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内圧を考慮した検討結果

第 4 章 積雪荷重時における挙動と進行性ポンディングの検討 ・・・・

4.6 内圧の違いによる検討

4.6.2 内圧を考慮した検討結果

図4.6.3に、各荷重時における内圧値を示す。比較する荷重状態は、初期形 状形成時、積雪荷重時(2,000Pa載荷時)および進行性ポンディング考慮時である。

結果、全てのパラメータでオーバーフローの発生が確認された。立体裁断ありモデ ルの内圧値は、積雪荷重時においては、初期内圧によらずほぼ同様の内圧増加 量となり、内圧が増加することで付加荷重に抵抗することが確認された。例えばアス ペクト比2では、増加量にして約550Pa~650Paであった。この傾向はアスペクト比に よらず、ほぼ一定であることが把握された。また、アスペクト比が大きくなるほど内圧 の増加量は小さい傾向を有する。これは、アスペクト比が大きいほど内部体積量が 大きいためである。立体裁断の有無により比較すると、立体裁断なしモデル(初期 内圧365Pa)は、立体裁断ありモデルの初期内圧300Paモデルと、内圧の増加傾向 はあまり変わらないことが把握された。立体裁断の有無によらず、積雪荷重時の内 圧増加傾向は同様であることが示唆された。進行性ポンディング考慮時は、初期内 圧を増加させることで内圧の増加量が小さくなる傾向を示した。これは、初期内圧 を大きくすることで積雪荷重時の変位が小さくなり、貯水量が少なくなったためと考

えられる。図4.6.4に、各荷重時の最大膜応力の結果を示す。立体裁断ありモデ ルは積雪荷重載荷後、初期内圧によらず、上膜最大応力がほぼ一定の値となるこ とが把握された。これは、初期内圧の増加により初期膜面応力が増大する一方で、

剛性が大きくなることで膜面応力の増加量が減少したことが要因と考えられる。しか し、オーバーフロー時の最大膜応力は初期内圧の増加により小さくなる傾向が確 認された。これは図4.6.3と同様に、初期内圧の増加により積雪荷重時の変位が 小さくなり、貯水量が少なくなるためだと考えられる。アスペクト比2~4においては 初期内圧を600Paとすることで、オーバーフロー時の膜応力はフィルムの第一降伏 応力の16MPa以下となり、ETFEフィルムが降伏をしない状態となる。また、立体裁 断なしモデルは、上膜面、下膜面の最大膜応力に差をほとんど生じないが、立体 裁断ありでは、上膜の最大膜応力が下膜に比べ大きくなる事が確認された。これ は、立体裁断を行った場合、上膜の載荷箇所の変形と共に、上膜の載荷を行わな い範囲が大きく膨らむ性状を示し、載荷領域の端部において膜面の引張応力が増 加することで、上膜の最大膜応力が大きくなったためと考えられる。一方で、アスペ クト比8、初期内圧10Paのモデルでは、下膜面においても応力が増大することが確 認された。これはアスペクト比が大きく初期内圧が小さい場合には、上膜面が下膜 面に接触することで、下膜面の応力が大きくなったためと考えられる。しかし、同様 のアスペクト比で初期内圧を600Paとしたモデルでは、下膜面の応力増加が減少し ている。このことから初期内圧を大きくすることで、下膜の接触による応力増加は回 避可能であることが示唆された。

また、進行性ポンディングの影響は、変形が生じやすく貯水量の多くなるモデル において最も影響が大きいと考えられるが、本検討範囲におけるアスペクト比8、初 期内圧10Pa のモデルにおいても、オーバーフローが確認された。これは、アスペク ト比が大きく、初期内圧が小さい場合においても、貯水考慮時に上膜面が下膜面

に接触し、下膜面も荷重に抵抗するため、崩壊に至らなかったと考えられる。以上 のことから、本検討で対象としたレンズ状二重空気膜構造では、ETFEフィルムの第

1降伏点を超える場合においても、進行性ポンディングによる膜の破断等の崩壊が

起こらないことが把握された。

図4.6.4 各荷重時の最大膜応力

図4.6.5および図4.6.6に、アスペクト比8の長手方向断面形状を示す。載荷 荷重は2,000Paとし、図4.6.5では立体裁断ありモデルを用い、内圧を10 Pa、50

Pa、100 Paおよび150Paとした際の変形図、図4.6.6では立体裁断ありモデルの

内圧300 Paと600Pa、および立体裁断なしモデルの内圧365Paの結果を示す。

貯水量の多くなる初期内圧10Paでは、積雪荷重を載荷後の貯水による変位が 大きくなっている。一方で初期内圧600Paでは積雪荷重を載荷後に若干の変形で オーバーフローすることが確認された。このことから初期内圧が小さいほど貯水を 考慮した際の膜面変位の進行が大きくなることが示された。また、積雪荷重載荷時 に注目したとき、初期内圧10Paでは上膜面が下膜面に大きく接触しているのに対し て、初期内圧600Paではわずかに接触するのみであった。以上より、変形結果か ら、初期内圧を増加させることで、上膜面と下膜面の接触を回避できることが把握さ れた。

図4.6.5 アスペクト比8 長手方向断面形状(1)

図4.6.6 アスペクト比8 長手方向断面形状(2)