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議論

ドキュメント内 容のメカニズムに関する計量分析 (ページ 147-150)

以上、社会的出自にもとづく教育の不平等を、社会のマクロな特徴との共変動という問 題関心から見てきた。その際、時系列変容と地域比較の視野を織り交ぜたパースペクティ ブに立脚し、マクロ分析に着手した。そして、社会の産業化は学校教育の結果に及ぼす父 職業の影響力を削ぎ落とす一方、学歴再生産の過程を強化することを明らかにした。

上記の分析結果は、階層多次元化の議論を支持している。背景変数のあいだでの比重の 移動が、教育機会の動静を読み解くうえでの糸口となるからだ。つまり、産業化の開始期 には進学空間における断層(対立)は父職業の差異を境にして生じていた。それは1960年 代までの教育不平等の典型的な姿だと想像できる。そのような条件を出発点とし、父職業 と親学歴の影響力が拮抗する状態を経て、徐々に親学歴の不平等形成力が優位になってい くというのが、教育機会の趨勢について産業化の連続的なプロセスを想定したときにえら れるイメージである。

産業化の諸指標のなかで高学歴者率のマクロ効果が有効なのは、この変数のコンテクス ト間の分散が観察期間をとおして大きく、ポスト産業化期の変動をとらえることに成功し ているためだと考えられる。1990年代以降、コンテクスト間の非農業労働力率は収斂し、

この側面での産業化は完成期に入る。他方、教育不平等の要因構造はそのあいだも変化し 続けている可能性がある。そうだとすれば、理論的には社会のマクロな変化に歩みを合わ せるかたちで、当分は親学歴の効果が逓増すると予測される。

教育不平等の変化を扱う際の注意事項として冒頭に挙げた諸点については、学校段階に よる分析結果の攪乱は小さいが、機会の動向を単純な時点間の比較でとらえようとすると マクロな傾向が曖昧になる——と回答できる。さらに、一次元的な指標による社会的出自 の操作化は、現実の変化をつかみにくくする一因だといえる。理想的な分析の手順は研究 目的により異なるのが当然で、唯一の正しい方法は存在しない。教育機会の変化を検討す るとき、どういう事柄に配意すべきかは、継続的な議論を必要とする題材である。

父職業と親学歴とのあいだで相対的な影響力の交替がおきた理由は、階層多次元化仮説 の本来の理解(近藤2012)を用いて説明できるかもしれない。たとえば親世代で階層構造 の多次元化がすすみ地位の非一貫性が高まれば、父職業とは独立に親学歴が子どもの教育 達成にとってもつ意味は増加する。その一方で職業階層全体に学歴主義が普及し、労働者

7.6 議論 137 層でも学校教育を無視できなくなれば、職業間の差異は薄れていく。こうした仮説を確か めるためには社会的出自の指標に加え、生活様式や価値意識を含む多様な変数を用いた実 証分析を展開する必要がある。そのような作業により、教育と社会との相互関係につい て、さらに興味深い示唆がえられるだろう。

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教育機会の階級・階層間不平等の持

続と変容のメカニズム

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