第 4 章 積雪荷重時における挙動と進行性ポンディングの検討 ・・・・
4.5 進行性ポンディングを考慮した検討
4.5.3 単調載荷と進行性ポンディング考慮時の比較
図4.5.3に、単調載荷時と進行性ポンディング考慮時の最大膜応力と内圧を 示す。各アスペクト比の載荷範囲へ積雪荷重の載荷のみを行った場合と、積雪荷 重を載荷後、積雪によって生じたくぼみへの貯水を考慮した場合の最大膜応力と 空気膜内圧を併せて示す。
進行性ポンディングを考慮した場合には、積雪荷重のみと比べて最大膜応力が 大きくなる傾向が把握された。この傾向はアスペクト比が大きくなるほど顕著であ る。これは、アスペクト比が大きくなるほど載荷時の変形が増加し、貯水量が多くな ることが原因である。また、アスペクト比が大きいアスペクト比8では、内部空気が移 動しやすいため、局部変形が大きくなり膜応力も大きくなる。その際、体積変化が 大きくないため、内圧の増加量はそれほど大きくはない。一方、アスペクト比2にお いては、積雪荷重のみと進行性ポンディング考慮時の最大膜応力はあまり差がな いことから、アスペクト比が小さい範囲では偏分布荷重の貯水による影響が少ない と考えられる。アスペクト比が大きいレンズ状空気膜構造を用いる場合は、偏荷重 に対する注意が必要であると考えられる。国土交通省の告示4.5), 4.6)ではフィルムの クリープ特性を考慮し、積雪時(一般地域の中短期) の荷重状態を考慮して、許容 応力度が12.6MPa と定められているが、今回の検討範囲では、それを満足する結 果となった。オーバーフロー時は許容応力度を満足していないが、最大応力度は 約20MPaで第2降伏点近辺であることから、ひずみが10%程度になるものの、フィル ムの破断には至らないことが確認された。
図4.5.4に、長手方向断面形状(2,000Pa)示す。積雪荷重時では、載荷範囲 において局所的に変形しており、載荷範囲以外では内部空気の移動に伴い、膨ら む性状が把握された。同様にオーバーフロー時の形状は、貯水範囲において局所 的に変形しており、積雪荷重時の形状と類似することが把握された。また、アスペク
ト比が大きくなるに従い、載荷範囲における変位量は増加する傾向を示した。アス ペクト比が小さい2~3の範囲では、上膜面が一部下膜面に接触しているのに対し て、アスペクト比が大きい4以降では上膜面が下膜面に大きく接触し、下膜面でも局 所的な変形が生じることで、一体となって貯水荷重に抵抗していることがわかる。こ のことから、アスペクト比が大きくなるほど内部空気の移動が容易なため、積雪荷重 時とオーバーフロー時の変形形状の差が大きくなると共に、上膜面と下膜面の接触 状態も変化することを確認したが、最終的には全てのアスペクト比においてオーバ ーフローする結果が得られた。
図4.5.3 単調載荷時と進行性ポンディング考慮時の最大膜応力と内圧
図4.5.4 長手方向断面形状(2,000Pa)