と進行性ポンディングの検討