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密閉型を考慮した数値解析モデル

第 3 章 密閉型レンズ状二重空気膜構造の基本構造特性の把握

3.2 密閉型を考慮した数値解析モデル

レンズ状二重空気膜構造は、付加荷重に対して大変形を伴うため、幾何学的非 線形解析を行える汎用数値解析ソフト「ADINA」を用いて検討を行う。

本解析モデルは、積雪荷重時や強風時の内圧変動および膜応力を把握するこ とを目的としているため、内部空気を流体要素としてモデル化している。膜面は、面 外方向への変形に対し曲率で抵抗が可能な2D-Solid要素、内部の空気要素は

3D-Fluid要素としている。膜要素はETFEフィルム、内部空気の流体はポテンシャ

ルベースド流体によるモデル化を行う3.3)

一般にポテンシャルベースド流体は、以下の仮定に基づいている。

• 熱伝導のない、非粘性・回転のない媒質

• 圧縮性の媒質、あるいはほとんど非圧縮の媒質

• 流体境界が相似的に小さい変位であること

• 音速よりも低い速度(亜音速の定式)の現実の流体流れ、あるいは非現実 の流体流れ(線形-無限小速度の定式)

本解析モデルは、流体部(内部空気)とそれに張り付く膜面の双方をモデル化し、

流体要素と膜面を結合させている。そのため、膜要素の動きは構造境界の法線方 向に圧力を受ける。流体要素は構造要素の変位に伴い、その変位により圧力をも たらされる。

また、ポテンシャルベースド流体は、流体要素を定常流で完全流体としている。

定常流は、流れが時間的に変化しないものであり、完全流体とは流体の要素同士 の間に働く力が純粋な圧力のみの仮定となっている。現実の流体では、超流動状 態を除いて圧力以外に空気の粘性力が働くが、流体の運動が大きくない場合は流 体の粘性を通常無視することができるため、非粘性流体としている。

なお、本論文で検討対象とした荷重条件では、特に積雪時や進行性ポンディン グ現象時において上膜と下膜が接触するため、2枚の膜面の接触を考慮できるモ デルとする。なお2枚の膜面同士の接触において摩擦係数は0とし、摩擦力は生じ ない仮定とする。

レンズ状二重空気膜構造の初期形状の形成方法としては、立体裁断を用いる 場合(立体裁断あり)と用いない場合(立体裁断なし)の2種類がある。立体裁断あり のモデルでは、完成形状にあわせて膜面を製作するため、低い内圧でレンズ状二 重空気膜構造が形成でき、フィルムの応力度も低くなる特徴がある。一方、立体裁 断なしのモデルは、2枚の平らに張られた膜面の間に空気を送風し、強制的に膜 面を膨らませることにより形成する方法である。よって、立体裁断を用いるモデルよ りも高い内圧が必要となりフィルムの応力も高くなるが、膜面の製作が容易となる。

図3.2.1に、立体裁断なしの数値解析モデル概要を示す。

図3.2.1 立体裁断なしの数値解析モデル概要

表3.2.1に、数値解析材料諸元を示す。

表3.2.1 数値解析材料諸元

ETFEフィルムの材料特性は、第1降伏点(16MPa)

を考慮したバイリニア型により

検討を行い、またETFE フィルムの自重は荷重の大きさに比べて極めて小さいこと から、本検討では考慮しない。

図3.2.2に、解析に用いるバイリニア型のETFEフィルムの材料特性を示す。

図3.2.2 解析に用いるバイリニア型のETFEフィルムの材料特性

解析モデルは、2枚の膜要素の間に設置した空気要素に初期内圧を与えた後、

内部空気量を一定とすることで、密閉型をモデル化する。また、本モデルは等方硬 化則を用い、引張応力やせん断応力が複合した場合の降伏を判定するための相 当応力であるミーゼスの降伏条件式にて検討を行う3.4)

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