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戦後日本における教育社会の変化

ドキュメント内 容のメカニズムに関する計量分析 (ページ 70-74)

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0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0

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1969-78 1979-88 男男

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女男

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3.5 親学歴別の中等教育への移行率

3.4 戦後日本における教育社会の変化

3.4.1 分析結果のまとめと争点の整理

学制改革後の約60年で、日本人の教育年数は着実に伸び、標準偏差も低下した。さら に本人の教育経験が家族の地位に依存する程度も、いくらか減少していた。父職業と教育 年数との関係は60年間をとおしてゆるやかに低下し、中等教育への進学機会における出 身背景の制約は大幅に縮小したといえる。他方、高等教育の機会にかんしては中等教育ほ ど一貫した傾向がなく、一部のコーホートでは進学率が上昇する時期に機会の不平等が拡 大する兆しがあらわれていた。

これらの結果は3.1.3で言及した3つの命題とも整合的であり、本章のデータが先行研

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3.6 親学歴別の高等教育への移行率

究の傾向をよく再現していること、それにより教育機会の基本的な関係構造を適切にとら えていることを示している。そのことを確認したうえで、教育の不平等とかかわる重要な 争点のうち、議論の蓄積がじゅうぶんでないものを次に記す。

日本の選抜制度の特徴を加味して教育機会の長期的な変化を読み解こうとすると、中等 段階での進学先の質的な差異に目を向ける必要がある。現代の日本では、人々は中学卒業 後に (進学/非進学の2項選択以上に)どのような高校(学科、ランク)にすすむか——同 一学歴内部の格差——を重視している(中西ほか1997;荒牧2008a,b)。高校進学率が上が り、量的な機会の不平等が減少したとしても、家族の影響力は(中等教育の)内部格差のか たちで維持された公算が大きい。

個人データの分析ではないが、進学率にもとづき全国の高校を分類した麻生(1966)に よると、進学率の高い上位校ほど新中間層出身の生徒が多い。そして、進学率の低い下位 校の多くは新設校と非伝統校で構成されている。高校の量的拡大と大衆化は、同一の学校

3.4 戦後日本における教育社会の変化 61 段階内での水準分化(学校差の形成)をともないつつ実現したことがわかる。

中等教育の質的な不平等は、高等教育の機会にも影響した可能性がある。シンプルな予 測は、恵まれた出自の生徒が進学校に、不利な出自の生徒が下位校にすすむかたちで中等 教育の進学率が上昇し、このような進路分化が「トラッキング」の機能を担うことで、高 等教育機会の不平等が維持されたというものである。ただし中等教育の機会と高等教育の 機会との相互関係については、もう少し一般的な観点から検討を加えることもできる。高 等教育の機会にかんするさまざまな仮説は次章(4.1.2)で詳しく取り上げる。

高校への非進学者も含めた高等教育への到達機会は、先行研究でも意見が割れていると ころである。高等教育への「移行」と異なり高等教育の「達成」機会は、中等と高等の 2 つの進学機会の合成によりとらえられる(尾嶋1990)。教育の内部格差(近藤1988)の状況 に直接的に影響を受けるのが、この高等教育「達成」の機会構造である。高等教育単独の 傾向とはちがう側面から中等教育の変化の帰結を評価するために、高等教育への到達機会 の動静分析は別途、検討を要する課題である。

3.4.2 教育不平等の動的理解:拡大と多様な変化

戦後の日本では教育の拡大にともない、機会の不平等も多様に変化してきたといえる。

確かに、機会の拡大と不平等の低下とは単純には結びつかない。その一方で、どの時代で も社会的出自による機会の不平等が一定だとする見方も、現実の認識としてはあまりに一 面的である。

機会の不平等が安定的であることの経験的な根拠として、多くの先行研究がPersistent

Inequalityを引用してきた。しかし、実は同書は不平等の変化について、全面的に否定し

ているわけではないのである。Persistent Inequalityは学校段階ごとの移行の見込み(オッ ズ)に対する家族の影響力が安定していて変化しにくいことを主張しているに過ぎない。

不平等のそれ以外の側面、たとえば最終学歴と出身背景との関係については、同書所収の 論文でもさまざまな結果がえられている。

ここで、より重要なのはPersistent Inequalityの結論と比較したとき、その理論的な考 察がそれほど注目されていない点である。Blossfeld & Shavit (1993) は導入的な論文に

おいてMare (1980, 1981)のトランジション・モデルから方法と理論を継承し、教育機会

の不平等の変化について複数の仮説を提示している。それらは不平等の単調な増加や減少

を予測する仮説ではなく、機会の変化にかんする多様な可能性を示唆するものである。

日本を含む多くの産業社会で教育機会が多様な方向へと変化していることが明らか となったいま、機会の不平等をさらに詳細に検討し、深く理解するために、Persistent

Inequalityの理論仮説を活用することは有効な手立てだと考えられる。

次章では、3.4.1で論究した争点について具体的な予測を導出し、データにそくした実 態記述をすすめていく。その際、Persistent Inequalityを参考にしつつ4.1.1で中等教育の 質的不平等について、4.1.2で高等教育への移行機会について、4.1.3で高等教育の達成機 会について、出身階級の影響力にかんする仮説を整理する。出身階級との関係だけではと らえきれない性質の不平等を取り上げ、親学歴の影響力に着目した仮説を構築する作業

は、4.1.4においておこなう。

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戦後日本における教育機会不平等の

変動過程 (2) :「持続的不平等」再訪

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